アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
5日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米特使がルネッサンスダム問題の当事国エジプト・スーダン・エチオピアを歴訪へ。ハルツームの米議会代表団は、「米にはダムの件で有効な役割を果たす用意がある」と発表。エチオピアは「下流の2国がダムの件を政治問題化」と非難
■ ウィーンで核合意をめぐる協議が続く。EUと米は核合意の完全かつ効果的な履行に向けて協議。露IAEA大使は「ウィーン協議では進展があった」と確認
■ エジプト・トルコ、「2国間・地域レベルでの関係正常化に向けて協議を行う」と発表。トルコ代表団が5日にカイロ入り
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―核合意の当事諸国は1日、ウィーンでの第3回目の協議ラウンドを終えた。対立している事項に関して大きな進展は実現しなかったが、7日に協議を再開することで合意。その間、技術的側面をめぐる会合は継続している。
―EUの発表によると、ボレル上級代表はロンドンでブリンケン米国務長官と会談し、ウィーンで進行中の協議をめぐって話し合った。米の核合意復帰の可能性と合意の完全かつ効果的な順守を確実にする方策を視野に入れた会談。ボレル氏は、「イランとの核合意の再生に向けた協議は困難だが、続いている」と述べた。
―ウリヤノフ露IAEA大使は、「ウィーンでの核合意をめぐる協議では進展がみられる」と述べ、「同協議が崩壊したとする(一部のアナリストの)コメントを読んで驚いた」とツイートした。
―4日、マガーク・ホワイトハウス調整官(中東・北アフリカ担当)率いる米代表団がバグダッドに到着。イラク各地に駐留している約2500人の米兵の処遇について協議するため。このタイミングで、西部アンバール県の米軍部隊が駐留するアイン・アルアサド空軍基地がカチューシャ・ロケット弾で攻撃された。イラク国防省の治安広報局によると、被害はなし。北部サラーハッディーン県のバラド基地にロケット弾複数が撃ち込まれてから24時間経過していなかった。2日には、バグダッド国際空港付近のビクトリア基地(有志連合軍駐留)にロケット弾が少なくとも2発着弾していた。
―ブリンケン米国務長官は、「G7はシリアの紛争終結のための政治的解決にコミットし、安保理決議2254号の履行を進め、シリアの人々の苦悩を終わらせるべく取り組み続ける」とツイートした。
―レバノン南部ナークーラのUNIFIL拠点で、米の仲介と国連の主催によりレバノン・イスラエルの海上境界画定を目的とした第5回目の技術的間接協議が行われた(初回は昨年10月)。今回は約5時間半というこれまでにない長時間の会合となった。レバノンは昨年11月の前回の協議で、両国が係争する海域のうちレバノン側とされる区域の拡大を求めた(当初の860平方キロから約2300平方キロへ)。これにイスラエル側が怒り、協議は停止されていたが、今回もレバノンは同じ要求を提出した模様。イスラエルは協議の詳細や結果についてコメントせず。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―米中央軍の発表によると、バイデン大統領がアフガン駐留米軍の撤収を決定してから、米軍はこれまでC-17輸送機60機分の荷物をアフガニスタンから引き揚げた。また、1300個の装備品を廃棄のため米国防兵站局に回し、施設1か所をアフガン軍に引き渡した。撤収作業の2~6%が終了したという。
―アフガン高官によると、南部ヘルマンド州の州都ラシュカルガーにタリバンが攻勢をかけた。国防省報道官の発表によると、同州での衝突で、タリバンの100人以上が死亡、27人が負傷した。また、約4万家族が衝突のあった地域から他地域に避難した。この攻撃は、アフガン駐留米軍撤収の発表以来初のタリバンの大規模な攻撃となった。
―ガニ・アフガン大統領は、「米軍のアフガン撤収の時が来た。そのためのあらゆる状況が整っている」「米軍撤収後は、アフガニスタンでの紛争継続は正当化できない」と述べた。
○ マグレブ情勢
―ボレルEU上級代表は、「リビアでの政治的解決の流れは、ロンドンでのG7外相会合で協議された課題の1つだ」と明らかにし、「リビアでは停戦が維持されている。リビアの状況に関して、我々は楽観的だと言うことが出来る」との見方を示した。
―ブリンケン米国務長官は、ロンドンでのG7外相らのリビアをめぐる非公開会合の後、「米はリビア政府が12月に選挙を実施することへの支持を新たに表明し、外国部隊のリビアからの即時撤収を呼びかけた」「米は国連の仲介での紛争解決を目指すリビア国民に寄り添う」とツイートした。
○ トルコ情勢
―エジプト外務省は、「トルコとの2国間・地域レベルでの関係正常化に向けた協議を5日にカイロで開始する。エジプト側はローザ外務次官が出席する」と発表した(2日間の予定)。一方、トルコは「オナル外務次官率いる代表団がカイロで国交正常化に向けた予備協議を行う」とした。
―大統領府の筋によると、エルドアン大統領はサウジのサルマン国王と電話会談を行い、両国の関係をめぐって協議した。
イスタンブール特派員:地域内外で起こった様々な変化が、トルコとエジプトの関係に影響し、長い断絶の後の接近に繋がった。まず、リビアでの両国の接近があった。両国の合意なくして、リビアが現在の状況にたどり着くのは難しかっただろう。湾岸諸国の和解も重要な要素だ。湾岸危機でトルコはカタール側に位置づけられており、湾岸の和解なくしてトルコのエジプトへの接近は非常に困難だっただろう。米でのバイデン氏の大統領就任も重要だ。両国はどちらもバイデン氏よりもトランプ氏の方を好んでいた。米でのこの変化が、何らかの形で両国の接近に繋がった。また、トルコの観測筋の多くは、「トルコは過去数年間に複数の地域に軍事介入を行った。そして今、その成果を手に入れようと試みている」と指摘している。つまり、トルコはエジプトのみと和解しようとしているのではなく、この目的に沿う全ての相手との和解を試みているというのだ。リビア、シリア、アゼルバイジャン、東地中海での成果だ。サウジ国王との電話会談もその一環だ。トルコはEUにも接近している。但し、今回のエジプト・トルコの会合は「予備協議」とされ、今後どうなるかは未知数だ。双方が「相手は何を提供するのか」を見るだろう。両国が強い関係で結ばれることを望まない域内・国際諸国が存在することも忘れてはいけない。
<その他の重要ニュース要旨>
―ハルツームを訪れた米議会代表団は、スーダン高官らとの会合を重ね、ブルハーン統治評議会議長やハムドゥーク首相と会談した。ルネッサンスダム問題とスーダン・エチオピア国境での緊張に重点を置いて協議が行われた。スーダンの発表によると、米代表団は「米には、ルネッサンスダム問題で有効な役割を果たす用意がある」と表明した。これと並行して、4月に米の「アフリカの角特使」(アフリカ北東部担当)に任命されたジェフリー・フェルトマン氏が近日中にエジプト・スーダン・エチオピアを歴訪することが発表された。この状況の中、イサイアス・エリトリア大統領がハルツームを訪れ、同ダムの件をめぐって協議を行った。
―エチオピア外務省は声明を発し、「スーダンは、国境とルネッサンスダムの問題について、意図的に自国民や国際社会の意見を誤った方向に導いている」「(同ダムが建設されている)ベニシャングル地方はスーダン領だとする同国外務省の発表は、昨年11月から続いているエチオピア領への攻撃を隠蔽することを目的としたものだ」と非難した。
エリコの目
―在イラク駐留米軍の基地に対するロケット弾攻撃が激化している。親イラン民兵組織(人民動員部隊等)はアフガニスタンのタリバンを模して米軍を強制的に追い出す戦術に出ているものとみられる。アイニルアサド基地が3日間で3回目のロケット弾攻撃を受けた(被害なし)。米軍撤退を協議するため米高官がバグダッドを訪問するタイミングでの所業だ。侵略者米国はイラクからも敗走することになるだろう。(ラアイ・アルヨウム紙の論説)
中東の新型コロナ動向
―アブダビ政府の緊急危機災害管理委員会は、新型コロナ・ワクチン接種完了者に関する同首長国の出入国管理について、次の通り改訂(軽減)した。3日より施行された。/「グリーン・リスト国」から到着した者:到着時と6日後のPCR検査を受ければ、検疫滞在不要。(日本はリスト国)/リスト外の国からの者:到着時PCR検査+5日間の検疫滞在。4日目に追加PCR検査。(アルバヤーン)
英語プレスリリースは:
<特記事項・気付きの点>
―特になし