2021年10月29日 (No.21212)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

29日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ 米大統領、スーダン移行政府に関連する諸機関の復帰と、すべての拘束者の解放を呼びかける。安保理は各当事者に無条件での対話実施を促す

■ スーダン首都圏のハルツーム・バフリの抗議デモで1人死亡、2人負傷。軍司令官は「党派に関係なく、統治機構には各州の代表を含める」と確認。国軍は閉鎖されていた首都の道路や橋を開放

■ ヒズボラ、レバノン情報相に対する「キャンペーン」を非難し、同氏の解任に関する呼びかけを一切拒否。レバノン大統領は、「情報相の発言は国の見解を反映したものではない」と確認

■ チュニジア・スファックスで民間企業の従業員が給与の引き上げを求めるストライキを行う。大統領は同市での危機の解決策を早急に見出すことを呼びかけ、「(危機の)目的は国民への嫌がらせだ」とする

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―クルダーヒー・レバノン情報相のイエメン情勢に関する(サウジ・UAE同盟軍を非難し、ホウシー派を擁護した)発言について、レバノンのヒズボラは声明で、「サウジ、UAE、湾岸協力会議(GCC)の情報相に対する『不当なキャンペーン』を非難する」「情報相を解任する、または辞任させることに関する呼びかけを一切拒否する。これはレバノンに対する露骨な攻撃だ」と述べた。

―上記に対して、レバノンの政党「未来潮流」は、ヒズボラによる「アラブの兄弟に対する中傷と、レバノンの利益を再び危険に晒す行為」を強く非難し、「ヒズボラは、サウジとUAEの怒りを招く形でイエメンでの戦争に言及した情報相を擁護している」と述べた。

―アウン・レバノン大統領はツイッターで、「湾岸諸国に関するクルダーヒー情報相の発言は就任前のもので、」「同氏の発言は国の見解を反映したものではなく、一個人の立場がレバノンの立場とみなされ、扱われるべきではない」との見方を示した。またミーカーティ・レバノン首相は27日に出した声明で、「レバノンはアラブおよび湾岸諸国との最良の関係(を維持すること)を重視している」と述べた。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―イエメンで展開するサウジ・UAE同盟軍は28日、「マアリブ近郊のカッサーラ、ジュバ両地区に対して過去24時間に実施した22回の攻撃でホウシー派の95人を殺害し、軍用車11台が破壊された」と発表した。また同盟軍はこれに先立ち、「ホウシー派がサウジ南西部ジャーザーンに向けて発射した弾道ミサイル5発を迎撃した」と述べた。

―イエメン・マアリブ県南部アムード地区でホウシー派が部族長老の自宅等を弾道ミサイルで攻撃し、民間人12人死亡が死亡した。目撃情報によると、長老の自宅を含む家屋5軒が攻撃された。同派はこれまでのところコメントせず。

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―特になし

○ マグレブ情勢

―チュニジア首都チュニス南方のスファックスで、民間企業の従業員が給与の引き上げと、国民の購買力の向上を求めるストライキを行った。こうした中、大統領は同市での危機の解決策を早急に見出すことを呼びかけ、「(危機の)目的は国民への嫌がらせだ」と述べた。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―スーダン情勢:

・バイデン米大統領は28日に声明で、「スーダンでのここ最近の出来事は深刻な後退だ」「スーダン国民には平和的な抗議が許可されるべきだ」「自らの声を届け、民主国家への一歩を踏み出そうとしているスーダン国民の勇気に感心している」と述べ、「米は、革命の目的達成に向けたスーダン国民とその平和的闘争の味方であり続ける」と確認した。また、軍司令部に対し、「移行政府諸機関の復帰と、すべての拘束者の即時解放」を呼びかけ、「スーダンの全当事者は、民主的移行の完了に向けた共通のビジョンを取り戻すことが可能だ」との見方を示した。

・国連安保理は28日に出した声明でスーダン国軍による権力掌握に深刻な懸念を表明し、「(2019年8月に定まった暫定憲法)『憲法宣言文書』に基づく、文民の率いる移行政府の復帰と、すべての拘束者の解放」を求めたほか、各当事者に対し「前提条件なしで対話を行うよう」促した。

・ペルテス・スーダン担当国連事務総長特使(国連スーダン統合移行支援団・UNITAMS代表)は、「ブルハーン・スーダン軍司令官と27日に会談し、25日以来拘束されている人々に関して深刻な懸念を伝えた」「政治的な理由で拘束されている全員の即時解放と、拘束者とすぐに連絡を取ることを求めた」と述べ、ブルハーン司令官に「情勢を激化させる行為を止め、共同統治の復帰のための政治的解決に向けてハムドゥーク首相との対話を開始するよう」促したほか、「軍と治安機関には、平和的抗議の権利尊重を保証し、デモ参加者の安全を守る責任がある」と強調した。

・軍事クーデターに対する抗議活動が4日連続で行われる中、スーダン医師中央委員会は「首都北部のハルツーム・バフリで28日にデモ参加者1人死亡、2人が重傷を負った」と述べた。活動家らはSNS上で、「死亡した1人は国軍派の武装集団の発砲を受けた」と訴えた。またロイター通信は目撃情報として、「治安部隊が実弾やゴム弾をデモ隊に対して使用している姿が確認された」と伝えた

・ブルハーン司令官によって解散が発表された内閣の灌漑相はアルジャジーラに対し、「当局は、私や外相、そのほか閣僚がハムドゥーク首相と面会することを禁じた」と述べた。また、同司令官が、暫定統治評議会(TSC)と内閣の解散、非常事態の宣言の決定に対する拒否を表明した各国に駐在するスーダンの大使ら計6人を解任したことを受け、外務省は情報省が出した声明で「クーデターを拒否する大使らは、スーダンの正統な代表だ」「軍司令官の決定は違法であり、憲法上の根拠がない」と述べた。
こうした中、ブルハーン司令官は「党派に関係なく、統治機構には各州の代表を含める」と確認した。

・アルジャジーラの特派員によると、ハルツーム国際空港で28日に3日ぶりに航空便の運航が再開され、航空機2機が離陸した。これに先立ち、スーダン民間航空当局はハルツーム発着の全便を30日まで停止すると発表し、これに合わせた運航を国内外の航空各社に呼びかけた。
また、国軍はハルツーム、ハルツーム・バフリ、オムドゥルマンを結ぶ首都圏の複数の橋を開放し、道路の開放にも着手している。

エリコの目

ーエルサレム最大のイスラム教徒墓地である「ユーセフィーヤ墓地」の北側の一角が、聖書(トーラー)公園建設のため「改修」されている。イスラエルの裁判所が、エルサレムのイスラム墓地保護委員会の異議申立てを却下したことから、ブルドーザーによる整地作業が数日前より続いている。息子の墓にしがみついて抗議するパレスチナの女性の動画は拡散し、同情が集まっている。ブルドーザーが掘り起こしたため、死者の遺骨が幾多露出し、エルサレム市民の怒りが高まっている。ハマスは、人道上許されない行為に沈黙している者は恥ずべきであるとしてインティファーダを呼びかけている。(アラビー21、BBCアラビア語)

الاحتلال يواصل نبش وتجريف المقبرة اليوسفية بالقدس - عربي21
يواصل الاحتلال الإسرائيلي، لليوم الرابع على التوالي، أعمال الحفر والجرف والنبش في المقبرة اليوسفية بالقدس المحتلة..
"جسد ابني ذاب في التراب هنا" - BBC News عربي
تستمر السلطات الإسرائيلية في عمليات تجريف المنطقة الشمالية من أحد أكبر وأهم المقابر الإسلامية القريبة من المسجد الأقصى.

<特記事項・気付きの点>

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