アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
9日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ イラン、「紅海でのイラン船攻撃の責任はイスラエルと米にある」として反撃を警告
■ 黒海上空で米軍機が飛行するとともに、米はウクライナ支援のために戦艦の派遣を検討。露は「予想されるいかなる敵対行為も阻止できる」と述べる
■ ルネッサンス・ダムをめぐるキンシャサでの協議が失敗した後、米は「危機打開のために支援する用意がある」と表明。エジプトは問題の複雑化を警告
■ スーダンのダルフールで部族間衝突が発生し、更なる死傷者。統治評議会議長はカタールを訪問し、「和平プロセスにおけるカタールの主要な役割」を確認し、支援の継続を要請
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラン軍報道官は、「紅海でのイラン船『サビズ』への攻撃(6日)に対して、確実に反撃するつもりだ。反撃の性質や形は調査の終了後、決定される」と表明し、「非難の矛先はイスラエルと米に向いている」「イランは、いかなる湾岸諸国もこの攻撃に関与していると非難していない」と述べた。
―ウィーンで行われている核合意をめぐる専門家会合が、米の合意復帰に向けたロードマップで合意に至るべく、前向きな雰囲気の中で続いている。会合は9日に終了する。ロウハニ・イラン大統領は、「米による前向きな措置に対しては、前向きに対処するつもりだ」と表明。イスラエルは今後、核合意の再生や対イラン制裁解除に向けた取り組みを妨害すると見られ、コーヘン・イスラエル諜報特務庁(モサド)長官が近々、訪米する。
―アラグチ・イラン外務次官(核問題交渉団長)は、「ウィーンでの(核合意をめぐる)交渉では、米の制裁が一度に全面解除されることについて、明確な形で取り上げられる」「制裁が全面解除されれば、イランは再び、核合意を完全に履行する」と述べた。
―ネタニヤフ・イスラエル首相は、「自国を脅かすイランとのいかなる国際的合意も受け入れない」「イスラエルは、イランに核兵器の開発を可能にさせる合意を押し付けられることはない」と述べた。また、「イランとの合意は、同国に核兵器(保有)への道を開く。それは我々の存在を脅かすものだ」「我々の唯一の義務は、謀略によって我々を破滅させようとする者を阻止することだ」と述べた。
―サキ米大統領府報道官は、「イランと現在行っている協議には、同国で拘束されている米国人のこの先の処遇についても話し合われている。現在、イランとの直接交渉が行われていないため、このような問題に関しては、イラン側との様々なチャンネルを通じて(協議が)進められる」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―ルネッサンス・ダム関連情勢
・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、「米はルネッサンス・ダムをめぐる危機の打開において、エチオピアを支援する用意がある」と述べた。また米大統領府は、「同大統領補佐官はエチオピア副首相と、スーダンとの国境地帯ファシャカに関する対立を解消するため、またルネッサンス・ダムをめぐる危機に関して平和的に解決するために、AUの支援によって地域諸国首脳との対話を続ける重要性について電話で話し合った」と明らかにした。
・マフディ・スーダン外相は、「8週間以内に合意に至るため、チセケディ・コンゴ民主共和国(現AU議長国)大統領が交渉プロセスを円滑化することによって当事諸国との調整を行う、との提案をエチオピアは拒否した。それによってキンシャサでの会合が失敗した」「シレシ・エチオピア水・灌漑・エネルギー相が『交渉の仲介に南アが参加することをエジプトとスーダンが拒否した』と述べたことは、不正確であり、遺憾である」「スーダンはルネッサンス・ダム建設のために、エチオピアに政治的支援を提供した」「ダムをめぐる危機の解決に軍事的選択の余地はない」「エチオピアが地域の安全と安定を揺るがすことを阻止すべく、政治的選択について協議されている」と述べた。
・ブルハーン・スーダン統治評議会議長は、「スーダンはエチオピアとのあらゆる懸案事項の解決を望んでいる」「ダムをめぐる交渉は、成果のないまま必要以上に時間がかかっている」と述べ、「意見をすり合わせるために仲介は必要である」と強調した。
・アブドルアーティ・エジプト水資源・灌漑相は、「エチオピアはキンシャサでの会合において、あらゆる解決策を拒否した」「同会合では何の進展もなく、交渉再開に関する合意にも至らなかった」「エチオピアは交渉再開を拒否した。これにより、危機はより複雑化し、地域の緊張は増大するだろう」と述べた。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタンからの米軍の撤収に関してサキ米大統領府報道官は、「バイデン大統領は5月1日より前に、アフガン駐留米軍に関して決定する」と述べつつ、「5月1日までに米軍を撤収させる作業が難航していることは確かだ」「この日程は最終的なものではない」と述べた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―ブルハーン・スーダン統治評議会議長はカタールを訪問してタミーム首長と会談し、「カタールは、ダルフール地方の和平プロセスにおいて、主要な役割を果たしている」と述べ、同国に支援の継続を要請。また、両者は、2国間関係とその強化・発展の方策、地域・国際情勢などについても協議した。
―スーダンのドゥーマ西ダルフール州知事は、「(州都ジュネイナで3日から続いている)部族間での武力衝突による死者は、132人に上った」「治安維持のために要請した増援部隊はまだ、到着していない」と述べた。
アルジャジーラ・ネットより:同知事によると、現在の市内の情勢は比較的落ち着いており、戦闘は行われていない模様。電気・水などの公共サービスは再開されたが、略奪行為が発生している。チャドやリビアなどの他、南・北・中部ダルフールから入って来た「民兵」が戦闘に参加しており、その一部は軍服やカドムール(ダルフール地方やチャドの砂漠の部族が使用している顔や頭部を覆う布)を着用していた。これらの民兵は略奪のみが目的で、重火器を使用していたことが確認されている。
―米大統領府は、「サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)とエチオピア副首相は、ティグレ州における危機打開のため、人道支援物資の搬入の拡大・敵対行為の停止・外国軍の撤退・人権侵害に関する調査など、必要な措置について電話で話し合った」と明らかにした。一方、プライス米国務省報道官は、「米は同州における被害者に対し、追加の人道支援として1億5千万ドル超を提供するつもりだ」と表明。
エリコの目
―イランのサレヒ原子力庁長官は、現在イランには濃縮度20%のウランが57㎏存在していると述べた。過去に様々な種類の遠心分離機を増設した結果、濃縮の能力は2013年に13000SWUであったものが、現在は16500SWUにまで拡大した由。この結果、今年年末までに、濃縮度20%のウラン燃料は120Kgに増加する見込みである由。(アルマヤディーン)
中東の新型コロナ動向
―国別感染状況(カタール)
カタール保健省の発表によれば、8日、累計ワクチン接種回数が百万回を超え、1,012,716回となった。人口280万人の国として、かなり順調である。しかし、感染状況は世界的な傾向に違わず、拡大傾向を続けている。
百万人当たり累積死者数は108人(日本73人、UAE151人)で、それ程高くないが、7日の新規感染者数は940人と、今年1月当初の約200人水準から大幅に増えている。この日記録した死者数8人も、これまでで最大。
<特記事項・気付きの点>
―特になし