No.32 / 2003.09.08

***** global middle east ************* issue No.32 **********
グ ロ - バ ル  ミ ド ル イ ー ス ト
*** From Erico Inc. Editor/Ken-ichi Matsuoka **** 08/09/2003 ***

【コンテンツ】
1.トップ・ジャーナリストの逮捕     by 新谷 恵司
2.カタールの現代芸術展

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1.トップ・ジャーナリストの逮捕    by 新谷 恵司=========================================================

5日、アルジャジーラの有名記者であるタイシール・アッルーニ氏が、スペインのグラナダの自宅を訪れたスペイン諜報当局員により逮捕された。アッルーニ氏は、オサマ・ビンラディンのメッセージ・ビデオを入手してアルジャジーラを一躍有名にし、また、空爆下のカブールから無辜の市民の嘆き・苦しみを伝えたことで世界的なジャーナリストを代表する顔となっていた。アッルーニ夫人の話によれば、当局者はアッルーニ氏逮捕の理由として、同氏がアルカーイダに所属している疑いがあるとの逮捕状を示した由。

このニュースを理解するには、少し説明が要る。まず、アッルーニ氏はシリア生まれであるが、経済学を学ぶためにスペインに留学し、博士号を取得してスペイン人の夫人と結婚したことなどにより、スペイン国籍を有し、自宅もスペインにあるということ。そして、彼は2年前のカブール支局爆撃から危ういところで難を逃れカタールの本社勤務に戻っていたが、イラク戦争報道のためにバグダッドへ行ったことを除いては、今回の休暇が、西側官憲が自由に同人にアクセスできるおそらく最初の機会であったと思われることだ。私はこの日あることを懸念し、「あなたは当分ドーハにいるべきだ」と言ったものである。先月ドーハを訪ねた時、彼は既にスペインへ旅立った後であった。

アルジャジーラが対テロ戦争報道で有名になって以来、同局とそのスタッフに対する、殺人を含めた嫌がらせ行為が後を絶たない。この間、私はドーハを訪問した3度の機会にアッルーニ氏とお会いし、日本の報道機関のインタビューをお手伝いしたり、自ら、関心あることなどを尋ねたりして、その一部については拙著「イラク再生」でもご紹介した。(同書p.120など。ご購入はアマゾン: http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4476032516/qid%3D1049165130/249-1189832-2290713 などで)

彼にコーヒーの借りがあるから言うのでないが、嫌がらせ、というより言論弾圧もここまで露骨になると黙っていられない。アルカーイダを取材しようという人間がなぜアルカーイダなのか?宗教的過激主義と、アッルーニは対極にあると言ってよい人間だ。警察と泥棒を一緒にした、このようなばかげた行為が、対テロ戦争という「美名」の下に何でも正当化されていることは大変憂慮されることである。日本の報道機関も怒ってほしい。そしてこの事件は、無実の罪で連行され、ひどい場合には裁判を受けることもなくなぶり殺しにされている人たちが他にもたくさんいる、という事実を改めて思い起させる。アフガニスタン戦争で逮捕され、グアンタナモ基地に連れて行かれたアルカーイダ容疑者達である。その多くは無実であることを、残された家族が訴えている。アラブ人であるというだけ、イスラム教徒だというだけでいわれのない差別、被害にあう、ということが今もまかり通っている。

文明社会は何処へ行ってしまったのか。

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グローバル・ミドル・イーストは、スペイン当局によるアッルーニ記者逮捕を強く遺憾とし、同人の即時釈放を求めます。スペイン司法当局は、自らが犯している文明に対する犯罪行為の重さを知るべきです。
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下記、サイトに事実関係を掲載しました。ご照覧下さい。

http://homepage1.nifty.com/erico/aluni_arrested.html

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2.カタールの現代芸術展
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アラビア語カリグラフィをモチーフにした、カタールの気鋭の芸術家:アリー・ハサン氏の個展が今週より赤坂の国際交流基金フォーラムで開かれます。詳細は下記サイトにて。

(新谷評:小生が書記官をしていた20年近く前からカタールで起っている、アラブの伝統美を現代芸術へ昇華させる試みです。ぜひご覧下さい。)

http://www.japan-arab.org/event/

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