****** global middle east *************** issue No.0017 **********
グ ロ - バ ル ミ ド ル イ ー ス ト
*** From Erico Inc. Editor/ Ken-ichi Matsuoka ***** 18/03/2002****
みなさん、こんにちは。東京では桜がもう咲いています。お彼岸とお花見が一緒に来ます。貴地は如何ですか?
【コンテンツ】1.アル・ジャジーラ通訳日記/ ガリレオ計画 新谷 恵司2.「イスラムの映画、映画のイスラム」3.新刊案内:【新イスラム事典】を買いました4.NHKスペシャル「世界のメディアは”新しい戦争”をどう伝えたか」
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1.アル・ジャジーラ通訳日記 by 新谷 恵司============================================================
ガリレオ計画
多くのサンデー・ドライバーにとって、「カーナビ」は、誠に重宝なものである。目的地を入力しておけば、後はコンピュータに指示されるとおりに走ればよい。どんな分かりにくい場所でも、最短距離、最短時間で到着することができる。間違えて道を曲がっても、怒りもせず、根気良く最後まで案内してくれる。
この現代の魔法を可能にしたシステムの重要部分は、GPS(global positioning system) と呼ばれる米国の軍事技術であり、これが民生用に開放されて、便利な世の中になった。高度2万数千キロメートルを飛んでいる複数(3つ以上)の人工衛星が発する電波を受けることにより、地球上の正確な位置を決めることができるのだという。言うのは簡単だが、それを小さな箱で受けて、その箱が正確に現在地と道順を教えてくれるのは、本当に驚きである。
ただ、読者はお気付きのように、位置を知る、どんなに精度の高いシステムがあったとしても、地上の情報(=地図)がアバウトでは、このナビゲーション・システムは機能しない。GPSの電波は地上に平等に降ってきているが、このシステムの利便を享受できるのは、地図が整備されている先進国だけだ。
先日、カーナビに導かれて運転していたところ、この機械も見事に道に迷うということを発見した。地図はどんなに正確を期しても、誤差が生じることは避けられない。2,3mの差で二本の道が続けて分岐している変則的な交差点を曲がった時、ナビは見事に間違えた。
カーナビの間違いは、休日のエピソードとして楽しい回り道すら演出するが、トマホークの間違いは、笑い事でない。幸せな家庭が一瞬にして吹き飛ばされ、人間の肉片と臓物が宙に舞う。それは何の罪もないアフガニスタンの村人達が直面した現実であった。
米国がイラクを本格攻撃するか否か、チェイニー副大統領が中東歴訪を終え、フセイン政権が国連査察団の受け入れに関し決断するころには見とおしが出てくるだろう。イラクが国連諸決議の実行、とくに査察の受け入れを拒んでいることの大きな理由のひとつは、結局国連の言いなりになっても、それは米国の思う壺であり、政権の崩壊は早まるほかない、という判断だろう。国連査察団の収集した情報が、米国に筒抜けであり、結果としてトマホークを誘導するための詳細な地図を描かせていたに過ぎなかったことが明かになっている。
先日バルセロナで会合したEU首脳は、米国のGPSに代わるEU独自の衛星ポジショニングシステム「ガリレオ計画」を打ち上げた。30個の衛星で全地球をカバーし、現在のGPS以上に正確な誘導システムが立ち上がるという。しかし、それは人類にどんな幸せをもたらすものだろうか。人類の狂気を、正常な状態へ導いてくれる衛星を打ち上げることはできないものだろうか。そのためには人間が、人間の手で、そのための地図を描かなければならない。
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<最終案内>4月のモロッコ・ツアーにつきましてはまだ残席が若干ございます。興味のある方は直ちに幹事までお問合せください。
★日出ずる国から、日沈む国へ。地上のパラダイスを探し求めてモロッコ・パリ14日間 (2002年4月17日(水)~30日(火)
★-予定参加費用:48万円(2人部屋利用1名様料金)
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2.「イスラムの映画、映画のイスラム」==============================================================
国際交流基金アジアセンターでは、「イスラムの映画、映画のイスラム」と題する特集上映が行われるとのご案内を読者から賜りました。ありがとうございます。
日時:3/14(木)~21(木)場所:国際交流基金フォーラム(港区赤坂)詳細はhttp://www.jpf.go.jp/j/others_j/whats_j/0202/02-05.html
特に21日(木)最終日はモロッコへ行く人必見かな。
◎『魂のそよかぜ』(Breeze of the Soul) 3/21(木)11:00シリア/1997年/カラー/91分監督:アブドルラティフ・アブドルハミド(Abdullatif Abdulhamid)父はいないが心優しく明るいサミルは、戦場で出会ったマリアンとお互いに一目惚れ。しかしマリアンには許婚のユセフがいた。古き良きハリウッド映画を彷彿とさせるようなユーモアとペーソスに富むエンターテイメント映画。秀逸な音楽も聴き逃せない。
◎『女房の夫を探して』(Searching for My Wife’s Husband) 3/21(木)13:00モロッコ/1994年/カラー/84分監督:ムハンマド・アブデッラハマーン・タージ(Mohamed Abderrahman Tazi)3番目の妻と三度目の離婚をしたハッジ。後悔するが、四度目の結婚は相手が一度離婚しない限り許されない。妻を取り戻すために妻の夫探しをするという、イスラーム社会ならではの矛盾に満ちたハッジの試練が始まる。90年代におけるモロッコ映画再生の口火を切った大ヒット作。
◎『ラグレットの夏』(A Summer in La Goulette) 3/21(木)15:00チュニジア/1996年/カラー/100分監督:フェリッド・ブーゲディール(Ferid Boughedir)1967年、第三次中東戦争勃発前夜の海辺の町ラグレットを舞台に、アラブ系・ユダヤ系・キリスト系の、宗教、民族が異なる3つの家族の夏の日々を、軽妙洒脱なタッチで描いた作品。チュニジア出身の女優クラウディア・カルディナーレがゲスト出演している。
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ヤスミン・トリオ@下北沢LADY JANE 公演アラブ音楽のインストルメンタル、邦楽とアラブ音楽の融合、そしてインプロビゼーション。出演: 松田嘉子(ウード)竹間ジュン(ナイ・レク)池上眞吾(箏・三絃)
日時: 2002年3月31日(日) 7:00開場 7:30開演場所: ライブハウスLADY JANE(世田谷区代沢5-31-14 Tel. 03-3412-3947)京王井の頭線・下北沢下車南口茶沢通り沿い(お問合せも同ハウス)料金: 2,500円 (オーダー別)地図などの詳細は以下にあります。http://www.arab-music.com/yt_lady_jane.html
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3.新刊案内:【新イスラム事典】を買いました==============================================================
監修:日本イスラム協会+嶋田襄平+板垣雄三+佐藤次高3月11日 初版第1刷発行 定価:本体4,000円 平凡社
1982年に《イスラム事典》として刊行されて以来、20年の歳月を経て全面改訂版【新イスラム事典】が発行されました。
振り返ればこの間、中東・イスラム世界ではイラン・イラク戦争から湾岸戦争、パレスチナ蜂起、アフガニスタン攻撃など大きな出来事が起りました。 また、1997年11月のエジプト・ルクソールにおいて日本人を含む外国人観光客が武装グループに殺害されるなど、日本人にとってもイスラムは無縁では済まされなくなっています。
本書ではイスラムに関するキーワードやキーパーソンだけではなく、昨今の中東アラブ情勢に関する時事的な項目も解説されており、言わば「イスラム・中東アラブ事典」として利用できるものと思われます。 (ハッサン)
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4.NHKスペシャル「世界のメディアは”新しい戦争”をどう伝えたか」==============================================================
来たる3月22日(金)の午後7時30分より、NHK総合テレビにおいて、弊社が編集のお手伝いをした標記番組が放送されます。どうぞご覧下さい。
(シノプシス/NHKウエッブサイトより引用)
同時多発テロ以降、米国の放送メディアは、まずテロの惨事に自失し、報復を是とする政府と世論に傾斜していった。愛国心か報道の自由か、選択を迫られたメディアは、虚々実々の情報戦の渦に巻き込まれていった。一方、中東の小国カタールのテレビ局アルジャジーラは、タリバン側の映像を独占取材することで世界中のメディアを席巻、米国寄りの報道一色に染まった湾岸戦争とは事態が異なり、今回の戦いで、イスラム側の声を伝える原動力となった。今回の“新しい戦争”を世界の放送メディアはどう伝え、どんな課題が突きつけられたのか。情報戦の渦中にいた人々の証言をもとに検証する・・・。
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<編集後記>
先日都内の某アラブ料理レストランで食事をしました。週末だからなのか思いのほかお客さんが多く、アラブ料理も徐々にファンが増えているのだろうかと考えていました。ライスとスパゲティのソースかけコシャリ(エジプト)、粒粒パスタのクスクス(北アフリカ)、ひよこ豆ペーストのホンモス(レバノン)、ミントティーなどなど、アラブ料理ならではの珍味・美味をもっと身近に(そして安く)食べられる時が来ることを願って。(ハッサン)
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