パレスチナ問題

パレスチナ問題の現状をわかり易く言えば、「盗人猛々しい」という表現に尽きる。強盗団が民家に押し入り、住人を追い出した。住人はホームレスとなり、何とか家に戻りたいのだが、その村の警察(国連)は弱く、暴力団(アメリカ)の方が幅を利かせている。暴力団は泥棒などという正義にもとる行為は良くない、と表向きは言うが、この泥棒は使える子分であり、ハジキを買ってくれたり、暴力団の幹部に献金をしたり役に立つ存在なので、その家を占拠し続けることを助けている。
村の住民(日本やヨーロッパ諸国)は、と言えば、この強盗団が過去にそれぞれの家に行っては迷惑をかけていたので、この家に居座っている限り自分たちは安全と、占拠そのものは仕方がないと考えている。それでも、寒空に追い出された住人はさすがにかわいそうだし、村の新たな問題にもなるので、テントをあげたり、食事をあげたりして世話している。実は、強盗団は住人のいとこで、もともとその家は強盗の首領の親(ダビデ)の名義だっだのだが、戦争のどさくさで親が留守にしているうちに今の住人が住んでいた、だから泥棒ではない、という議論を展開している。村人は、認めないまでも、仕方がない一族だ、と見て見ぬふりをしている。
住人は、だれも助けてくれないので実力で取り返そうと何度も試みたが、親戚(アラブ諸国)も暴力団が怖くて助けてくれない。そこで、いつまでもテント暮らしはつらいので、せめて庭先の馬小屋(暫定自治区)に住まわせてもらえないかと交渉したら、占拠した家の周りの見回りに疲れた泥棒たちは「いいよ」と同意した。ところが、泥棒の中から「軒先を貸したら終わり。母屋を取られる」と主張するものが現れ、仲違いし、合意した首領(ラビン)を殺してしまった。合意は白紙に戻り、絶望した住人は、再び自分で取り戻そうと画策したが、武器を売ってくれる村人がいないので、花火を買い、火薬を詰めては手製のロケット花火にして泥棒たちに撃ち込んだ。強盗団は、これ幸いと暴力団から入手していた高性能の武器を惜しげもなく使用して元住人を虐殺した。これを目の当たりにした村人たちは、「いくら何でもひどい」と強盗団を処罰しなければならないと考え始めたが、暴力団は今も強盗の味方をしているので、結局何もできない。
このような状況下で、占領地の住民や、イスラエル・アラブ(イスラエル国内に市民権を得て住んでいるアラブ人)に話を聞くのはいともたやすい。「われわれはこんなに苦労している」という話が怒涛のように出てきて、助けてほしいと懇願される。日本を含め、世界のメディアは常に、この取材し易い方の論理に偏る傾向がある。その結果は、よくてテントや食糧を追加することにしかならず、本質的な解決には役立たない。世界(村人)が必要としているのは、暴力団・強盗組との対話である。
いきなり、重い話題になったが、そんな問題意識でイスラエルを旅した。

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