2021年4月26日 (No.21026)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

26日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ イラク・バグダッドのコロナ患者向け病院で火災により80人以上死亡。保健相と知事らの責任追及に向けた法的措置へ

■ イラン、「原油と銀行を対象とした制裁の解除について、ウィーン(協議で)理解に達した」と言明し、「時間の浪費に向かえば、協議から離脱する」と示唆。イラン大統領からの口頭メッセージがカタール首長に伝えられる

■ イエメン・マアリブ県で激戦により数十人死傷。サウジ・UAE同盟軍が空爆を強化、イエメン政府は「国連の信頼性は危機に瀕している」と述べる

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―アラグチ・イラン外務次官(核問題交渉団長)は、国会の国家安全保障外交政策委員会のメンバーらとの会合で、「原油、銀行、金融取引を対象とした制裁の解除に関して理解に達した」「協議では複雑で繊細な事柄が議題となっている。イランは決定を下すことを急がない」と述べる一方で、「ウィーンの協議で真剣さを感じられなく、また、時間の浪費に向かっていると判断すれば、イランは協議から離脱する」「イランは、ステップ・バイ・ステップ(段階的な措置)の原則に基づく合意復帰の提案を拒否する」と確認した。

―バゲリ・イラン軍参謀総長は、「イスラエル南部で最近起きたこと、また、イスラエルの安全と利益に対して将来的に起こることにより、同国は目を覚ますだろう」「イスラエルは、シリア及び海上で船舶を標的とし続けることには、はっきりとした反応(報復)が伴うことを承知すべきだ」と述べた。

―タミーム・カタール首長は、ドーハでザリーフ・イラン外相率いる代表団を迎え、二国間関係とその支援及び強化の方策、共通の関心事項に関するロウハニ・イラン大統領からの口頭メッセージを受け取った。また、ザリーフ外相はムハンマド・カタール外相とも会談し、地域における共通の関心事項等について協議した。

―上記会談後、ザリーフ外相は「カタールのタミーム首長とムハンマド副首相兼外相との協議は優れたものだった」「二国間の建設的な関係の拡大と、域内外の諸課題における調整の強化について話し合った」「『希望のイニシアチブ』が地域におけるイランのやり方であり、イランは隣人たちを優先している」とツイート。

―イラク内務省は、首都バグダッドの(新型コロナウイルス感染症患者専用の)イブン・ハティーブ病院で発生した、酸素ボンベの爆発によるとみられる火災で82人が死亡、110人が負傷したことを確認。当局は保健相とバグダッド知事の職務停止と取り調べを発表。また、司法当局は「調査の完了まで、同病院の院長を拘束する」と発表。火災原因をめぐり、政府が臨時閣議を開いたほか、議会は26日に火災の原因とその影響について話し合うことを決定。

―米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、「イブン・ハティーブ病院の火災を受け、米はイラクに支援を提案した」と述べた。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―イエメン軍事筋によると、マアリブ県西部サルワーフ郡マシュジャハの戦線で政府軍とホウシー派が熾烈な戦いを繰り広げており、両者の複数が死傷した。こうした中、サウジ・UAE同盟軍はホウシー派の拠点や増援部隊を爆撃し、軍用車7台と連絡所を破壊した。戦闘についてホウシー派はコメントしていないが、同派傘下のメディアは、「サウジ・UAE同盟軍はサルワーフ郡で空爆を20回以上実施した」と伝えた。

―ボルカーニ・イエメン代議院はグリフィス国連イエメン特使とビデオ会談を行い、「マアリブ県で繰り広げられている戦闘により、国連の信頼性は危機に瀕している」「戦闘が続けば、甚大な人道危機が生じる」「マアリブでの停戦に向けたグリフィス特使の努力が実ることを期待する」と述べた。
イエメン国営通信によると、グリフィス特使は、「国連はホウシー派が取っている全ての軍事行動を拒否する」と確認し、「国連は軍事対立を止めるべく全力を尽くしており、(停戦の実現に向けて)前向きな役割を果たす可能性のある全ての方面と連絡を取っている」と述べた。

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―特になし

○ マグレブ情勢

―アルジェリア国防省は声明で、「爆破等の犯罪行為を計画していた分離独立派の細胞解体に関する調査を3月より実施する中で、同派が背後にいる国家を標的とする危険な企てを暴いた」「外国諸国からの支援や資金援助を受け、外国で軍事訓練を受けた部族系の分離独立派(マアク)が企てに関与した」と発表。

―リビア・ベンガジでハフタル元少将派の戦闘員と(同派を支持する)民間人が政府代表団の同市入りを阻止したため、予定されていた閣議が延期された。リビア政府公式筋は、「ハフタル派を支持する民間人の援護を受けた戦闘員らは、政府代表団がブネーナ空港に到着した後にベンガジに入ることを阻止した」「代表団は、首相のベンガジ初訪問と、閣議を準備する目的としていた」と述べた。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―チャドの軍事移行評議会は、チャドの軍事拠点に対する攻撃を実施した反政府武装勢力とのいかなる交渉も拒否した。一部の政党が「政治対話に全当事者が参加すること」を求める中、各政党は移行期のロードマップについて合意に達するべく協議を開始。

エリコの目

ー24日に発生し、死者82人、負傷者110人を記録したバグダッドの病院火災を受けて、イラク政府は3日間の服喪を発表した。火災原因の詳細については明らかにされていないが、新型コロナ患者用の酸素ボンベの多くが爆発したと伝えられる。(アルアラブ紙他)

https://alarab.co.uk/node/246327

中東の新型コロナ動向

ーサウジアラビアでは、一日当たり死者数58人を記録した7月5日をピークとする第1波以降、感染の抑え込みに成功していたと言えるが、感染者数が1日あたり百人未満であった年初以降は一貫して感染者数が増大しており、24日の新規感染者数は1,024人、死者は9人を記録した。当局はこの増大が第2波となる流行に拡大することを警戒している。

Saudi Arabia COVID - Coronavirus Statistics - Worldometer
Saudi Arabia Coronavirus update with statistics and graphs: total and new cases, deaths per day, mortality and recovery rates, current active cases, recoveries,...

ー24日、サウジアラビア保健省は全国587カ所のワクチン接種場所において、8百万回以上のワクチンを提供した、とツィートした。国民に対しスマホの専用アプリによる接種予約を呼び掛けている。

<特記事項・気付きの点>

―特になし

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