2021年10月25日 (No.21208)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

25日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ スーダンで反暫定政府デモが続く中、統治評議会議長は「移行期間を守る義務を果たす」と確認し、米特使は危機打開のための提案をする

■ イラク議会選挙の結果に抗議する政治諸勢力、不服申し立てへの「選択的対処」を拒否し、全ての票を手作業で開票・集計し直すよう求める。サドル師はイラクへの内政干渉に対して警告

■ リビア高等選挙管理委員会、「選挙の期日を決定せず、実施のための計画を立てた」と発表し、「代表議会を立法機関とみなさない。政治の当事者ではない」と述べる

■レアル・マドリード、「エル・クラシコ」でバルセロナに2-1で勝利。リバプールはプレミアリーグでマンチェスター・ユナイテッドに5-0で勝利。パリ・サンジェルマンはマルセイユとの試合で引き分け

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―イランのハメネイ最高指導者はテヘランで開催されているイスラム団結国際会議の参加者らとの面会中、「一部のアラブ諸国によるイスラエルとの国交正常化の決定は、大きな過ちだ」「米はイスラム諸国間に不和を植え付けようとしている」「過去数週間にアフガニスタンで発生した攻撃は、かつて米が創設に一役買ったテロ集団の手引きによって行われた」と述べた。

―イランのシャムハーニー国家安全保障最高評議会書記はツイッターで、イスラエルがイランに対する軍事的選択のために15億ドルを予算に充てるとした決定を非難し、「イランは、自国領土に対するイスラエルによるいかなる攻撃に対しても容赦なく反撃する」「イランに対する悪行を実施するために予算を割く代わりに、イランの容赦ない反撃による損害から立ち直るために、数百億ドルの予算を確保することを考えるべきだ」とした。

―イランのライシ大統領は、「イランは核合意の枠組みにおいて約束したことを順守している」「欧米諸国は決定を下すことにおいて、危機に直面している」「イランは、(核合意をめぐる)交渉やその他の同様の諸問題と自国経済を結び付けるつもりはない」「イランの外交政策は、全ての国々、特に近隣諸国との良好な関係の形成に基づいている」と述べた。

―イラク選挙管理委員会に対し、議会選挙の結果に抗議するデモの組織委員会が与えた「盗まれた票を取り戻すため」の72時間の猶予が数時間後に切れる中、選挙結果に反対する諸派の支持者らは、バグダッド中心部のグリーゾーンの前でデモを6日連続で続けている。このような中、サドル潮流のサドル指導者は、外国による干渉を警告し、一方、法治国家連合のマーリキー指導者(元首相)は、危機の打開を呼びかけた。

―イラク議会選挙の結果に反対する政治諸勢力は、「法治国家連合」の代表事務所で会合を開き、「発表された選挙結果と、選挙管理委員会による不服申し立てへの対処における選択的なやり方を受け入れない」と確認し、選管委に対して「票の集計作業と発表に伴う過ちを正すよう」求め、大統領に対しては「憲法を守る者として、より危険な事態が起こらないようにすべく介入するよう」要請した。また、治安部隊に対し、「平和的なデモ参加者を守っている」として謝意を示し、「我々は、正当な要求を支援し、これを実現するために憲法によって認められているあらゆる活動を継続する」と表明した。

―イラク選挙管理委員会は、「選挙結果への不服申し立ての審査を続けている」「これらの不服申し立ては、同委員会の司法担当委員会へ助言とともに送られる予定だ」「選挙結果に疑いのある選挙区で、手作業による開票・集計が完了した後、最終結果を発表する」「手作業による開票・集計は、27日にニーナワー県から開始し、続いて、委員会が決定した日程に基づいて他県でも実施される」と発表した。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―国連移住機関(IOM)は、「4百万人以上のイエメン人が何度も暴力から避難しなければならなかった」と述べた。また、イエメンの避難民キャンプ運営局は、「政府軍とホウシー派との戦闘により、マアリブ県に避難民約2万人が到着した」と述べた。

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―アッバース・パレスチナ大統領はパレスチナ指導部の会合の中で、米政権に対し、「東エルサレムの米領事館を再開するとの約束を果たすよう」求め、更に「ワシントンのPLO代表部を再開し、トランプ前米政権によるパレスチナ当局に対する『財政的封鎖』を終わらせるよう」要請した。また、「ハマースやイスラム聖戦運動を含む諸派間の包括的対話の強化、国際的な正当性を有する挙国一致内閣の樹立、そしてガザ復興の再開のために、取り組む必要がある」と述べた。

―ベネスランド国連中東和平特別調整官は、「東エルサレムを含む西岸地区の全入植地は、国際法によると違法である」「それは和平にとって大きな障害であり続けるだろう。直ちに停止すべきだ」と述べ、イスラエルが入植地の拡大を続けていることに懸念を表明した。一方、イスラエルの「土地管理局」は、エルキン住宅相の指示により、同地区の様々な地域での新たな入植用住宅ユニット約1300戸の建設と販売のための入札を公告した。ベネット政権になって、入植用住宅の建設が承認されたのは初めてとされる。

○ 国際テロ・過激主義情勢

―特になし

○ マグレブ情勢

―リビア高等選挙管理委員会のサーイフ委員長は、「日程を決定せず、大統領・議会選挙の実施計画を立てた」「同委員会は、政府が来月初めに、立候補者を受け付けるための法務委員会等を設置するのを待っている」「同委員会は、代表議会を政治の当事者とみなしていない」「同委員会は公正な選挙を実施する責任を放棄しない」と述べた。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―スーダン統治評議会の声明によると、ブルハーン同評議会議長は、「現在の政治危機を終わらせるため、あらゆる障害や課題を克服すべく、政治諸勢力との協働を望んでいる」と述べ、フェルトマン米「アフリカの角」地域担当特使との会談中、移行期を成功させることへの米の支援と尽力を賞賛した。また、「軍は、自由で公平な選挙・完全な民政移行に向けて、移行期と、憲法宣言文書及びジュバ和平合意に基づく作業を守る責任がある」と改めて述べた。

―スーダン統治評議会の声明によると、フェルトマン米「アフリカの角」地域担当特使は、「移行期が成功するかどうかは、暫定統治機構(の再編)を完了できるかどうかに依る」と述べた。米特使は危機打開のための提案をし、ブルハーン統治評議会議長は「ハムドゥーク首相とこの提案について検討する」と約束。また、スーダン閣僚評議会の声明によると、米特使は「民政移行、及び憲法宣言文書とジュバ和平合意の履行完了の路線を強化し、国民の要求を実現することによって、現在の危機を脱する出口はある」との楽観を示した。一方、首相府はツイッターで、「ハムドゥーク首相はここ2日間で3度目の米特使との会談を行い、現在の政治危機を脱する方策について協議した」と明らかにした。

―スーダン解放運動ミナウィ派(SLM-MM)を率いるミナウィ・ダルフール地方長官(「自由変革勢力(FFC)-国民憲章グループ」幹部)は、共和国宮殿広場でハムドゥーク政権の解散を求めるデモ参加者の前で演説し、「特定のグループに独占された民政を受け入れるつもりはない」と述べた。一方、「FFC-中央評議会グループ」のサーレハ指導者は、デモ隊がハルツームで主要道路や橋を閉鎖していることを「国の諸事の進展を妨害するための試みだ」と述べた。

―スーダン東部のベジャ族族長最高評議会のティルク議長は、同評議会と協議するために暫定政府が代表団を派遣することを歓迎し、「政府を構成する文民・軍人が対立する中、東部の危機の打開策を見出せるとは期待していない」「東部で港が閉鎖される中、暫定政府が代替港に頼ろうというのは『好戦的な発言』だ。同評議会は武器を所有していないが、東部の住民の正当で公平な権利を獲得したいと思っている」と述べた。

―スーダン暫定政府筋によると、(東部での)港の閉鎖が原因で、ハルツームの小麦の備蓄が25日朝に全く無くなり、28日に燃料が枯渇する。また、東部で幹線道路が閉鎖されている危機の中、ハルツームは日々、小麦粉8千袋(同州の消費量の25%に相当)を小麦・小麦粉管理中央室から受け取っている。暫定政府は、北部州の備蓄やポートスーダンにある国連の支援用の小麦を利用すべく取り組んでおり、現在、首相の特使としてポートスーダンにいる灌漑相が、危機を乗り切るため尽力している。

エリコの目

―「米は台湾でアフガニスタンの失敗を繰り返すのか」米の戦略研究者ゴールドシュタイン(米海軍士官学校准教授)の発表した報告は次のように論じている。
米のベトナム、アフガニスタンにおける敗北は、内戦の負け組に賭けてしまった結果であるが、同じことを台湾で繰り返すのか。米軍は1年前から密かに台湾に軍を派遣していたことが報じられた。現在の緊張の連鎖を作り出したのは、トランプ前大統領が蔡英文総裁の当選に直接祝意の電話を掛けるという「愚かな決定」を実行したことだった。それでも、台湾は優れた民主国家として米のパートナーであり、アフガニスタンとは異なる。(アルアラブ紙)

https://alarab.co.uk/node/260237

<特記事項・気付きの点>

―特になし

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