2021年4月10日 (No.21010)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

10日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ 米、核合意と整合性のない対イラン制裁を解除する用意があると表明。仏は「いかなる新たな合意違反も行わないよう」イランに呼びかける。イランは「保証のない『前向きな兆候』に基づいて(諸措置を)撤回することはない」と確認

■ 露・ウクライナ間の危機が激化。露は(ウクライナ東部)ドンバスへの軍事介入の可能性を排除せず。米が懸念を表明。トルコも危機に介入

■ サウジアラビア、ホウシー派が(同国南部の)ジャーザーンとハミース・ムシャイトに向けて発射した弾道ミサイルと無人機を迎撃。同派は「(サウジ・UAE)同盟軍がマアリブの広範囲で空爆を実施した」と述べる

■ 欧州が新型コロナウイルスのジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの副反応を調査。仏は2回目のワクチン接種をアストラゼネカ製ではなく、ファイザー製かモデルナ製にすることを決定

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―イラン核合意をめぐるウィーンでの会合が4日間の協議を経て終了。最終日では、米の合意復帰に向けたロードマップに至るために可能な措置に関して専門家委員会がビジョンを示した。EUは声明で、「協議は建設的だった」と評価した。一方で米国務省報道官は、「米は核合意の履行に戻るために必要な措置を講じ、合意と整合性のない対イラン制裁を解除する用意がある」と述べた。

―カマルバンディ・イラン原子力庁報道官は、「ウィーンでの会合の結果が前向きなものか否かについて判断するには時期尚早だ」「イランは、保証のない『前向きな兆候』に基づいて核合意の履行軽減措置を凍結することはない」「イランが解除を求めた米の制裁のリストには、1600もの制裁の形(項目)が含まれている」と確認し、「合意復帰におけるいかなる遅延も、事態を更に複雑化させる」と述べた。また、「欧州諸国は核合意の実施を望んでおり、米に合意の再生を促そうと努めている」「イランはアラク原子炉の再設計を継続しており、稼働に向けて予備的試験を2か月以内に実施する」と述べた。

―ザリーフ・イラン外相は、「包括的共同作業計画の順守に向けて、イランは(離脱により)危機の原因となった米の復帰を含む論理的な提案をした」「米側から(復帰等が)実現すれば、イランも同様に行動する」と述べ、「トランプ前大統領が科した全ての制裁が、包括的共同作業計画に反していた」「恣意的なものかどうか区別せず、(全ての)制裁が解除されるべきだ」と指摘した。

―仏外務省報道官は、「我が国は、イランが(核合意再生に向けた)現在の動きを妨害する可能性のあるいかなる新たな核合意違反も行わない重要性を強調している」「ウィーンでの協議は建設的なものであり、米とイランが合意の完全履行に戻ることを目的としている」と述べ、「政治的・技術的な障害があるにもかかわらず、(ウィーンでの)会合の第一週は前向きなスタートだった」「協議は、核合意を維持すべく、外交的解決に早急に達することに向けた当事諸国と米の共通の願望を示している」と指摘した。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―サウジアラビアのメディアは、「(サウジ・UAE)同盟軍は、ホウシー派がサウジ南部のジャーザーンに向けて発射した弾道ミサイルと、同じく南部のハミース・ムシャイトに向けて発射した爆発物を搭載した無人機をそれぞれ迎撃した」と報道。これに先立ち、ホウシー派のサリーア軍事広報担当は、「サウジ南部のアブハー国際空港を『カーシフ2K型』無人機で攻撃した」と述べた。

―ホウシー派のメディアは、「同盟軍はイエメン・マアリブ県のサルワーハとマドガル両郡に対する空爆を実施した」と報道。イエメンの軍事筋によると、マアリブ県西方で政府軍とホウシー派の激戦が再発。また、政府軍は(マアリブ市北西の)カッサーラの戦線で、失った拠点の奪還を試みるホウシー派の攻撃を阻止した。マアリブ県での戦況について、ホウシー派はコメントせず。

―正統政府との捕虜交換の一環として、UAEの支援を受けるイエメンの南部移行評議会は、アデンを訪問した際に拉致されたマアリブ県知事事務所長と職員4人を解放した。これに対し政府は、アビヤン県での戦闘で1か月前に拘束した同評議会の戦闘員12人を解放。

―イスラム教のラマダン(断食月)の開始が近づく中、紛争の継続と物価上昇、数か月間にわたる給与未払い等により、イエメンの暫定首都アデンでは厳しい経済状況が続いている。国連の報告によると、アデン市民の7割が今年中の支援を必要としている。(編集部注:断食明けの食事でご馳走を用意することや、親族や友人を訪問するため、ラマダン時期は食費等の家計支出が増加することが通例)

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―特になし

○ マグレブ情勢

―特になし

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―エルドアン・トルコ大統領とプーチン露大統領がウクライナ情勢をめぐり協議。プーチン大統領はエルドアン大統領に対し、「米の軍艦がまもなく通航するボスポラス・ダーダネルス両海峡について定める『モントルー条約』の重要性」を確認した。トルコ大統領府は、「エルドアン大統領はウクライナ大統領と10日にイスタンブールで会談する」と発表。こうした中、ペスコフ露大統領府報道官は「露は、ウクライナ東部で民間人をいかなる戦闘からも保護するための措置を講じる可能性がある」「(露が支援する分離独立派とウクライナ軍の緊張が高まっている)東部ドンバス地方の緊張を懸念している」と述べた。一方でホムチャク・ウクライナ軍参謀総長は、「ウクライナがドンバスに対する攻撃を用意しているとの情報は正確ではない」と否定し、「武力行使でドンバスを解放すれば、間違いなく大勢の民間人及び軍人が死亡する。ウクライナはこれを容認しない」と述べた。

―EUの医薬品当局は、「新型コロナウイルスのジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの副反応を調査している」と述べた。英アストラゼネカ製ワクチンと稀な血栓症の発症が関連している可能性があるとの指摘を受け、仏高等保健機構は接種方針を転換し、1回目接種を受けた55歳未満の人に対し、「2回目はメッセンジャーRNA(mRNA)技術を利用した米ファイザー・独ビオンテック製と米モデルナ製ワクチンを接種するよう」提言する見通し。一方でWHOは、「ワクチン接種の1回目と2回目で種類を変えることを推奨するための十分なデータがない」と述べた。

エリコの目

ー米国防総省では、15人の高官らによる米軍の包括的な装備と兵力に関する検討作業が3月から始まっており、今後数週間のうちに国防長官と国家安全保障委員会に対して報告書が提出される。報告書はまだできていないが、軍事専門家によると、米国の戦略上の優先順位として中国の脅威がトップにあるため、中東各地に展開している米兵力を削減・再配置することは、例えイランを利することとなっても実行すべきと考えられているようだ。(アルアラブ紙)

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中東の新型コロナ動向

―国別感染状況(モロッコ)
累計新規感染者数:500,323人(13,433人)、累積死者数:8,873人(238人)(カッコ内は人口百万人あたり)
モロッコ政府は、昨年12月21日から当初3週間の予定で発令した保健衛生緊急事態宣言の延長を繰り返してきたが、8日、更に1か月延長すると発表した。夜間の外出禁止、飲食店・商店の営業短縮(夜8時まで)がその内容である。この効果のためか、世界的にみられる最近の感染拡大は抑えられている。新規感染者数で見るとき、昨年11月12日のピーク時には6,195人を数えたが、現在はその10分の1で横ばい状態。9日の新規感染者数は625人、死亡者数は12人であった。(アナドール通信)

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Morocco COVID - Coronavirus Statistics - Worldometer
Morocco Coronavirus update with statistics and graphs: total and new cases, deaths per day, mortality and recovery rates, current active cases, recoveries, tren...
<特記事項・気付きの点>

―特になし

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