アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
1日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米、「対イラン制裁は継続する。外交の枠外での制裁解除はない」と声明。イラン「核合意を有効化する最良の方法は、米が合意に復帰して約束を全て履行することだ」と主張
■ 米国務省、イエメン危機をめぐり自国特使がサウジとオマーンで行った協議について、「実り多いものだった。恒常的停戦、包括的和平合意について話し合った」と説明
■ スーダン、「エチオピアによるルネッサンス・ダムの貯水に制限をかける建設的な交渉」への関与を米に呼びかけ。エチオピアは2度目の貯水に向けた作業を開始
■ 米アフガン特使、アフガン政府とタリバンの両代表団とドーハで協議。タリバンは「米軍は5月1日に撤退すべきだ」と強調
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―米国務省報道官は、「現行の対イラン制裁は、今後も有効であり続ける。外交的な道筋の枠外では解除されない」と強調。また「米は依然、イラン核合意への相互復帰を目的としたイランとの対話を始める用意がある」と改めて述べた。さらに「イランや他の諸課題で米の利益を脅かす行動を止めるよう、中国などへの働きかけを続ける」とした。一方、ラブロフ露外相は、「米政権はイラン核問題の膠着状態の打破を促すメッセージを送っている」と述べた。
―ザリーフ・イラン外相は、「米メディアが報じている核合意に関する米の提案は、受け入れられない」「米は全ての義務を履行すべきだ」と述べた。また「最良の方法は、米が核合意に復帰して全ての約束を実行することだ」「イラン政府は、核合意を実施するための暫定的な措置に反対しないが、それは有用ではないと考えている」とした。
―カージミー・イラク首相は、昨年5月の就任以来初めてサウジアラビアを訪問。ムハンマド・サウジ皇太子と共に、両国間の拡大会合に出席した。イラク首相事務所はこの会合について「経済、石油、電気、農業、投資の各分野の協議を行い、5つの協定を結んだ。今後も重要分野の協議を続けることを確認した」と説明。
―カサビー・サウジ情報相代行は、対イラク関係について「イラクはアラブの懐に戻らねばならない」「イラクへの投資や、相互のやり取りを強化せよとの(ムハンマド)皇太子の指示がある」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―レンダーキング対イエメン特使は、3度目の中東歴訪を終えて帰国した。米国務省報道官は、「サウジとオマーンで両国高官と実り多い協議ができた」「オマーンでは、イエメンの恒常的な停戦や包括的な和平合意締結に向けた国際的努力について主に話し合った」と述べた。
―米国務省は、「イエメン・ホデイダ港で、船舶からの燃料の陸揚げが継続すると楽観している」「サウジによる燃料提供などの支援を歓迎する」と声明。これに対し、ホウシー派が運営する石油会社は「我々の船舶2隻は、足止めされていた海域からイエメン海域外に出た。サウジ・UAE同盟軍はこの2隻のホデイダ入港を認めなかった」と発表。また「一般の消費に供する原油を積んだ8隻が数か月前からジャーザーン沖で拘束されたままだ」と主張した。
―サウジ情報相代行は、「イエメン危機の終結はサウジの優先事だ。イエメンの和平に向けた我が国のイニシアチブは、国際的に歓迎されている」と強調した。
○ エジプト情勢
―マフディ・スーダン外相は、ハルツームでブース米スーダン特使とルネッサンス・ダムについて協議。「ダム問題の他の当事国の同意なくエチオピアにダムの貯水を行わせないための、建設的交渉への関与」を呼びかけた。また「スーダンは(AUに加えて、国連、米、EUの)4者による仲介を求めた。エチオピアがダムの2度目の貯水を行うべく時間稼ぎをしているとわかったからだ」と述べた。一方、米特使は「ダム問題で技術的な支援を提供する」「全ての当事国が満足する、強制力ある合意が必要だ」と述べた。
―エチオピア国営通信は、「ルネッサンス・ダムの2度目の貯水に向けた森林伐採が始まった」と報道。駐カイロ・エチオピア大使は「ダム問題で全ての当事国を満足させる合意成立に向け、AU主導の交渉が近く再開する」と述べた。スーダンが提案した4者の仲介については「メディアを通じてしか聞いていない」と語った。
―エジプト・スーダン両国の空軍と特殊部隊「サーイカ(雷電)」は、スーダン北部メロウェ基地で合同演習「ナイルの鷲2」を開始。エジプト軍によると、「空軍合同作戦の効果的運営」に向けた「敵の標的への攻撃、重要施設防衛のための合同飛行」を行った。特殊部隊は突入・潜伏・偽装などの合同訓練を実施した由。スーダン軍参謀総長が演習を視察した。エジプトは、ルネッサンス・ダム問題をめぐり、シーシー大統領が「我が国の水の取り分を侵せば、地域の不安定化をもたらす対応をとる」と警告したばかり。
欧州政策研究所のジェームス・モラン氏(EUの元駐エジプト大使)の話:ダムの貯水は期間数年にまたがる問題であり、予想されるスーダンとエジプトの損失は甚大ではない。水利用や水資源管理の能力向上が重要で、これらにより両国は、水資源の損失をコントロールできるだろう。軍事エスカレートがダム問題の解決に資するとは到底考えられない。全関係国が外交努力を加速させ、新合意の成立を目指す必要がある。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―米国務省によると、ハリルザド米アフガニスタン特使はドーハで、アフガン政府、タリバンの双方の代表団と会合した。米国務省は「アフガンの各当事者に、交渉を進展させ、暴力を止めるよう圧力を加えるための会合だった」と説明した。一方、タリバンは「米特使に、ドーハ合意で定められた期限(5月1日)に米軍は撤退すべきだと強調した」「アフガン政府が管理する刑務所の被拘束者の解放、タリバン幹部のブラックリストからの削除が必要だ」としている。
―米アフガン特使は、スタネクザイ・アフガン政府交渉団長との(上記)会合で、アフガン政府とタリバンの和平協議を加速させることや、イスタンブールで開催予定のアフガン和平会合の準備状況について話し合った。
―米国務長官顧問は、「アフガンの政治ロードマップをめぐる議論を促すトルコの提案」について、「ドーハでの交渉を補完するものだ」と歓迎。また「国連事務総長のアフガン特使任命を歓迎し、アフガンの和解に向けた国連の前向きな役割に期待する」「アフガンの恒常的和平へのプロセスを支援するため、露、中、パキスタンなどと緊密に取り組む」と述べた。
○ マグレブ情勢
―ドベイバ・リビア挙国一致内閣首相は、「エジプトの水と国家安全保障は、リビアの国家安全保障の一部だ」「ルネッサンス・ダム問題で、エジプトとスーダンを全面的に支持し、全ての国にとって公正な解決に至るのを後押しする」とツイートした。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―米国務省は3月26日声明を発し、イランに支援されたイエメンの反政府組織「ホウシー派」がサウジアラビア南部・ジーザーンの石油施設を攻撃したことを非難した。
バイデン政権は、ホウシー派を「テロ組織リスト」から削除して以来、初めて、明確に非難を行った形。声明は「ホウシー派の行動は、紛争の長期化と国際的なエネルギー供給の妨害を狙った明らかな挑発であり、一般市民に対する脅威である」、「それは、国際社会が一致して停戦を支持し、紛争の解決を見出そうとしている重要な時期に和平に向けた努力を脅かすものだ」などと述べている。米国は今後欧州の支援も得て、サウジが提案している停戦の実現を図っていくものとみられる。(アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
―国別感染状況(トルコ)
感染者数ランキングで世界8位、中東1位のコロナ感染大国。
累積感染者数:3,277,880人(38,557)、累積死者数:31,385人(369)。カッコ内は人口百万人当たり。
新規感染者数、死亡者数共に急増しており、第3波の様相。新規感染者数は1月24日の5,277人から3月30日には37,303人まで急騰。第2波のピーク、32,137人(12月7日)を約5千人上回り、なお増加傾向か。収束の見通しは立っていない。
ーイラン国防省の高官は、国産ワクチン「Fakhra」について、試験接種を受けた15人の健康状態は良好だ、3カ月以内に大量生産体制に入る見通しと発表した。(アルマヤディーン・ネット)
<特記事項・気付きの点>
―特になし