イスタンブール会議

イスタンブールで2つの重要な会議が相次いで開かれた。
一つはリビアの将来を決定づける(反政府勢力支援)「連絡調整会議」であり、もうひとつはシリアの反体制派調整会議だ。
「リビア」
15日、リビアに関する連絡調整会議がイスタンブールで開かれ、暫定国民評議会(TNC)を支援する約30の国々が出席した。報道によると、ロシア、中国は今回初めて招かれたが、参加しなかった由。
この会議の重要性は、参加国が、暫定国民評議会を「正当な政府」と呼んで「政府承認」したことにある。特にBBCが伝えたクリントン国務長官の発言は、明確で疑念を挟む余地のない支援姿勢である。クリントン国務長官は、「米国は、カダフィ政権がリビアにおいてもはや何らの正当性も有していないと考える」「米国は、TNCをリビアの正当な政府として承認し、今後、このことに立脚して同評議会と付き合って行く」と述べた。
更に重要なことは、この承認によって、米国その他の国々で差し押さえら得ているリビア資産(事実上、「カダフィのお金」だった!)がTNCのものとなることだ。会議は紛争終結のために資金の一部がTNC側にリリースされるべきことも決議しているようなので、情勢が大きく動いていく予感がある。
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   暫定国民評議会を率いるアブドルジャリル議長
「シリア」
16日、シリアの反体制諸派も会議を開き、「救国評議会」を結成することを決議した。この評議会には25の様々な政治勢力が参加している。
様々な民族、宗派によって構成されているシリアという国の事情を反映して、反アサド政権は一枚岩でない。従って、会議が「アサド後」の受け皿となる「影の内閣」を作ろうとしても一致せず、新国名すら合意できないという限界が露見している。「シリア・アラブ共和国」という名前を主張した会議から、クルド人たちが「それではクルド人の居場所がない」と言って脱退したのだ。
米国の立場も、明確な対リビア姿勢とは異なり、揺れ動いている。クリントン国務長官は、かつて「アサド政権はもはや正当性を失った」と発言しているが、新たに「シリアの国内情勢に国外から影響を与えることはできない」と述べた。CNNが伝えた同長官の発言は「われわれはそれぞれの考えを述べ、われわれが願っている『変革』を応援する以外、誰も真の影響力を有してはいない」というものであり、明らかな後退だ。アサド政権の安定は、イスラエルの安全保障に有利に働いていた側面があり、また、その崩壊は、地域に大きな不安定の種となるため、米国として明確なイニシアティブを示すことができないのである。

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