No.26 / 2002.10.11

***** global middle east ************* issue No.0026 **********
グ ロ - バ ル  ミ ド ル イ ー ス ト
*** From Erico Inc. Editor/Ken-ichi Matsuoka **** 11/10/2002***

皆さん、こんにちは。お元気ですか。今回は湾岸諸国出張中の新谷の寄稿文、ご愛読者様からのお便りをご紹介致します。

【コンテンツ】
1.イラク襲撃前夜の湾岸を行く
2.Mail from readers(読者からのお便り)

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1.イラク襲撃前夜の湾岸を行く   by 新谷 恵司=========================================================
米国主導によるイラクへの軍事攻撃が秒読み段階に入った。もちろん、ここで言う軍事攻撃とは、サッダーム・フセイン放逐のための総攻撃のことである。軍事攻撃だけを言うなら、9日もバスラのレーダー施設への攻撃があったとの報道があるように、過去10年以上、米英軍機は国連決議のお墨付きを得て、飛行禁止区域内を我が物顔で飛びまわり、危険そうなレーダー施設をことごとく爆撃してきた。

大坂夏の陣にも比すべき、とどめの攻撃がいよいよ始まるのである。それにしても10年以上、根気よく待ったものである。大坂城は外堀を埋められて落城したが、イラクは飛行禁止区域を設定し、その区域内での無抵抗を保障するための徹底した空爆の後、ようやく総攻撃に移るのだ。相手に化学兵器を使われると、米軍側の人的損害も覚悟しなければならないため、念には念を入れてミサイルの発射を防ごうとしているのだ。少しでも米側に人的損害が出ると、米国世論の変化が恐ろしいのだ。

それほど、この戦争は大義なき戦争でもある。CIAの報告にもあるように、イラクが防衛目的以外に生化学兵器を使う可能性は極めて低く、逆に攻め込めば、それを使われる可能性が高い。それでも、ブッシュ政権が大量破壊兵器のことを言うのは、フセイン政権の存在そのものが「許されない」からであって、同政権を放逐して、中東に新しい秩序を構築する、という明確な目標があるからである。アルジャジーラの人気番組「反対方向」が最近テーマとした、「イラクはなぜ攻撃されなければならないのか。大量破壊兵器を持っているからか、それとも、石油資源が大量にあるからか。」という問いに答えるとすれば、それは明らかに後者である。

サッダームの独裁政権は(それ自体米国が育てた側面が大きいのだが)、中東地域に巣食う大きなガン細胞である。もはや、抗がん剤(国連制裁)は効かず、生きるか死ぬかの大手術(戦争)をしなければ、治らない状態だ。近隣アラブ諸国の指導者は誰よりそのことが分かっているのだが、これまで痛い手術を嫌がっていた。しかし今は、出来るだけ早く、なるべく痛くないようにやってほしい、と願っている。これが、例えばサウド・サウジアラビア外相の「国連決議があるならサウジアラビアからの攻撃を容認する」との発言の真意だろう。手術の失敗は、近隣湾岸諸国でのイスラム主義、アラブ民族主義の暴発を招くからだ。

カタールにある湾岸最大の重要空軍基地・ウデイドは、米軍中央司令部が移転し、イラク攻撃司令の中心的役割を果たす可能性が高いと言われている。9日、地元報道機関及び一部のテレビ・通信社に取材訪問が許された。この記者ツアーで米軍・カタル軍側が強調したのは、現在は、同基地がアフガニスタンに対する「Operation Enduring Freedom」作戦の空中給油、兵站輸送のみを任務としており、イラクの飛行禁止監視任務にはついていないということであった。しかし米側がこの湾岸最新鋭の設備を恒常的に使用したいとカタル側に要請していることについても、率直に報道された。

カタル軍の所有である同基地には、現在、最大で2000名の兵力を収容できる米軍キャンプが併設されている。9月30日に独占放映されたアルジャジーラの報道によれば、米軍兵士は「まるで米国本土にいるのと何ら変わらない素晴らしい環境」と絶賛していた。これが、「極めて良好な関係」にあるカタル政府の許可を得て、恒常的な米軍施設に変わっていくことは確実である。

湾岸諸国の政府から一般市民に至るまで、誰しもが期待し、願っているのは、「今となっては」の但し書き付きで、米国の保護による、安定した政治と経済的繁栄の達成である。その上に、米国が何とかシオニストの横暴を抑えてくれて、イスラム教徒にもう少し敬意を払ってくれればよいのだが、という甘~い期待がくっついている。
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2.Mail from readers(読者からのお便り)===============================================================
ウード奏者 / アラブ音楽研究家の松田嘉子様からメールを頂きました。11月の海外公演を目前に控えた10月24日、東京のライブハウスにて出演されるとのこと。秋の夜長のひとときに、ウード、ナイ、レクが奏でるアラブ音楽の旋律に耳を傾けてみてはいかがでしょう。

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こんにちは。アラブ音楽の松田嘉子です。寒暖の激しい秋ですが、皆さまにはいかがお過ごしでしょうか。10月24日「ル・クラブ・バシュラフ」ライブのご案内です。私たちは11月にエジブト公演を控えて、緊張の毎日です。

今年6月にアラブ世界研究所主催・第3回音楽フェスティバル(フランス)に出演し、大好評を得たヤスミントリオが、今度は伝統あるカイロ・オペラハウス主催の、「第11回アラブ音楽フェスティバル」(エジプト)に招聘されました。2002年11月にカイロとアレクサンドリアで公演します。

そのメンバーの2人(竹間ジュン/松田嘉子)によるル・クラブ・バシュラフは、新宿のライヴハウス「ミノトール2」に出演します。ミノトール2は、靖国通り沿いにあるお洒落なライヴ&レストラン。おいしい料理と、落ち着いた大人の空間のお店です。エジプト渡航直前ライヴで、ウード、ナイ、レクによるアラブ音楽を、存分にお楽しみいただければ幸いです。アラブ音楽の仕組みのお話や、楽器の説明なども行う予定です。皆さまお誘い合わせの上、ぜひお出かけ下さいませ。

//////////////////////////////////////////////////////////////LE CLUB BACHRAF at MINOTAURE 2《ル・クラブ・バシュラフ@新宿ミノトール2》http://www.arab-music.com/lcb_minotaure.html

日時:2002年10月24日(木) 開店18:30 開演19:30場所:ミノトール2(新宿区新宿5-11龍正堂ビルB1)都営新宿線・新宿三丁目駅C7出口からすぐ。新宿伊勢丹クイーンズシェフ隣、靖国通沿い、厚生年金手前200m。料金:2,000円 + オーダー予約・お問い合わせ:ミノトール2 03-3341-2655

ミノトール2のページ(地図があります)http://www.sinjuku-minotaure2.com/

演奏:ル・クラブ・バシュラフ松田嘉子  ウード竹間ジュン ナイ・レク===============================================================<編集後記>PCの話。先日受けた質問の回答から申し上げると、日本語のウィンドウズOSを入れたPCでも、アラビア語やフランス語など英語以外の言語も入力できるようになります。専門の人以外使う機会も少ないでしょうが、新たにソフトを購入しなくても、ちょっとした設定変更を加えるだけ。右から現れるアラビア語体験を是非。詳細はメールにて。(Hassan)

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