アルジャジーラ記者、アッルーニ氏逮捕(スペイン)2 2005/09

アルジャジーラ記者、アッルーニ氏逮捕(スペイン)スペイン暗黒裁判の記録
スペイン司法、言論封殺のクロノロジー


スペイン最高裁、アッルーニ記者の有罪判決を確定する不当判決

(06年6月1日アルジャジーラ・ネットの報道要旨)

 スペイン最高裁判所は、アッルーニ被告がアルカーイダと協力した罪については無罪としながらも、同被告に対する禁固7年の判決を支持する判断を下しました。一方、主犯格である容疑者のシリア人・イマードッディーン・バラカート(通称:アブ・ダハダハ)の刑期は、禁固27年から12年に軽減されました。

 スペインのジャーナリスト、アンドゥーニ女史はアルジャジーラに対し、「最高裁は検察側の言い分を採用し、弁護側が提出した証拠や弁論が採用されなかった」と述べました。そして、「アッルーニ記者は憲法裁判所に対して赦免を求める訴えを起すことが可能だが、その訴えが認められても、この有罪判決そのものを覆すものではない」、「この判決は、スペイン司法における一大スキャンダルだ」と述べました。

 アンドゥーニ女史は、アッルーニ記者の弁護団がEU人権問題裁判所(ストラスブール)に提訴し、同記者に対する裁判の違法性を明らかにするであろうとも語りました。また、「ジャーナリストを擁護するアラブの委員会」副代表のユーセフ・シューリー氏は、「この判決は、スペインの司法が如何にアラブのジャーナリストに対し、敵愾心と偏見を有しているかを示すものである」と述べました。シューリ氏は、「主犯格に対する容疑のいくつかを無罪にし、また刑を軽減しておきながら、一方で職務上ビンラディンに会っただけのアッルーニ記者の判決を変更しないとは許されることではない」と述べました。

 アブ・ダハダハ被告は、9.11事件に関する陰謀容疑について無罪を言い渡されましたが、これは検察側が申し出たことによるものでした。検察側は、第一審が有罪判決の根拠とした証拠は、不十分であったとしました。この結果、最高裁はアブ・ダハダハ被告にアルカーイダへの所属容疑のみを認定し、禁固12年を言い渡しました。

スペイン最高裁、5月に上告審開廷か

報道によれば、スペイン最高裁がこの事件の上告審を開く予定です。スペイン検察当局は、アッルーニ被告についての判決維持を主張する一方、主犯格とされるヤルカス被告については、9.11事件への関与を訴因から外したとされています。これが事実とすれば、そもそも、同事件の共謀共同正犯を疑って、7万年以上の禁固刑を求刑した検察の迷走ぶりを如実に示すものであり、ますます暗黒裁判のそしりを免れない実態が明らかになったと言えます。

(06年2月18日アルジャジーラ・ネットの報道要旨)

 スペインからの報道によれば、いわゆる「アルカーイダのスペイン細胞」事件についての最高裁における審理が今年5月に開かれる。スペイン検察当局は、この裁判で昨年9月に罰金を伴う禁固7年の刑を言い渡されたタイシール・アッルーニ被告に関して、取材のため『テロリスト集団』と係わり合ったことは、「記者としての権利の濫用」であるとの理由で、同被告についての判決維持を求めた。

 一方、検察当局はこの事件の主犯格とされるイマードッディーン・バラカート・ヤルカス(通称:アブ・ダハダハ)被告について、9.11事件の謀議の容疑を訴因から外し、ビンラディン率いるアルカーイダに所属した罪だけを問うこととした。

 同被告は、9.11事件謀議他の罪で、27年の禁固刑を言い渡されている。(昨年9月に出された)この判決は、同年7月に行われた禁固7万4377年の求刑(9.11事件共謀共同正犯容疑)に対する大幅に軽い判決であった。この時裁判所は、同被告が2001年7月にスペイン北東部のタラゴナで開かれたアルカーイダの会合に出席したと認定した。この会合には、9.11事件の実行犯であるムハンマド・アタともうひとりのアルカーイダ・メンバー、ラムジー・ベナルシーバが出席したとされている。

スペイン憲法裁判所、上告審理の開始を決定

憲法上の重大な人権侵害があった場合に提訴が認められているスペインの憲法裁判所は、アッルーニ被告の上告審理開始を決定しました。

(06年1月1日) アルジャジーラ・ネットの報道要旨

 スペイン憲法裁判所は、タイシール・アッルーニ記者を7年の禁固刑に処した判決の破棄を求めた上告を受理(注:審理開始決定に相当)した。同裁判所は、この判決の破棄を求める訴えを起こすに足りる十分な理由があると判断したことを明らかにしている。

 アッルーニ記者の妻、ファーティマさんは同記者の弁護士から、「通常、上告の90%を受理しない憲法裁判所がこの件は受理した」と聞かされたと述べた。そして、スペインの裁判手続きは進行が遅いため、この審理は1年以上かかるとの見通しを示した。また、最高裁判所が憲法裁判所の前にこの上告について審理するかもしれないとのことである。

 ファーティマさんは、獄内で心臓発作を起こすなどアッルーニ記者の健康状態が悪化しているため、同記者の保釈を目指した努力が続けられていることを強調した。また、弁護団は、憲法裁判所に対して、もうひとつの抗告を行っている。それは、同記者が、刑務所内で憲法上保護されるべき人権を侵害されたことについての抗告である。

 法律の専門家は、アッルーニ記者が受けた量刑が、同人の訴因とは不釣合いに重いと考えている。また、アラブと世界の知識人の多くは、この判決が、情報を入手する自由、情報源を秘匿し、保護する権利といった基本的なジャーナリストの権利を侵害していると考えている。そして、このような不当な判決が出た背景には、米国のスペインに対する圧力があったと考えている。

アッルーニ被告に罰金付き禁固7年の有罪判決

「アルカーイダのスペイン細胞」に関する裁判は、アッルーニ被告らに有罪判決を
下しました

(05年9月26/27日) アルジャジーラの報道要旨

 スペインで行われていた所謂「スペインのアルカーイダ細胞」裁判で、裁判所は主犯格のイマード・アッディーン・バラカート・ジャルクース(ヤルカス)被告に対し、9・11事件実行の共謀を認定、禁固27年を言渡した。また、アルジャジーラのタイシール・アッルーニ記者に対しては、アルカーイダへの所属容疑は認めなかったものの、テロ組織に協力した罪で罰金を含む禁固7年(罰金刑を含む)が言渡された。

 厳重な警備と、マスコミの大きな関心を集めて数ヶ月前に始まった裁判は、再び、前例のない厳戒体制が敷かれる中、判決の時を迎えた。裁判では、まず裁判長が裁判の概要、とくに、審理の大部分が盗聴記録に基づかなければならなかったことは、事件の特殊な性質によるものであると説明を行った。次いで別の判事が判決を読み上げ、アルジャジーラのタイシール・アッルーニ記者については、アルカーイダに協力した罪で禁固7年が言渡された。

 今日判決を受けたのは「アブ・ダハダハのネットワーク」と呼ばれる18人の容疑者で、主犯格のシリア人アブ・ダハダハ、本名イマード・アッディーン・バラカートに対しては、テロ組織への帰属、および一般市民の殺人共謀の罪で禁固27年が言渡された。すなわち、9・11事件の準備に関与したとの容疑が認定されたもの。

 アッルーニ夫人のコメント
 「もちろん判決は不当なものです。今日は、夫が裁かれるとともにアルジャジーラも裁かれました。これはアルジャジーラに対する裁判でもあるのです。わたしたちは夫の無罪を勝ち取るまで、上訴を続けていく決意です」

 ホセ弁護士(担当弁護士)のコメント
 「この判決を覆すのは困難で、時間のかかる問題。1年半はかかるだろう。また、判決後の保釈も非常に困難。しかし、それが実現できるよう全力を尽くす」

 この裁判を当初から傍聴してきた人権団体などはアッルーニ記者に対する有罪判決に驚きを隠していない。しかし、今後はスペインの上級裁判所への控訴、そしてその先は欧州裁判所への破棄申請という手続きが取られることになる。

 アルジャジーラの声明(9月26日)
 アルジャジーラ・チャンネルは、タイシール・アッルーニ記者に対する判決内容に強い衝撃と深い失望の念を表明する。この判決は不当であり、ジャーナリズムの歴史における危険な先例となった。
 アルジャジーラは、弊社特派員であるアッルーニ記者に対する支援、および、同人の職業的キャリアとジャーナリストとしての勇気を援護していくことを再確認する。
 アルジャジーラは、担当弁護士と連絡の上、控訴手続きを支援する。また、スペイン司法当局に対し、アッルーニ記者の健康状態に配慮して、即時保釈が認められるよう求める。

(アルジャジーラ聴き取りの上、翻訳/新谷恵司。公式日本語声明ではありません)

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