アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
27日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ ウィーンでの核合意をめぐる協議が27日に再開へ。イランは「核合意再生に向けた制裁解除の必要性で米を含む全員の意見が一致」と発表
■ イラン外相、バグダッドを訪問して「イランには、善隣に基づく域内対話を行う用意がある」「イランはイラクでの外交施設への攻撃に反対だ」と表明
■イスラエル軍がガザ地区沿岸の海域を閉鎖、パレスチナ人が漁を行えず。イスラエル治安縮小閣議は、ロケット弾発射が続いた場合のガザ攻撃を承認し、首相に攻撃時期と場所の決定権を付与
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―EUは、「ウィーンでの核合意をめぐる協議は27日に再開される」「参加諸国は米の核合意復帰と合意の完全かつ効果的な履行を確実にする方策について協議する」と声明した。
―ロウハニ・イラン大統領は、ウィーンでの核合意をめぐる協議について、「顕著な進展がみられる」「一部の政治的な保留事項がなかったとしたら、この交渉は成功だと言える」「4+1グループ(英独仏中露)と米は制裁解除の必要性を認めた。これは核合意再生への道のりにおける快挙だ」との評価を示した。
―ザリーフ・イラン外相は、バグダッドを訪れた際、「ウィーンでの核合意をめぐる協議は、非常に良い形で進んでいる」「米が約束を実行すれば、イランも直ちに合意の完全順守に戻る」と述べた。
―イラン外相は、バグダッドでフセイン・イラク外相と会談し、その後の共同記者会見で「イランには、善隣と内政不干渉に基づく域内対話を行う用意がある」と表明した。また、「イランはイラク国内での外交施設に対する一部の軍事行動には反対だ」と述べ、イラクがこれらの軍事行動を阻止するにあたって、支援を行う用意があることを示した。イラク外相は、「イラク政府の政策は、地域情勢を沈静化に向けて後押しすることに基礎を置いている」と述べた。
―イラン外相は、バグダッド訪問中にファイヤード人民結集機構代表やシーア派系政党連合の関係者数人と会談した。また、「イラクのアラブ・プロジェクト連合」(スンニ派)のハミース・ハンジャル代表とも会談。ハンジャル氏は、「紛争の危険を回避して平和を実現するためには、地域諸国間に真の相互理解が存在する必要がある」と強調し、「イランとサウジ・UAEの接近は、前向きな動きだ」と祝福した。また、「イランに近い勢力が生み出している大きな問題をイラン外相に明示した」と述べた。
―アウン・レバノン大統領は、サウジが(レバノンからの農産物に麻薬が隠されて密輸されていたことが発覚したとして)レバノン産の青果の国内搬入を禁じたことをめぐって協議するため大統領宮殿で会合を開き、「レバノンはいかなる国、特にアラブ諸国及びその国民を危険に晒さないよう努めている」と述べて、密輸とこれに関与する者を取り締まる作戦をより厳しくするよう治安機関に要請した。ディヤーブ職務執行内閣首相は、「レバノンは密輸ネットワークとの戦いと関与者の追跡において、サウジの側にいる」と述べた。会合の結果、検事総長に対し、サウジへの麻薬密輸に関する調査を監視するよう求められた。また、シュケイル・レバノン大統領府長官によると、この件に関してサウジと連携するよう内相に委任された。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―タミーム・カタール首長は、ファイサル・サウジ外相をドーハに迎え入れた際、サウジのサルマン国王からの書簡を受け取った。首長に対し、サウジを訪れるよう招待する内容。
―ムハンマド・カタール外相兼副首相はサウジ外相と会談し、両国の協力関係、湾岸協力会議(GCC)の歩みを強化するための方策、地域の最新情勢をめぐって協議した。その際カタール外相は、「カタール政府と国民はサウジの治安と安定を強化する全てを確固として支持する」と改めて表明した。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエルメディアによると、同国の治安担当縮小閣議で、ガザ地区からのロケット弾発射が続いた場合、必要であればネタニヤフ首相とガンツ国防相が同縮小閣議にかけずにガザ攻撃の命令を下すことが認められた。(過去数日、パレスチナ諸派が「エルサレムでイスラエルの攻撃に晒されている人々への連帯の表明」として、ガザ地区からロケット弾を発射していた)これに関連し、イスラエル軍はガザ地区沿岸の海域を完全に閉鎖した。このため、パレスチナ人の漁師らは、漁を行うことが出来ない状態にある。
―エルサレム旧市街のダマスカス門前の広場から(イスラエルがラマダン月の初めにパレスチナ人が集まるのを阻止するため設置した)鉄柵が取り払われた後、パレスチナ人の若者らがこの「勝利」(抗議・衝突の末の鉄柵の撤去)を祝うため集まっていたところ、イスラエルの部隊がこれを分散させようとして殴打し、数人を拘束した。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―ロイター通信によると、カルン大統領府報道官は、「トルコは、より前向きな議題を通じてサウジとの関係を修復する方法を模索している」「トルコはサウジ人ジャーナリスト・カショギ氏の殺害事件に関するサウジの裁判所の決定を尊重する」と述べた。また、エジプトとの関係正常化に関しては、「両国の関係回復に向けて、情報機関・外務省レベルで連絡が取られている」「来週両国間の協議が行われる」と明らかにした。
―エルドアン大統領は、バイデン米大統領が「オスマン帝国は、第一次大戦中にアルメニア人のジェノサイド(民族大量虐殺)を実行した」と発言したことを批判し、「バイデン大統領の発言は正しくなく、根拠がない」と述べた。
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―イラン革命防衛隊・ヘジャージ副司令官(心不全で死亡)の追悼式典がイスファハンで行われ、後任のファラハザーデ副司令官は「抵抗枢軸勢力は域内であれ、域外であれ、シオニストのいる所、どこでも近くにいると知るべきだ」「イスラムの敵の崩壊は近い。シオニストは将来、地球上にその居場所がなくなる」と警告した。(22日、アルマヤディーン・ネット)
中東の新型コロナ動向
―オマーンの感染状況は悪化を続けている。サイーディ保健相は「非常に危険な段階に差し掛かっている」と国民に警戒を呼び掛け、「最悪の事態を避けるため」完全な封鎖や外出禁止令の強化といった予防措置強化をラマダン明け休暇までに取る可能性を示唆した。
ワクチン接種は「メーカーが出荷の約束を守らなかった」ため、年末に接種を開始したにも拘らず、現状、接種を受けた人の数は46万人に留まっている由。6月までに250万回分のワクチンを入手予定。オマーンの人口は約521万人。26日の新規感染者数は1,454人、死者は6人であった。
(アルジャジーラ・ネット)
<特記事項・気付きの点>
―特になし