2021年4月24日 (No.21024)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

24日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ 米国務省報道官、アルジャジーラのインタビューで「核合意をめぐる交渉は、復帰に向けた(米イラン)相互の合意順守に基づく」と述べる。イスラエル首相は「対イラン措置を継続する」と確認すべく、治安高官らを米に派遣へ

■ 米、イエメン・マアリブでの即時停戦を呼びかけ、「100万人が緊急人道支援を必要としている」と述べる。イエメン軍事筋は「ホウシー派がマアリブ県西部の複数地域を制圧した」と述べる

■ イスラエル当局による弾圧でパレスチナ人に対する暴力行為とその被害が拡大する中、米は自制を呼びかける。在イスラエル米大使館は自国民に注意喚起

■ サウジアラビア、麻薬密輸を受け、レバノンに同国産の野菜と果物の輸入禁止措置を通告

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―プライス米国務省報道官はアルジャジーラの独占インタビューで、「ウィーンでの協議は、イランによる核爆弾の非保有を確認することに集中している。また、解除可能な対イラン制裁について協議されている」「イランに関するバイデン政権の提案は、(米イランによる核合意の)相互順守の原則に基づいている」と述べた。

―サキ米大統領府報道官は記者会見で、「イスラエルのハイレベル代表団が、核合意復帰に向けた米政権の取り組みについて協議し、(その取り組みを)拒否する姿勢を確認すべく来週に米を訪問するが、米政権の立場が変わる可能性はあるか?」との質問に対し、「それはない。様々な課題が存在するものの、核合意をめぐる外交の道筋について米とイランの間接協議が続いていることは、(合意再生を)奨励する要素だ」「イスラエルについては、バイデン政権は主要なパートナーとして、同国に協議の内容と、我々の意向について伝えた。今後の(イスラエル代表団の)訪問でも同様のことを行う」と答えた。

―米ニュースサイト「アクシオス」がイスラエル高官の話として伝えたところによると、ネタニヤフ・イスラエル首相は来週に米を訪問する治安代表団との会合で、「イランとのいかなる合意に関しても、イスラエルには関係がない」「安全保障に向け、イスラエルは地域で対イラン措置を継続する」と述べた。また、ネタニヤフ首相は代表団に対し、「核合意復帰はイスラエルに対する脅威であり、ウィーン協議を歓迎しない」とのメッセージを(米側に)伝えるよう求めたとのこと。イスラエルの代表団には、ベンシャバト国家安全保障会議(NSC)議長、コハビ軍参謀総長、コーヘン諜報特務庁(モサド)長官らが含まれている。

―サウジアラビアはイランに対し、「現在行われている核合意をめぐる交渉に真剣に取り組み、エスカレーションを回避し、地域の安全と安定に対して更なる緊張を引き起こすことのないよう」呼びかけ、「イランの核兵器保有と、(核兵器保有に)必要な能力向上を阻止すべく、国際社会がイランでの検証・監視活動に関する更に厳格で長期的な合意に達する重要性」を強調した。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―イエメン軍事筋によると、ホウシー派がマアリブ県西部シルワーハ郡のマシジャハで複数地点を制圧した。政府軍は同県西部の複数地域の奪還に向けた戦闘を展開しており、過去数日間で双方の複数が死傷した。ホウシー派のメディアがマアリブでの戦闘について触れない一方で、政府軍広報局は、「砲兵部隊が、重機関銃を搭載したホウシー派の車両3台を破壊し、(同派の)複数が死傷した」と発表。

―米国務省は、「イエメン中部マアリブ県で、100万人が緊急人道支援を必要としている」と述べた。レンダーキング米イエメン特使は、「人道支援を確保に向け、マアリブでの情勢激化を止めるべきだ」と指摘。

―サウジアラビアは、レバノン産の野菜と果物の輸入禁止と、同国の農作物がサウジを経由することを25日より禁止すると決定。サウジ内務省は国営通信が伝えた声明で、「禁止措置は、サウジへの麻薬密輸対策に関する保証をレバノン当局が提示するまで続く」「覚醒剤アンフェタミン系の錠剤250万錠の密輸が阻止された。また、レバノンから出荷されたザクロの荷物に隠されていた(神経刺激薬)カプタゴン500万錠が税関で押収された」と述べた。
これを受け、レバノン外務省は当局に対し「各国境検問所での治安措置と税関の取り締まりを強化し、密輸を阻止すべく全力で取り組むよう」呼びかけた。

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―イスラエル軍は、エルサレム各地とアルアクサー・モスク周辺で集中展開した。厳戒態勢の中、6万人以上のパレスチナ人がラマダン(断食月)の第二金曜日の礼拝に参加。これに先立ち、イスラエル軍がエルサレム旧市街の入り口周辺でパレスチナ人数百人に対して武力を行使し、100人以上が負傷した。

―エルサレムでの暴力行為拡大を受け、在イスラエル米大使館は自国民に対し注意喚起。(ダマスカス門からの特派員レポート要旨:旧市街各地で「一進一退」の状況が続いている/人権諸団体によると、イスラエル軍は過去3日間でパレスチナ人80人以上を拘束した/22日には100人の負傷が確認された。また、パレスチナ赤新月社によると、23日には少なくとも10人が負傷した)

○ 国際テロ・過激主義情勢

―カービー米国防総省報道官は、「アフガニスタン駐留米軍の撤退を安全かつ計画的に実施すべく、米は全力を尽くしている」「安全な撤退に向けて、(国防長官は)空母ドワイト・アイゼンハワーにインド洋近海に留まるよう指示した」「米は(B52)戦略爆撃機を地域に派遣する」と述べた。また、「軍装備に関する計画では、一部を撤収、状況に応じて地域に配備、アフガニスタン軍に供与するが、破壊される一部もある」とした。

―米国務省は、「アフガニスタンの和平をめぐり、ブリンケン長官は中央アジアの5か国の外相と協議した」と述べた。こうした中、トルコ、パキスタン、アフガニスタンの外相は共同声明で、タリバンを筆頭とするアフガンの全当事者に対し、「アフガニスタン国民と国際社会の望む和平を実現する諸合意を順守するよう」呼びかけ、「アフガニスタンの和平の歩みと、ドーハ協議への支援」を確認した。また、「アフガニスタンでの恒久和平は、全当事者の参加する包括的政治プロセスを通じて実現可能だ」と述べ、「和平協議を継続するに相応しい環境の確保に向けて、即時停戦する重要性」を確認した。

○ マグレブ情勢

―特になし

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―特になし

エリコの目

ー23日、パリ郊外ランブイエでチュニジア人の男が女性警察官を刃物で刺し、死亡させた。男は別の警察官らに射殺された。カステックス首相は、事件はテロであると述べた。また、マクロン大統領はツイッターで「イスラム・テロとの戦いにおいて我々は一歩も引きさがらない」と述べた。(アルクゥドス・アルアラビー紙)

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中東の新型コロナ動向

―22日、ヨルダンのアルハワリ保健相は「ヨルダンはコロナ対策の強化で正しい方向に向かっている」と述べた上で、保健省がコロナ対策措置の軽減を検討していると明らかにした。保健相は「感染状況が明らかに改善の方向に向かっているのは国民がコロナ対策のガイドラインを守っているからだ、省は定期的に措置の見直しをしている」と述べた。(アルアラビー・アルジャディード紙)

―ヨルダンの23日の死者は40人と、依然高い水準にあるが、3月31日に記録した111人の水準からは徐々に低下してきている。新規感染者数で見ると、3月17日にヨルダンとしての第2波のピーク9,535人を記録して以降減少に転じ、23日の新規感染者は1,677人であった。人口百万人あたりの累積死者数は820人で、イラクの2倍以上、イランと同水準。

Jordan COVID - Coronavirus Statistics - Worldometer
Jordan Coronavirus update with statistics and graphs: total and new cases, deaths per day, mortality and recovery rates, current active cases, recoveries, trend...
<特記事項・気付きの点>

―特になし

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