アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
8日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ ヨルダン国王、国民に宛てた書状で「ハムザ前皇太子は家族と共に自身の宮殿で私の保護下にいる」「内紛を起こそうとした勢力は内外に存在」と説明
■ 米、「核合意と整合性のない対イラン制裁を解除する用意がある」と表明。イ ランはウィーンでの核合意をめぐる会合を「相互理解に至るための機会」と評価
■エチオピア、「ルネッサンスダムの2度目の貯水は予定の期日に行う」と発表。スーダンは「ダムの貯水は地域の平和と安全を脅かす」、エジプト大統領は「あらゆる選択肢が可能」と警告
■仏、レバノンの政治家らに対する制裁的措置を示唆。レバノン大統領は「中銀が会計監査を阻害したら、仏のレバノン救済案は打撃を受ける」と警告
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
-特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―プライス米国務省報道官は、「米には、イランとの核合意順守に戻るために合意との整合性のない制裁について見直しを行う用意がある」と述べた。ウィーンでは、核合意署名国による会合(米とイランの間接協議)が続いている。また、6日の会合後に設置された2つの専門家委員会が今週末を期限として作業を開始している。
―ルドリアン仏外相は、「自らの利益を実現する中で国益を疎かにしたレバノンの政治家らに対する措置の具体的な案の作成に取り組んでいる」「仏は躊躇することなく責任を果たし、この件に関して適切な措置を取る」と警告。また、「レバノンの政治勢力は、新政府樹立の流れを意図的に妨害し、危機的状況にある自国を救済しないという罪を犯している。同国で危機が続いているのは彼らの責任だ」と非難した。
―レバノンのアウン大統領は、「レバノン中央銀行がその口座に対する(米コンサルティング会社「アルバレス・アンド・マーサル」の)会計監査を阻害したら、仏のイニシアチブ(レバノン支援を目的とした改革等の提案)は打撃を受ける。なぜなら、監査なくして国際的支援はないからだ」と警告した。
―米国務省は、ビデオ会議形式の第3回米・イラク戦略対話の締めくくりの共同声明で、「イラクでの米軍と有志連合の任務は、主に訓練と助言の提供に移行した」「米軍は、イラク政府の要請の下で、同国治安部隊の対IS戦を支援するために駐留している」と表明した。今回の対話会合では、治安・テロ対策以外に、経済・エネルギー・環境・政治の各分野での諸課題が取り上げられた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
-特になし
○ エジプト情勢
―コンゴ民主共和国の首都キンシャサで開かれていたルネッサンスダムをめぐるエジプト・スーダン・エチオピアの交渉が6日に終了。エチオピアのシレシ水・灌漑・エネルギー相は、7日にアディスアベバで記者会見を開き、「エチオピアは、ルネッサンスダムの2度目の貯水作業に関する全ての情報を提供する義務を果たす」「貯水作業は予定通り7月に行われる」と表明した。また、「エジプトとスーダンによるAU主導の交渉を台無しにしてオブザーバーらの役割を拡大する試みを拒否する」と述べつつ、「エチオピアはナイル川の水の公正な使用の原則にこだわる」「交渉を完了させるべきだ」とも述べた。
―エジプトのシーシー大統領は、エジプトの水利権を侵害しないようエチオピアに警告し、「エジプトの前にはあらゆる選択肢が開かれている」「エジプトとスーダンは、ダムの件に関する行動で連携を取っている」と述べた。
―スーダンのアッバース水資源・灌漑・電力相は、「ルネッサンスダム問題への対応において、国際法の下で、スーダンの前にはあらゆる選択肢が開かれている」「ルネッサンスダム問題で公正な合意に達することが出来なければ、地域の平和と安全が脅かされる」と警告した。
○ 中東和平(占領地情勢)
―プライス米国務省報道官は、「国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出金を再開し、米の国益と法に合う形で支援を行う」と発表した。トランプ前政権は、UNRWAに対する拠出金を停止していた。プライス報道官はまた、「米は、イスラエル人とパレスチナ人の安全・繁栄・自由の強化にコミットする」「UNRWAへの米の支援は、2国家共存解決に向けた前進に役立つ」と表明した。
―イスラエルのエルダン駐米・国連大使は、米国務省との協議で上記の米の決定に対する失望を表し、「UNRWAが対イスラエルの扇動を停止し、教育課程から反ユダヤ主義的内容を除く等の改革を行う保証がない状態で拠出金再開を行うべきではない」と主張した。また、「イスラエルは、UNRWAの施設で行われる反イスラエル・反ユダヤ主義の活動に激しく反対する」「UNRWAは現在の形で存続するべきではない」との見解を示した。
―パレスチナ大統領府は、バイデン米大統領が「イスラエル・パレスチナ紛争の本質的な解決策としての2国家共存解決にコミットする」と述べ、ブリンケン国務長官が「UNRWAへの拠出金再開を始めとして、パレスチナの人々に対する経済・開発・人道上の支援を再開する」と発表したことを歓迎、「UNRWAへの支援は、パレスチナや周辺諸国で暮らしている数十万人の学生および数百万人の住民への教育・保健サービスの提供に役立つ」とした。
○ 国際テロ・過激主義情勢
-特になし
○ マグレブ情勢
-特になし
○ トルコ情勢
-特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―ヨルダンのアブドラ国王は、国民に向けた公開状の中で、「内紛は葬り去られた。ハムザ王子(前皇太子)は王家の人々の前で、『父祖がつけた道を歩み、彼らの教えに忠実に振舞い、ヨルダンの国益・憲法・法を最上段に掲げる』と約束した」と説明し、「国民の結束と軍・治安機関の献身のおかげで、ヨルダンは安全で安定した国家であり続ける」と宣言した。
―ヨルダン王宮府は、「アブドラ国王はバイデン米大統領から電話連絡を受け、米はヨルダンに全面的に連帯すると伝えられた」「バイデン大統領はまた、ヨルダンが国家の安全と安定を維持するために取った措置・決定に賛同すると述べた」と声明した。
―ヨルダン国王は、同国を訪れたフォンデアライエン欧州委員長と会談し、地域内外の最新情勢をめぐって協議した。欧州委員長は、「EUは、アブドラ国王が率いるヨルダンを全面的に支持する」と表明した。
―カタール外務省の発表によると、同国のムハンマド外相兼副首相は、スーダン統治評議会のブルハーン議長とドーハで会談し、投資分野を中心とする両国関係と地域の最新情勢をめぐって協議した。
エリコの目
―イスラエルの軍事専門家の「イスラエル・ディフェンス」誌への投稿要旨。「外交的解決が望ましいが、米政権がこれに失敗した場合に困るのはイスラエル。イスラエルはイラン空爆に踏み切る可能性が高い。」「イランの核合意違反はやがて核兵器の開発に至る。その時期については意見の対立があるが、既に保有しているイスラエルを射程とするミサイルに搭載される前に破壊されるべき。」(ラアイ・アルヨウム)
中東の新型コロナ動向
―国別感染状況(エジプト)
エジプトの公式発表数字の信頼性は低い。累積感染者数は204、965人であるが、これは実態の数分の1から10分の1程度であろう。累積死者数12,163人、これもかなり小さく出ている数値ではないか。ただ、少な目に出されている数字であっても恣意的な操作がないという仮定で見ると、その増減は感染状況の動向を示唆する。同国では昨年6月中旬をピークに一旦感染は下火となったが、昨年暮れから第2波の様相。新規死者数は1月3日に64人を記録して以降、毎日約50人程度の水準から下がる気配がない。
新規感染者数は2月2日の521人から漸増中で、4月6日の新規感染者は778人 死亡者は43人であった。
<特記事項・気付きの点>
-特になし