オバマ弱腰外交のつけ重く

◆「中東のクリミア半島」バーレーン

バーレーンは、人口約125万人、ペルシャ湾に浮かぶ淡路島ほどの大きさの王国であるが、この島を「中東のクリミア半島」になぞらえた論説を読んだ。18世紀にアラビア半島から移り住んできたスンニ派の王家が支配しているが、確かにこの国で住民投票をすれば、多数派であるシーア派住民がその数にものを言わせて勝つに決まっている。もしそうなれば「中東におけるロシアの同盟者」イランが動く、という構図があることは事実である。しかし、実際にはそのような体制転覆は許さないとばかりに、「半島の盾軍」と呼ばれるサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)の部隊が控えている。いざとなれば最新鋭の装備を備えた軍隊が出動するのはスンニ派の側である。

◆米国の姿勢に怒る湾岸諸国

クリミア半島で示されたロシアの強い立場は、それより先、シリア問題に対してもいかんなく発揮された。ロシアによる全面的支援がそもそもアサド政権居座りの原因であるのに、米国が何ら争わなかったからだ。その結果、政府軍の戦闘機は今も、自国民の住む民家を情け容赦なく爆撃し、樽に詰められた爆薬は市民を数十人単位で吹き飛ばしている。シリアの化学兵器使用疑惑をめぐっていったん決定した攻撃を引っ込めた昨年9月のオバマ大統領の二枚舌・弱腰外交は、「化学兵器さえ廃棄するなら、通常兵器で一般市民を大量殺害し、一千万人単位の避難民を出しても構わない」ということだったのかと反体制派を支持するサウジアラビア他湾岸諸国を怒らせている。  

◆保安官不在の中東

この冷え切った関係を修復することを目的に3月28日、先進7カ国(G7)を終えたオバマ大統領がサウジアラビアを訪問したが、晩さん会にもありつけず帰国したという。礼儀を重んじる中東の覇権国サウジアラビアのホスピタリティーとしては極めて異例である。この間、イラクにおける政府治安部隊とスンニ派部族勢力間の戦闘はますます本格化しているし、バーレーンやイエメンのシーア派もうごめいている。米国に冷たくされているのはエジプトも同じで、ロシアとの距離を縮めている。昨夏、米国はテロ脅威があるとして中東20カ国にある大使館を一斉閉鎖したが、このままでは永遠に大使館を封鎖しなくてはならない国が出るかもしれない。保安官不在の中東。国盗り合戦が本格化する予感がある。