「シリア」タグアーカイブ

イランがシリアに投げかける長い影

◆イスラエルと直接対決の構図 シリア内戦は落ち着きを見せ、これからは復興だと考える気の早い人もいるかもしれない。トランプ大統領は米軍を撤退させると言い、一部の湾岸諸国は既に大使館再開の意向を公にしている。しかしそんな中、イスラエル軍機がダマスカス郊外の「イラン革命防衛隊の拠点」を爆撃した。イラン側もゴラン高原に中距離ミサイルを撃ち込んだという。アラブの識者は「イランがイスラエルと直接対決する構図が出来上がったのは、後者の建国以来初めて。重大な戦略的変化だ。これだけで終わらない」と警鐘を鳴らす。イスラエルは、国境から80キロ以内にはイランの兵力を立ち入らせない、との暗黙の約束をロシアから得ていた。しかし、現実には「 … 続きを読む イランがシリアに投げかける長い影

トランプは中東を救えるか?

◆米新政権に命運託すサウジ トランプ大統領が2月に大統領令を出し、特定の中東・アフリカ諸国(イスラム諸国)出身者の入国を禁止したとき、サウジアラビアはその指導的立場にもかかわらず、これを一切批判しなかった。実際、批判などしている場合ではなかった。サウド王家としては、にわかに出現した「救世主トランプ」の一挙手一投足を、固唾を飲んで見守っていたのである。そして、59発の巡航ミサイルがシリア政府軍の基地めがけて放たれたとき、サウジは一番乗りでこれを「全面的に支持する」と発表した。筆者はリアルタイムで情報収集に当たっていたが、この声明が出されたのは攻撃開始の数時間後、サウジ時間ではまだ早朝であった。おそらくは就寝中のムハ … 続きを読む トランプは中東を救えるか?

人権無視の圧政vsテロリズム

◆アレッポ市民を「テロリスト」呼ばわり 写真展の無機質な白いホール。撃たれて仰向けに横たわるロシア大使の傍らで、拳銃を構えてアレッポの復讐を叫ぶ実行犯。一枚の報道写真が示すこの情景をテロと呼ばずして何と言おう。そしてその隣の記事は、「イラン大統領、シリア政府軍のアレッポの『テロリスト』に対する勝利を称賛」と伝えている。昨年末に閲覧したインターネットのアルジャジーラ・ニュースサイトの一コマである。ここで言う『テロリスト』とは、アサド政権の人権無視の圧政に対し、反乱を起こした反政府勢力のこと。その正義を信じ、イスラム教スンニ派である同胞の生存を賭けた戦いを応援している湾岸アラブ諸国は、ロシアやイランが彼らをこのように … 続きを読む 人権無視の圧政vsテロリズム

「パレスチナ化」するシリア

◆繰り返される不幸な現実 シリアをめぐる情勢は、発生から約70年を経た今も何ら解決しないパレスチナ問題に似てきた。武力で家と故郷を追われ、肉親の生命までも奪われた人々にはその権利を回復すべき「大義」があるが、圧倒的な軍事力と無慈悲な冷酷さを兼ね備えた「敵」を自らの手で倒す以外、それを実現する手段はない。国際社会はことごとく正義に鈍感なのである。ユダヤ・ロビーによって大きく歪められた米国の対中東政策がもたらしたパレスチナのこの不幸な現実が、今、隣国シリアで繰り返されるのではないか。それはロシアの不退転の決意によって庇護され、既成事実の積み上げで出現しようとしている「新シリア」(アラウィー派世俗国家)が文字通り踏み潰 … 続きを読む 「パレスチナ化」するシリア