エリコ・モニタリング・レポート

2021年10月31日 (No.21214)

◆ エリコの目より ―米研究所「Responsible Statecraft」のハイデン・シュミット研究員の分析。アフガン後、バイデン政権の中東撤退方針は中東の同盟国を不安に陥れている。R.ハース米外交問題評議会会長は、米の軍事的優越が衰えると、自由でない、より暴力的な社会が生じると論じているが、これには反対の意見が多い。むしろ、各国が相互のよりよい外交チャンネルを構築するよい機会を提供するのではないか、と。
エリコ・モニタリング・レポート

2021年10月30日 (No.21213)

◆ エリコの目より ―イスラエル公共放送が報じたところによると、イスラエル政府は、従来のカタールに代わって、UAEをガザ地区の住民の「給与」支払いに関与させたい意向であったが、UAE側は「ガザ地区への送金はハマスへの支援となる」として完全に断った由。カタールのこれまでのガザ地区への支援は3000万ドルに及び、うち、1千万ドルは地区唯一の火力発電所への燃料費、別の1千万ドルは遺族貧困家族支援、残りの1千万ドルがガザ地区の労働者の給与支援である。
エリコ・モニタリング・レポート

2021年10月29日 (No.21212)

◆ エリコの目より ーエルサレム最大のイスラム教徒墓地である「ユーセフィーヤ墓地」の北側の一角が、聖書(トーラー)公園建設のため「改修」されている。イスラエルの裁判所が、エルサレムのイスラム墓地保護委員会の異議申立てを却下したことから、ブルドーザーによる整地作業が数日前より続いている。息子の墓にしがみついて抗議するパレスチナの女性の動画は拡散し、同情が集まっている。ブルドーザーが掘り起こしたため、死者の遺骨が幾多露出し、エルサレム市民の怒りが高まっている。ハマスは、人道上許されない行為に沈黙している者は恥ずべきであるとしてインティファーダを呼びかけている。
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2021年10月28日 (No.21211)

◆ エリコの目より ーイランは、アフガニスタンが経済・人道危機に直面しないよう国連主導で支援国会議を行うことを支持している域内の10カ国のひとつであるが、同国に隣接していることから、タリバン政府に次の3つの要求をしている。①テロリストが越境侵入しないよう、国境管理すること、②イスラム国(IS)が国内で成長しないよう取り締まること、③シーア派少数民族の安全を確保すること。  カブール陥落後の混乱で、既に避難民の流入が激しいところ、イランとしてはこれ以上の混乱は困る。また、密輸業者はアフガニスタン製の阿片をイラン経由で欧州に流している。この取り締まりへの協力も求めている。ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。
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2021年10月27日 (No.21210)

◆ エリコの目より ―先週発生したヨルダン国境に近いシリア領内にある米軍の拠点に対するドローン攻撃は、イランが関与していると見られているが、ワシントンポスト紙は、イランが米軍に対する攻撃を激化させる兆候と見ている。革命防衛隊系の「通信社」は、この攻撃がイスラエルによるパルミラ郊外の民兵組織拠点への攻撃に対する報復であり、大きな成功を収めた、これからも米軍に対する攻撃は続けられる、と主張している。
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2021年10月26日 (No.21209)

◆ エリコの目より ―サウジアラビアは26日、「緑の中東」と銘打った地球環境対策要綱を発表する予定であるが、これに先立ちアブドルアジズ・エネルギー相は、同国が今後もエネルギーの輸出に取り組むと同時に石油資源分野における工業化を進める考えを示した。同時に、2030年までに400万トンの水素を生産・輸出する計画であると明らかにした。
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2021年10月25日 (No.21208)

◆ エリコの目より ―米の戦略研究者ゴールドシュタインの発表した報告:米のベトナム、アフガニスタンにおける敗北は、内戦の負け組に賭けてしまった結果であるが、同じことを台湾で繰り返すのか。米軍は1年前から密かに台湾に軍を派遣していたことが報じられた。現在の緊張の連鎖を作り出したのは、トランプ前大統領が蔡英文総裁の当選に直接祝意の電話を掛けるという「愚かな決定」を実行したことだった。それでも、台湾は優れた民主国家として米のパートナーであり、アフガニスタンとは異なる。
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2021年10月24日 (No.21207)

◆ エリコの目より ー「欧州はなぜチュニジアにイエローカードを突きつけたのか」。ジュンーヌ・アフリック誌がチュニジアの政変を巡る欧州・米国の政治的立場を分析した。記事によれば、EUは直ちにチュニジア議会の再開を要求しているのではなく、全当事者の対話によって、現行の大統領独裁状況を改善することを勧告している。しかし、チュニジア国民の受け止め方としては、「内政干渉」と感じる勢力も少なからずいる。
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2021年10月23日 (No.21206)

◆ エリコの目より ―エコノミスト誌は、レバノンでヒズボラと「レバノン軍団」の間で銃撃戦が発生し、内戦の危機がささやかれていることに関する記事を掲載、正規軍よりも強くて大きい民兵組織を抱えるヒズボラが、「敵を負かせることはできても、レバノンの崩壊を止めることはできない」と報じている。レバノン通貨の下落(1$=1,200リラから現在では1$=21,000リラ)で正規軍兵士の実質給与は60ドル以下になり、インフレ率は100%を超えている由。銃撃戦の背景は、ベイルート港爆発事件の捜査がヒズボラに及んでいることだが、きちんとした捜査・裁判は期待できそうにない。
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2021年10月22日 (No.21205)

◆ エリコの目より ー英国東部エセックス州で保守党のエイメス議員を刺殺した実行犯(アリー・ハルビー・アリー)は、治安当局の取り調べに対し、「自分はIS(イスラム国)のメンバーであり、何年も前から議員殺害を計画していた」と供述している。ロイターが報じた。アリー(25歳)は、ソマリア系英国人。BBCによれば、数年前に英国の「暴力的過激主義防止事業」でリストアップされていた過去がある。