No.16 / 2002.03.01

****** global middle east *************** issue No.0016 **********
グ ロ - バ ル  ミ ド ル イ ー ス ト
*** From Erico Inc. Editor/ Ken-ichi Matsuoka ***** 01/03/2002****

みなさん、こんにちは。暖かい気配が感じられる今日この頃となりましたが、如何お過ごしでしょうか。久しぶりの中東情報をお伝え致します。

【コンテンツ】
1.マアルマート協議会開催報告
2.アルジャジーラ訪問記
3.クウェート民族楽団日本公演
4.「アルジェリア危機の10年―その終焉と再評価」を読みました

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1.マアルマート協議会開催報告
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東京の新しい観光スポットとして定着した感のある「お台場」。レインボーブリッジの夜景をバックに、自由の女神像のライトアップを正面に眺める絶好のロケーションのダイニングバーにて、2月25日(月)、2002年最初のマアルマート協議会夕食会が開催されました。

今回は来たる4月17日出発予定の「第9回マアルマート・ツアー モロッコ・パリ14日間」の説明会も併せて行いました。ツアー幹事・新谷恵司による現地事情説明に加え、北アフリカ同好ネットワーク「カスバ」代表松岡健一によるモロッコ旅行参考文献のご紹介など、ツアー参加をご検討頂いている方々に具体的な現地情報をご提供致しました。

また、今回は当協議会に興味のあるglobal middle eastご愛読者の方々にも、多数ご参加頂きました。報道関係、著述業、学会研究者、旅行業、海外投資機関等々、業種は異なりますが中東やアラブ地域に関わっている方々の情報交換の場として、新鮮な切り口を垣間見ることができる良い機会になったことでしょう。

さて、次回のマアルマート協議会では、是非あなたの貴重な「マアルマート」(情報)をご披露下さい。開催日が決定次第、改めて当global middle east上でもご案内する予定でおります。奮ってご参加の程、ご検討くださいませ。

なお、4月のモロッコ・ツアーにつきましてはまだ残席が若干ございます。興味のある方はお早めに幹事までお問合せください。

★日出ずる国から、日沈む国へ。地上のパラダイスを探し求めてモロッコ・パリ14日間 (2002年4月17日(水)~30日(火)★-予定参加費用:48万円(2人部屋利用1名様料金)==============================================================
2.アルジャジーラ訪問記
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by 新谷 恵司

2月初旬、カタールのアルジャジーラ・チャンネル本部を再訪しました。

私にとって、実に奇妙な体験だったのは、会う人、会う人がみんな初めてでない。即ち、旧知の隣人、友人のように感じられ、まるで故郷に帰省したような感覚に襲われたことです。というのも、前回の訪問直後から、このテレビの通訳・解説放送に従事しているため、毎夜、キャスター諸氏、諸嬢そして特派員諸氏と対面しています。そこで、向こうは全く知らないのですが、こっちは前からの親友のように思ってしまったのでした。

「やあやあ、元気でしたか?前回お会いしましたよね!」と駆け寄って、相手が怪訝そうに、しかし「ああ、そうですね・・・」と自信なさそうに言うので、随分暫くしてから、「あ、しまった!」と気が付いたこともありました。彼はカブールから一時本部に戻っていた特派員だったのです。

しかしその人の前任者、タイシール・アッルーニ氏との出会いは衝撃的で、忘れることは出来ません。ビンラディンにインタビューし、ビンラディンの録画テープを報道し、米軍のカブール空襲、特に一般市民の被災の模様を粛々と伝えた、アラブ世界で最も有名なジャーナリストは突然私の目の前に現れました。

想像していたのと異なり、彼は1m80cmはあるかと思われる巨漢でした。北部同盟のカブール進軍前夜に脱出後、彼は腹部の疾患の小さな手術をするなどして、休息後、本部勤務をしていました。ビンラディンとアルカーイダ、そしてタリバンのことを一番よく知っている人物です。なかなか、海外を自由に出歩ける、という状況ではないでしょう。彼の職業の宿命でしょうが、かなりのストレスを受けているようで、少しかわいそうに思いました。

アッルーニさんの出身地が、イラク国境にほど近い、シリアの東の端の方である、ということも彼の口から初めて聞きました。というのも、ご承知のようにアラビア語にはそれぞれの地方で方言と訛りがあり、各アナウンサー、記者の出身地を想像するのが私のひとつの楽しみでもあるのですが、アッルーニさんの言葉は、聞いたことがない不思議な響きがあったからです。「方言丸出しだと誰もわかってくれないから、苦労して標準語を話している」とのことでした。

アル・ジャジーラ・チャンネルが9月11日事件以降どんな役割を果たしたかについて、来たる3月22日にNHKスペシャルが興味深く取上げる予定です。また、拙稿が間もなく発売される季刊「アラブ」(日本・アラブ協会)第100号に掲載予定ですので、ご高覧頂ければ幸せです。

-季刊「アラブ」/ 日本アラブ協会/ TEL: 03-3798-3515

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3.クウェート民族楽団日本公演
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マアルマート協議会メンバーの方より、「クウェート民族楽団」の第二回日本公演についてのお知らせを頂戴しました。わが国では滅多に聞くことのできない、湾岸の民俗音楽、クウェート音楽の生演奏に触れる貴重なチャンスです。桃の節句の良き日、お時間のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

日時:2002年3月3日(日)開場:18:30公演:19:00~20:30入場料:¥3,500‐場所:主婦会館プラザエフB2”クラルデ”ホール東京都千代田区六番町15番地交通:JR四谷駅 麹町口(歩1分)地下鉄南北線/丸の内線 四谷駅(歩3分)お問合せ:クウェート大使館(Ms.ホリオ) 電話:03(3455)0361クウェート石油(Ms.アライ) 電話:03(5425)6200

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4.「アルジェリア危機の10年―その終焉と再評価」を読みました
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「アルジェリア危機の10年―その終焉と再評価」 渡辺 伸 著(敬称略)

文芸社 2002年1月20日 初版第1刷発行 本体価格1,400円

1990年代、イスラム原理主義のテロに揺れたアルジェリア。1962年フランスからの独立以来、第2の「アルジェの戦い」とも呼ばれたこの危機の時代は、テロの対象が外国人はもとよりアルジェリアの自国民に向けられ、「誰が誰を殺したのか?」という問いかけが象徴しているように、身の回りに対しても疑心暗鬼に苛まれる異常な状況に明確な答えも見出せぬまま、10年の月日と数千人に及ぶ犠牲者・被害者の数だけが増してゆくことになりました。

著者は中東諸国をはじめ在外日本大使館に赴任し、1996年8月から2001年3月までの4年半、駐アルジェリア大使を務められた渡辺伸閣下。ともすれば外からは良く分からないアルジェリア危機の10年間の流れを、具体的な出来事を詳細に追うことによって分かり易く再現しています。

イラク湾岸戦争と前後して起りながら、情報戦とも呼ばれた前者とは対照的に実際の状況把握が困難を極めたアルジェリア危機。今ここで改めて見つめなおす良い機会かもしれません。

なお、著者は外務省退官後、「日本アルジェリアセンター」の主宰者として、本邦とアルジェリアとの交流に尽力されています。 (ハッサン)

日本-アルジェリア センター公式サイトhttp://www.japan-algeria-center.jp/

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<編集後記>
過日のマアルマート協議会にご参加頂きました皆様、お忙しい中お越し頂きありがとうございました。ご参加頂いた方から興味深いお話を伺いました。「チュニジア旅行中、現地の高名な先生が帽子を取って頭を下げて挨拶をされました。考えてみれば最近の日本では珍しくなった光景です・・・」人間本来が持っているはずの礼儀やデリカシーは、民族や人種が違っても共鳴する部分があるからこそ、異文化世界に出かけて行く楽しさがあるのかもしれません。(ハッサン)
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