No.23 / 2002.07.25

***** global middle east ************* issue No.0023 **********
グ ロ - バ ル  ミ ド ル イ ー ス ト
*** From Erico Inc. Editor/Ken-ichi Matsuoka **** 25/07/2002***

こんにちは。暑い日が続きます。中東・地中海世界の熱い話題をお届けします。

【コンテンツ】
1.アルジャジーラ通訳日記/スペイン・モロッコ紛争
2.エミレーツ航空、10月より関西国際空港に就航予定
3.湾岸アラブ諸国の査証事情

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1.アルジャジーラ通訳日記スペイン・モロッコ紛争        by 新谷 恵司===============================================================
先週、アルジャジーラTVがトップニュースとして連日報道したのは、一層困難な情勢を迎えているパレスチナ問題ではなく、サッカー場1面程の広さしかないというライラ島(スペイン名:ペレヒル島)を巡るモロッコとスペインの確執だった。

いきなりスペイン軍兵士がヘリコプターで降下、モロッコの監視兵を捕虜にしたというので、そんなばかなと耳を疑った。しかしよく聞いてみると、そもそも係争地で、どちらの国も手をつけないという暗黙の了解があったのに、12日、モロッコが先に麻薬密輸、不法出国(出稼ぎ)取締りの目的でこの島に監視用ポストを作ろうと兵士を送り込んだことが紛争の端緒であると知った。

ならばモロッコの勇み足ではないか。それを軍事的解決だの、植民地支配の名残り、植民地主義的思考と大いに囃し立て、軍事的衝突の可能性すらあると報道したのは相当大げさだった。

しかし、一方でアルジャジーラの報道が優れていると常々思うのは、中東で起きる事件の根本的背景、また住民の反応、政府の考えなど、あらゆる角度から多くの情報を伝えてくれることだ。地域に特化した24時間ニュース専門チャンネルの特長が見事に生かされている。

モロッコ訛りのやや聞き取りにくい特派員報告を待つまでもなく、この事件の背景には、56年の独立以来モロッコがスペインに対し要求している、セウタ、メリリアの両市返還問題があることが理解された。宣伝するつもりはないが、セウタは我らマアルマート協議会のメンバーと四月に訪問したばかりだったので、美しいこの町の名所が次々とテレビ画面で紹介され、懐かしかった。

泳いでも渡れるほどモロッコの海岸に接している無人島にヘリコプターで「攻めてくる」とは何事・・・、英国がジブラルタル(注:1713年ユトレヒト条約でスペインが英国に割譲)を返還しようとしている時、スペインもセウタ、メリリアにいつまで居座るつもりか・・・こんな国民感情、被害者意識がモロッコ側、また同様の植民地支配を受けたアラブ諸国の人々の側にある。

しかし、と思う。何らかの既成事実を作って領土を拡げようとは、アラブが嫌うイスラエルの常套手段ではないか。領土の確定は、国際法に則り、あくまで話合いで行って欲しい。そしてそれ以上に思うことがあった。

モロッコはその長い歴史の遺産でもある理性と寛容の精神を発揮して、半永久的にセウタ・メリリアをスペイン領として残す英断を下してみたらどうだろうか。素晴らしい観光資源として。地中海パートナーシップに基づく欧州との交流の触媒として。そして、何より、植民地主義という忌まわしい人類の歴史の生きた博物館として。

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2.エミレーツ航空、遂に(関空)直行便を就航===============================================================
質の高い機内サービスで定評のあるエミレーツ航空(本社ドバイ)が、今秋10月1日よりドバイ・関西国際空港間の運行を開始するようです。東京では、この就航を祝うパーティが開かれ、フライトスケジュールも明らかにされていることから、今度という今度は本当なのでしょう。

というのは、同社が日本に乗り入れるというまことしやかな噂はもう何年も前からあったからです。しかし、その都度われわれ中東ファンは裏切られてきました。この就航実現には、関係者の多大なご苦労があったことでしょう。敬意を表したいと思います。

湾岸産油国と我が国の人的、経済的結びつきを大幅に強化する本格的エアリンクの登場に、個人的な感慨があります。

10年前、私は公務員として湾岸四ヶ国と日本の航空協定締結のための仕事に関与していました。これは国家間の交渉・条約を締結することで現代のように便利な世の中になっても、国際便が就航するためには、例外なくこのような協定が必要なのです。

湾岸四ヶ国というのは、ガルフ航空の構成株主であるバハレーン、オマーン、カタル、そしてアブダビ(UAE)でした。元来、湾岸諸国を代表する航空会社はガルフ航空であり、これらの国々から、早く日本に乗り入れたい、という強い希望が表明されていたました。

この航空協定は、小生が一生懸命仕事した(!)こともあり、間もなく成立しました。ですから、今日のこの日まで飛行機が飛んでいないということが信じられないとも言えるのですが、問題は、航空会社の選定(指定)にありました。共同運航国である四ヶ国は、エアラインを共同で指定しなければならず、オマーン航空、カタル航空、そしてエミレーツ航空とそれぞれ個別の航空会社を育て始めた各国の意見が対立したのでした。

その後、どのような経緯を経たのかは聞いておりませんが、私の当時の仕事は、結果的には湾岸諸国のエアラインの日本就航の妨害をしただけだったのでは、どうしてもっと見通しを持って道をつけることが出来なかったかと、反省したものでした。

余談はさておき、フライト・スケジュールは次のように決ったようです。さあ、航空賃も「ドバイ価格!」を期待したいものですね。(Jaber)

《記》○就航開始:2002年10月1日予定(政府路線認可申請中)○空港:関西国際空港○使用機材:ボーイングB777-200(F,C,Y3クラス制)○運行予定:ドバイ関空間、週4便往復○EK316便(飛行所要時間:約9時間10分)ドバイ発02:30:月、火、木、土 関空着16:40(同日)○EK317便(飛行所要時間:約11時間)関空発23:30:月、火、木、土 ドバイ着:05:30(翌日)

詳細はエミレーツ航空ウェブサイトをご覧下さい(日本語ページ有)http://www.emirates.com/japan/jp/

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3.湾岸アラブ諸国の査証事情
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スポンサー(保証人)がいなければ入国できない原則のため、旅行代理店や現地ホテルに直接、入国許可の取得を依頼するなど何かと不便だった湾岸各国の査証申請。しかし最近は査証そのものが不要となったり、空港で簡単に取得できるようになるなど、かなり事情が変わってきました。

そこで、日本国籍の観光・商用目的の渡航者を対象にした査証情報をまとめてみました。

※査証情報は予告なく変更されることがあります。ご渡航に当っては各自、旅行代理店、在京大使館にご確認下さい。

【湾岸各国査証制度の現状】2002年7月25日現在●U.A.E.:査証不要・滞在可能期間:60日・旅券有効残存期間:入国時に3ヶ月以上必要・在京アラブ首長国連邦大使館 Tel:03-5489-0804

●カタル:空港到着時に一時滞在査証取得可能・滞在可能期間:14日・査証料金:US$14・旅券有効残存期間:日本帰国時まで必要・在京カタル国大使館 Tel:03-5475-0611

●オマーン:空港到着時に査証取得可能・滞在可能期間:14日・査証料金:7オマーン・リアルまたはUS$20程度・旅券有効残存期間:入国時に3ヶ月以上必要・帰路航空券及び所持金の確認を求められる場合有り・在京オマーン国大使館 Tel:03-3402-0877

●バーレーン:空港到着時に査証取得可能・滞在可能期間:14日・査証料金:US$30程度・旅券有効残存期間:不明・駐日公館:無し

●クウェート:在京大使館で事前に査証取得、又は現地スポンサーにNOC申請を依頼する・在京クウェート大使館:Tel:03-3455-0361

●サウジアラビア:渡航目的に応じ、個別に在京大使館に照会、事前に査証を得ること・在京サウジアラビア大使館:Tel:03-3589-5241===============================================================<編集後記>健康維持のため朝のラジオ体操に通い始めた。近所の公園にはお年寄や夏休みの子どもたちが集まっている。子どもの頃、何気なく体を動かしていただけだったラジオ体操。今や体の節々がバキバキ鳴り、ジャンプすると時間差で揺れる皮下脂肪に愕然。第二体操が終わる頃にはやれやれという体たらく。夏バテせぬよう続けよう。(ハッサン)

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