アラビア語通訳の仕事(2)

前の記事の続きです。
その後に待ち構えていたのは小生が2009年に初めてご発注を頂いて以来強い関心を持っている「知的財産権保護」に関する仕事でした。ご高承のとおり、知的財産権には著作権、特許権、商標権、意匠権などがありますが、中東世界との関係で言うと、主に商標権侵害として捉えることのできる「模倣品・海賊品」の取締りがもうかなり前からのことですが、重要な課題となっています。
つまり、中国で大量に作られる模倣品がドバイを経由して中東全域へ、そして全世界へと流通している問題です。2009年、私はこの問題を現地関係者と協議、調査する官民合同ミッションに同行しました。その関連の記事はこのブログの一番最初にあります。
偽装と市場監視
http://globalmiddleeast.blog26.fc2.com/blog-entry-2.html
今年は、ドバイ税関長と現場で対策にあたっている責任者からなる代表団を日本側が招待し、権利者(日本の主要企業)との協議や関係官庁・企業訪問が行われました。
この一連の通訳業務においても英語とアラビア語は常に闘うこととなりました。一般にドバイや湾岸の高官は英語による教育を受けており、アラビア語正則語(フスハー)で話すより英語で話すことを好む傾向にあるからです。写真のアフマド・ブッティ税関長はJAFZA長官から横滑りしたドバイ首長国の高官です。米国で大学教育を終えていることもあって、初日のセミナーでのプリゼンは英語を選びました。そのようなこともあり、会議は英語同時通訳で行われました。しかし、2日目の権利者との協議会では、より精緻な議論がしたい、ということで小生の通訳による協議となりました(日・アラ)。
結果は、どうやら小生の勝利であったようです。協議会終了直後、初日から参加されている人々やドバイ側からも、笑顔と感謝のことばをいただけたからです。
一般に、労働組合の話もそうなのですが、業界にはそれぞれ特殊な用語、論理があり、発言者はそれをいちいち説明したりはしません。通訳者が門外漢の場合(ふつうはそうです)は、まるで暗号符牒で会話されているように聞こえます。それを日英といった、語順の遠い言語間で同通するのは、現実的には不可能に近いのです。
政府関係の予算での訪日でしたから、贅沢もなく、遊びもないタイトなスケジュールでしたが、これまで何十回と訪日しているというアフマド税関長に初めて京都を訪れていただけ、不順であった気候の中晴天に恵まれたのはよかったと思います。初訪日の中堅幹部らも喜んでお帰りになりました。
*JAFZA=ジュベル・アリ自由貿易加工区。ドバイに隣接する一大中継貿易拠点
120224kyoto.jpg
鹿苑寺金閣にて(2月24日)