***** global middle east ************* issue No.0029 **********
グ ロ - バ ル ミ ド ル イ ー ス ト
*** From Erico Inc. Editor/Ken-ichi Matsuoka ****26/03/2003 ***
【コンテンツ】
1.誤爆 by 新谷 恵司
2.お待たせ!「イラク再生」が本日より店頭販売
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1.誤爆 by 新谷 恵司
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バグダッドに大空襲があったその瞬間、もちろんアルジャジーラはその光景を生中継していた。キャスターのアドナーンが唾を呑み込んだ後、こう言った。「今、《非》大量破壊兵器が爆発しました。」
読者もご覧になったと思うが、実況中継される燃え盛る炎と次々に立ちあがるキノコ雲。「この戦争は大量破壊兵器を使わせないための戦争ではなかったのでしょうか」というアドナーンの二の句を待つまでもなく、やりきれない憤りに身を包んだのは、私だけではあるまい。まして、戦争体験のある皆さんはどんな思いであろうか。
もっとも米軍の罪は、大量破壊だけでない。あまり大きく報道されなかったが、24日、米軍はまたしても民間人を標的とする攻撃を行った。戦乱を避け、故国のシリアへ逃げようとしていたシリア人数十名の乗ったバスにミサイルを放ったのだ。アルジャジーラが、現場で被害者の救急に当たった地元の人の証言を伝えるなど、きちんと報道していたので私も注目できたのだが、米軍は「誤爆」と発表し、悪びれるところもない。5人が死亡、10名以上が負傷したらしい。
独裁のために経済が悪く、働き口もないため仕方なく隣国の独裁政権の下で出稼ぎするシリア人。なのにその国も危なくなって避難する最中の出来事であろう。どこまでも運が悪いというべきか、神様はなんと不公平なことをされるのか。
「誤爆」という言葉を聞く度に思い出すのは、イラン・イラク紛争も終わりかけた1988年に起きた、イラン航空機撃墜事件だ。最新鋭の米海軍イージス艦が、ペルシャ湾をドバイに向けて航行中だったイラン航空のエアバスを「攻撃してくる戦闘機と誤認(!)」して撃ち落し、300名近い無辜の命が失われた。今度のバス攻撃について米軍は、橋を攻撃したら偶々バスが通った、というような言い訳をしているらしい・・・。それは、「愛媛丸」を《撃沈》しながら、その翌日もまたその後も妻と手をつないで歩くことを許され、結局罪に問われることのなかったワドル艦長の例に見られる、超法規的存在としての米軍であればこその、許されざる言い訳であろう。
実に米軍は、超法規国家である。ナーシリヤで捕虜になった米兵がイラク軍人に尋問されているところが報道された。「イラクへ何しにきた?」パスポートにビザを貰って入国したわけではないのである。米軍関係者は、我が物顔で世界を渡り、無辜の市民の幸福を踏み躙っている。歯止めが欲しい。
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2.お待たせ!「イラク再生」が本日より店頭販売===============================================================
前号でご案内した新谷恵司著「イラク再生」‐アラブ・メディアがもたらす民主化‐第三文明社刊(定価\1,200+税)が、全国主要書店で一斉に発売になります。今後のイラク情勢を占う上で、基礎となる情報がわかりやすく書かれた好著とご好評を頂いております。お近くの書店で見つからないときは下記へ。
「イラク再生」 -アラブ・メディアがもたらす民主化-新谷恵司著 第三文明社刊 200頁 定価\1,200+税
主な内容:アラブの苦悩・王制と共和制・「第三次」湾岸戦争自由メディアの勃興・ニュース専門チャンネル・アラブの民主化・日本外交の課題・イラクの改革とアラブ新時代など
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<編集後記>
「アルジャジーラって何だろう?とネット検索していたらこのメールマガジンのサイトにヒットしました」というメールを頂く様になりました。「角度を変えた切り口」に今後もご期待下さい。(Hassan)
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