No.27 / 2003.01.15

****** global middle east *************** issue No.0027 ***********
グ ロ - バ ル  ミ ド ル イ ー ス ト
*** From Erico Inc. Editor/ Ken-ichi Matsuoka ***** 15/01/2003 ****

愛読者の皆さん、こんにちは。昨年後半よりせわしなく過ごしている内に新年を迎えてしまいました。本年も当ニュースレターをよろしくお願い申し上げます。

【コンテンツ】
1.今年起きる中東の変革とは
2.第10回記念マアルマート・ツアー事前会合のご案内

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1.今年起きる中東の変革とは  by 新谷 恵司============================================================

昨年の12月、中東情勢についてお話しした際、来年は米国が北朝鮮に軍事力を行使する展開になると思うかと聞かれ、私は「ならないと思う。米国はイラクで忙しいから」と答えた。その翌日、偶々これと全く同じ質問がアルジャジーラ・ネット(http://www.aljazeera.net) の読者アンケートで問いかけられていることを発見したので、早速「ノー」に投票してみた。

この「ワンクリック・アンケート」は、投票した後で、その時点での集計結果を見ることが出来る。最近、私は自分の思想傾向や感覚がアラブの「常識」に同化しつつあることを感じていたが、この投票の結果、8割以上の「同胞」がやはり同じように考えていると知り、小恥ずかしいような、また、なんとなくうれしいような気がしたものだ。

中東関係時事情報の宝庫であるこのサイトは、もちろん衛星ニュース専門チャンネル・アルジャジーラの公式ネットである。その冒頭ページに、この「読者アンケート」があり、週変わりの質問を読むのは楽しみだ。

2003年最初の質問は、「アラブの立場が弱体化した責任は誰にあるか?」というものであった。立場の弱体化とは、つまり米英軍の湾岸への進駐を目撃しても、何もすることも言うこともできず、また毎日のように同胞パレスチナ人虐殺の報に接しても、イスラエル非難の声明という「紙」を出せればよい方で、多くの場合、非難することさえ許されないアラブ各国政府の立場の弱さのことである。

この質問を見たとき、いろいろな答えがあり得る、と思った。誰の責任でもなく歴史的必然ではないか、とか、為政者の問題は、詰まるところアラブの民族ひとりひとりの責任としか言えない、とかである。ところが、答えとして用意されていた選択肢は、次の4つであった(結果も示す)。

1)アラブの大国   83%
2)米国の政策     7%
3)アラブの小国    7%
4)わからない     3%

1) 以外は答えとしての競争力を欠いている選択肢ため、そのような投票結果となるのは当然としても、最初、設問と選択肢だけを見たときは、「なぜそんな答えしか用意できないのか?」とアラブの読者を気の毒に思った。しかし気を取り直して自分も?に投票し、圧倒的な集計結果を見たとき、これは「フセイン後の中東」を考える上で、示唆に富む問題提起だと感じた。

「アラブの大国」に定義はないが、誰でも思い浮かべるのはエジプト、サウジアラビアの二国であろう。従来から、「アラブの支配者は、『敵・シオニスト』に対して強硬な路線を取らないことの見返りに、米国の保護、援助を受けてきた」と批判する一般的な認識がある。その上、アラブの民衆は虐げられており、その責任は、アラブの為政者の無策・無思慮にあると、誰もが感じている。このことを象徴的に確認しようとした「質問」であり、投票結果だったのだ。

米英と、日本などその後方支援を行う国々の一方的侵略によるか、それともイラク政権内部の自壊現象によるかは別として、米軍がバグダッドに進駐してイラクの民主化と復興に取掛かるのは、ほぼ間違いないようだ。この計り知れないインパクトを持つプロセスが開始されようとする時、地域の民衆がこのような認識を強く持っているという事実は非常に重要である。

米国が、中東諸国の真の民主化を進めていけるなら、アラブは「本当は望んでいなかった為政者から解放」されることになるが、これまで通り、場当たり的な外交政策に終わるのであれば、更なる混乱を招くだけに終わるだろう。

今週の読者アンケートは、更に示唆に富んでいる。

「アラブの諸政権は、真の民主化プロセスを進んで受け入れるでしょうか?」

結果(本日現在)

イエス     10.6%
ノー      87%
わからない   2.4%

真の民主化が開始されれば、フセイン政権以外にも倒れる政権が出るようだ。しかし、米国が、再び政策を変更して混沌を残す可能性もある。その時が近づいている。

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2.第10回記念マアルマート・ツアー事前会合のご案内============================================================
マアルマート協議会では、第10回記念マアルマート・ツアー「マルタ・シチリア・ナポリ・ローマの旅14日間」(4月17日出発)の事前会合・夕食会を下記の通り開催致します。若干お席に余裕がございますので、ツアー参加をご検討頂いている方はもちろん、イタリア料理を味わいながらマアルマート(アラビア語で『情報・知識』)の交歓をご希望の方は幹事までご一報下さい。

≪記≫

第10回記念マアルマート・ツアー事前会合・夕食会

日 時:1月17日(金)午後6時半より
会 場:イタリア料理レストラン Al Ceppo (アルチェッポ)
港区白金2-3-19 白金アネックス1階
電話番号:03-3280-5005
ウェッブサイト: http://r.gnavi.co.jp/g667200/

行き方:地下鉄南北線または三田線の白金高輪駅より徒歩4分ぐらい。1)3番出口を出てください。桜田通りに出ます。2)そのまま五反田方面(車が走ってくる方向)へ歩く。3)交差点(信号あり)を越えて直進。4)次の鋭角になっている角を5時の方向に右折。5)その先100メートル程で右側にアルチェッポの看板があります。

会 費:約7,000円

新鮮な魚介類をふんだんに使ったシチリア料理予定。

ご連絡:会場スペースの都合上、参加をご希望の方は速やかにメール・電話にて幹事までお問い合わせ下さい。

マアルマート協議会 幹事 新谷電話:5765-7223  Email: let05504@nifty.comウェッブサイト: http://homepage1.nifty.com/erico/matour1.html

なお、第10回記念マアルマート・ツアーの参加者も募集中です。マアルマート協議会や第10回記念ツアー日程案などについて詳しくお知りになりたい方は、上記ウェッブサイトをご参照頂くか、幹事までご一報頂ければ資料をご送付致します。お気軽にお問い合わせください。

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ご意見・ご要望をお気軽にお寄せ下さい。

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