矛盾する観測

ダマスカスの一部で大きな戦闘が起きたことは事実のようだ。
自由シリア軍側は、「軽火器でダマスカスを解放する」と豪語している由だが、桶狭間のような展開が有り得るのだろうか。
シリア情勢をめぐっては、ここに来て、2つの異なる見方が並立している。
イスラエル情報筋は、1万3千人のシリア政府軍将兵が離脱していて、その中には多数の高位軍人が含まれているとして、アサド大統領の失脚は近い、と見ている。一方、ロシアは、シリアにはアサド体制を支持する国民の層が厚く存在するので、大統領を退任させることができると考えるのは非現実的だと言っている。
ジュネーブ会議で、ロシアは「シリア国民が望むならば」という3つの単語を付け加えることで、シリアの政権移行を容認する決議に同調しながら、その意味を骨抜きにした。独裁体制が崩壊しない限り、国民の意志が奈辺にあるかを判断することなどできないからだ。
ただ、今もアサド体制を支持する人が多くいることはまぎれもない事実である。しかし、多数はどちらか?と言えば、多くは長く続いた独裁に辟易しているし、何より、現在のとめどもなく苦しい生活状況と命の危険をぬぐい去る解決を望んでいることだろう。
力で押さえつける者は、力で押し返される。軍と市民の反乱が雪崩現象を起こせば、劇的な展開が待っている。両陣営がそのために宣伝合戦に血道を上げているため、本当の情勢が見えない。私は、これまでロシアの報道の方がむしろ現実に近いと感じていたが、事態は進んでいるようだ。
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ダマスカス解放まで戦う、と述べた「自由シリア軍(FSA)」スポークスマン

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