米国の親イスラエル政策は転換するか

◆ICCを敵視する理由

 10月9日、米トランプ政権は国際刑事裁判所( ICC )を組織として経済制裁する決定を下した。ルビオ国務長官は「ICCが(米国への)脅威を終わらせるか、我々が ICC を終わらせるか」と述べて、対決姿勢を鮮明にした。この発表は、元 ICC 裁判官、ナビ・ピレイ氏のノーベル平和賞受賞の数時間後に行われ、いわば、法の支配に基づく国際刑事司法を擁護せんとの国際社会に対するトランプ氏の意趣返しの様相であった。赤根所長ら幹部に対する個人的な制裁は既に発効している上、組織全体が制裁を受けると、 ICC は事実上大きな活動制限を受ける。国際機関の活動が依拠してきた米ドルを基軸通貨とする国際金融システムが、米国が民主的で国際正義に基づく社会であることへの信頼を基礎に成り立っていることを考えれば、米国のこの措置は 、時代錯誤的な「力による支配」をゴリ押しした蛮行と言えよう。

 米国がこれほどICCに敵対するのは、アフガニスタンで犯した戦争犯罪を裁かれる恐れがあるからだとも言われるが、最も影響を与えているのはイスラエルのネタニヤフ首相らに対する逮捕状が既に出されているという事実だろう。米国政治へのシオニスト(ユダヤ・ロビー)の影響力は、人類の到達した倫理的・法的価値観からの逸脱をこれほどまでに醜く、あからさまに命じるほど強烈だ 。

◆ガザ、1年で新たに1522人が殺害

 ガザ地区における集団虐殺は、停戦から1年を経た今も、世界の関心を集めることなく続けられている。 1年間で新たに1522人の住民が殺害され、それまでの7万3000人余の 虐殺された者のリストに加わった。その上、イスラエルの課す制約のために復旧復興作業は一向に進んでおらず、劣悪な住環境・衛生環境の放置によって病死・衰弱死する人、新たに病気になる人も多い。またヨルダン川西岸地区では武装した入植者が、イスラエル軍の暗黙の支援を得て住民に危害を加えている。住民が死亡する事件は毎日のように発生し、その傾向は増加の一途をたどっている。

 トランプ政権は、この状況を「平和評議会」というカバーで覆い隠し、いたずらに復興を妨げ、ガザを生活困難な場所とし、住民を追放する政策を推し進めるネタニヤフ政権と共謀している。ガザ地区の戦争被害は、広島型原爆数個分と比喩されることがあるが、原爆投下の数日後には救援と復興が始まり、翌年には草木が芽吹いて市民に希望を与えた広島とは異なり、ガザでは1年経ってもテント暮らし、食糧不足が続いている。シオニストの魔の手を排除しない限り、平穏な暮らしは永遠に訪れない。

◆待ち構える選挙、米・イスラエルの政策転換も

 この、現在も進行中の蛮行を国際社会は阻止することができなかった。その行き着いた 先が米・イスラエルによるイラン攻撃で、その結果発生した物流・エネルギー危機に世界が喘いでいる。インフレは確実に世界の市民生活を壊し、暴動はフランスだけにはとどまらないだろう。

 そんな中で、ネタニヤフ氏もトランプ氏も漸く有権者の審判を受ける選挙が待ち構える。竹を割るような結果は期待できないかもしれないが、両国市民の多くは自ら首を絞めるような結果となっている政策に辟易している。また、このまま世界が立ち行かなくなることは、世界経済を牛耳るシオニスト達にとっても都合が悪いことだろう。彼らによる米国政治「支配」はこれからも続くが、二つの選挙が、これまで彼らが推し進めた過激な政策を転換させる機会となりそうだ 。

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