アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
23日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■イスラエルのディモナ付近にミサイルが到達した後、イラン革命防衛隊の幹部は「悪事を働く者はその影響を予期すべきだ」と述べる。米中央軍司令部は「イランのミサイルの精度は向上しており、懸念される」と表明
■露軍は訓練中の部隊に「兵営に戻るよう」命じ、ウクライナ国境付近での大規模な演習を終了。ウクライナとNATOは警戒しながらもこれを歓迎。露大統領はウクライナ大統領に「まずドンバスにおける分離派との危機を打開するよう」求める
■ヨルダン国王の指示により、検事総長は「反乱事件」の容疑者16人を解放するも、アワダッラ元王宮府長官とシャリーフ・ハサン氏は解放せず
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―日本についてはたいていポジティブな話が伝えられるが、移民問題では、日本政府の難民申請に関する新たな法律をめぐり、国際的人権諸団体からの批判が徐々に高まっている。日本は難民申請者を年間1%以下しか受け入れておらず、中には5年間収容所に拘束された末に申請が拒否されたこともある。新たな法案では、申請は2回しかできず、それが拒否されれば送還されることになる。
東京特派員のレポート要旨:東京近郊でカフェを営む難民の男性は、滞在ビザを取得した後、現在、同じ場所で美術品を販売する会社を立ち上げた。彼の話は9年前に遡り、「2か月間、拘束された。緩慢な死を経験するようだった。死んだ方がましだった。法務相に申請をしてから、結局、(ビザ取得まで)ほぼ2年半かかった」と述べた。
日本は世界第3位の経済大国とされるが、労働者不足であり、難民に門戸を開けば解決策にもなるはずが、難民に対するネガティブな見方がそれを妨げている。当局者らは、難民に門戸を開くと非常に多くの難民が押し寄せるのではないかと恐れている。日本における難民申請者の大多数は、自国の治安状況を恐れて日本からの退去を拒否している不法滞在者だ。
日本は難民に対する不適切な処遇について、人権団体からしばしば批判されている。申請者のケースを精査する間、彼らは拘束され、その期間は5年に及ぶこともある。国際社会の批判の高まりを受け、政府は新たな法案を作成したが、これによると申請者はたった2回しか申請することができなくなり、2回とも拒否されれば犯罪者として送還される。国連のワーキング・グループは、この法案による「恣意的拘束」を「市民的権利に関する国際規約に反する」として非難した。
日本は第3位の経済大国であるにもかかわらず、2019年にはたった44人の難民しか受け入れていない。日本における難民の状況の改善への道のりは、依然として長いままのようだ。
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イスラエル軍は「防衛システムは22日未明、シリアから撃ち込まれた地対空ミサイル1発の迎撃に失敗した」「ミサイルは空中で爆発し、イスラエル南部のネゲブ砂漠地方に落ちた」「調査が続いている」と発表した。アルジャジーラは、ディモナ核施設付近のネゲブ砂漠に落ちたミサイルの残骸を撮影した。
―ガンツ・イスラエル国防相は、自国の高性能対空防衛システムが上記ミサイルの迎撃に失敗したことを認め、「迎撃失敗の原因を調査中」と述べた。イスラエル軍は、「ミサイルは地対空ミサイルSA-5で、ゴラン高原で任務中のイスラエル軍機に向けて発射されたが、標的を逸れてディモナの核施設の方へ向かい、空中で爆発して各地に残骸を落とした」と明らかにした。
―アドラエ・イスラエル軍報道官は、「イスラエルに墜落したミサイルは流れ弾であり、標的を超えてネゲブ地方に落ちた。特定の場所に向けられた物ではなかった」「イスラエル軍機は、シリア国内のこのミサイルを発射した発射台とその他の地対空ミサイル発射台複数を空爆した」と述べた。
―イラン革命防衛隊の副調整官は、「イスラエルは出来事を隠蔽しようとしている」「火遊びをする者は自身の身を焼くことになる」と述べた。また、イランのメディアはイスラエルの主張に疑念を呈し、「イスラエルのディモナ核施設付近に落ちたミサイルは地対空ではなく、地対地ミサイルだった」「一次情報によると、ミサイルは『ファーテフ110』で、爆発物を内蔵した弾頭の搭載が可能であり、飛距離は3百kmを超える」「事件に関するイスラエルの話は笑止の沙汰だ」「ミサイルはディモナ核施設まで飛行可能だったが、惨事を引き起こす必要はなかった」と報じた。
―マッケンジー米中央軍司令官は上院の公聴会で、「イラン製ミサイルの精度が向上していることは懸念すべきことだ」「シリアからイスラルに向けた攻撃は意図的ではないようで、単にシリアの防空能力が欠如していることの表れだ」と述べた。
―バグダッド国際空港がミサイル攻撃を受けた。(0606JST速報)
バグダッド特派員:非公式の情報筋によると、同空港の軍事区域にミサイル3発が撃ち込まれた模様。同地区にはイラク及び米軍を含む有志連合軍の部隊が駐留している。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル軍は、エルサレムのダマスカス門やヘロデ門付近の地域でパレスチナ人数十人に対して音響弾や棍棒を使用し、多くのパレスチナ人が負傷して病院に搬送された。同軍は、「数日前の事件の報復としてパレスチナ人に敵対行為をすべく集結していた入植者と礼拝者の接触を阻止するため」として、アルアクサー・モスクでタラーウィーフの礼拝(ラマダン期間中に行う自発的礼拝)後にパレスチナ人らを強制的に立ち退かせるため、旧市街に部隊を増派していた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―ヨルダン国家治安裁判所の検察当局はアブドラ国王の指示により、「反乱事件」(今月3日、治安当局が国王の異母弟のハサン王子等を、治安を揺るがす行動を計画したためとして拘束)を背景に拘束されていた16人を釈放した。同裁判所のマジャーリー検事総長は、「アワダッラ元王宮府長官とシャリーフ・ハサン・ビン・ザーイド氏は釈放されない。他の釈放された人々とは、彼らの(事件における)役割や起訴内容、扇動に関わる程度が異なるためだ」と述べた。
アンマン特派員:ハムザ王子やアワダッラ氏、シャリーフ・ハサン氏にほとんど関連させることなく、大規模な幕引きが図られた。この展開は諸部族の指導者の多くがアブドラ国王と面会して、赦免を求める嘆願書を渡したことから始まった。面会には皇太子や多くの有力な政治家が立ち会った。解放されなかったアワダッラ氏は計画相・王宮府長官だった頃、複雑な問題に関連してその名が取り沙汰されており、多くの国民から解任を求められていた。また、シャリーフ・ハサン氏と共に汚職に関与したとして裁判にかけられたこともある。
ムハンマド・ハラーイカ元ヨルダン副首相(アンマン):この決定は検事総長による行政的な決定で、検事総長には彼らを解放する権利がある。しかし解放は一時的なものであり、この決定によって彼らが無罪になるわけではない。裁判が開始されれば、彼らは証人として、または事件に関与した者として出廷を命じられる。国民は国王によるこのようなイニアティブを受け入れ、政治的右派はこの反乱の影響を封じ込め、諸部族が仲間の拘束によって苛立ち、それによって生じた閉塞状態を解消したいと望んでいる。諸部族のメンバーは公にされている話とは異なり、「ハムザ王子とは単に社交的関係だった」と主張している。また、(解放された人々は)大きな影響力のある諸部族に属しており、この決定によって拘束者の家族を安心させた。
―ショイグ露国防相は、「露各地で軍事訓練に参加している全露部隊は、5月1日までに自部隊の兵営に戻るよう」命じた。米国務省報道官は、露が「ウクライナ付近とクリミア半島から露軍部隊は撤退を開始した」と発表したことを受け、「露側の言葉ではなく、行動を待っている」と表明。
―プーチン露大統領は、ゼレンスキー・ウクライナ大統領による会談の呼びかけに対し、「会談の目的が露との国交正常化であれば、呼びかけを歓迎するが、目的がドンバスの状況をめぐる協議であれば、ウクライナ大統領は地域の(住民の)代表らと会談すべきだ」と述べた。
―クレバ・ウクライナ外相はアルジャジーラのインタビュー番組(後日放送)に出演し、「露軍はウクライナの半分を包囲している」「露の前進を阻止するため、ウクライナは外交で対処するだろう」「我々は現在、仏・独の仲介によって露と交渉しているが、非常に難しい交渉だ」「ウクライナは分離派と戦っているのではなく、露の工作員や正規軍と戦っている」と述べた。
エリコの目
―ナタンズの核施設をイスラエルが攻撃して以来、イランは報復すると警告していた。イランの核開発計画に対するイスラエルの攻撃のレベルが度を越したからだ。したがって、イスラエルは今回のディモナ原子炉付近へのミサイル着弾を「イスラエルの大事な場所も安全ではない。攻撃することは可能なのだ」というイランのメッセージである、と捉えている。(アルジャジーラ・ネット)
中東の新型コロナ動向
―イラクはアラブ諸国の中で最大の感染者数を記録しているが、21日、累積感染者数が100万人を超えた。22日現在の累積感染者数は1,010,304人、累積死者数は15,128人。21日の新規感染者数は8,696人で過去最高を更新。死者数は38人。
―イラク政府は約65万回分の新型コロナ・ワクチンを受け取った。その大部分は国際協力Covaxによる。21日までに少なくとも1回のワクチン接種を受けた人は約27.5万人である。イラクでは医療資源の不足が著しく、また、病院への信頼も乏しいため、自宅で酸素吸入を受けることを希望する人が多い。(フランス24アラビア語)
<特記事項・気付きの点>
―特になし