アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
14日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
パレスチナ・イスラエル情勢を特別体制で報道したため、ヘッドラインはなし
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―特になし
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―パレスチナの保健省によると、ガザ地区に対するイスラエルの攻撃により、これまでに109人が死亡(うち子供27人、女性15人)、580人が負傷した。(0655JST時点)
―ハマースの軍事部門「カッサーム部隊」は、(自製の)ミサイル「アイヤーシュ250」の映像を公開。同弾は13日、ガザ地区から220km離れたイスラエル南部ネゲブ地方のラモン国際空港に対する攻撃に初めて使用された。カッサーム部隊は「この長距離ミサイルによる攻撃は、アルアクサー・モスクの支援と、イスラエルの空爆による幹部・エンジニアの殺害に対する報復だ」と述べた。また、「テルアビブ近郊のベングリオン空港も攻撃し、空港の業務が混乱した」「テルノフ、ネバティムなどの空軍基地も攻撃した」「このミサイルの導入により、イスラエルの北から南まで、あらゆる空港が射程範囲となる」と発表し、世界の航空会社に「イスラエルの諸空港に向けた運航を停止するよう」呼びかけた。
―イスラム聖戦運動の軍事部門「エルサレム部隊」のアブー・ハムザ広報担当はビデオ声明の中で、「(イスラエルが)攻撃を行っても、抵抗の戦略は変わらないだろう」「敵が地上作戦を考えていたとしても、それは我々の勝利への道が増えることになるだけだ」「我々が地上での軍事演習をどのように想定して行うか、あなた(イスラエル)に見せるつもりだ」「イスラエル軍兵士らの行く末は、死ぬか、捕虜になるかだろう」と述べた。
―プライス米国務省報道官は、エルサレムとガザ地区の情勢に関する米の立場について、アルジャジーラのインタビューに応じた。以下要旨。
(Q.ガザ地区との境界でのエスカレートを米はどのように見ているか?)
まず、この暴力行為の中で亡くなった子供・男性・女性に対して哀悼の意を表する。パレスチナ人のイード・アル・フィトル(ラマダン明けの祝日)でもあり、またユダヤ人も自身の祝祭を祝う、地域にとって神聖な時期に起こった事は悲劇である。パレスチナ人もユダヤ人も安全・平和に暮らす権利がある。我々の目的は、平穏の回復と、軍事作戦のエスカレートを止めることだ。当然、これを実現するためには、ハマースが直ちにロケット弾攻撃を停止し、イスラエルに対するこのようなテロ行為を停止しなければならない。
米は平穏を回復するために尽力している。ブリンケン国務長官は12日、アッバース・パレスチナ大統領とネタニヤフ・イスラエル首相と(電話で)話した他、ここ数日、大統領府、国防省、政府諸機関などが、多くの協議を続けている。我々は、「平穏の回復、暴力の停止に向けて尽力している」というメッセージを発するために全力を尽くしている。しかし同時に、イスラエルはガザ地区への空爆を続け、同地区境界付近に多数の部隊を集結させている。あなた方は、広範囲での軍事作戦が、攻撃停止に向けた外交努力を困難にすると懸念しているが、我々はイスラエルとパレスチナ、またパートナーであるエジプトやカタール、そのほかの地域諸国との直接的な外交の取り組みを集中して行っている。エジプトとカタールには主要な役割を期待している。
これまでも明確に表明してきたが、まず初めに、ハマースがロケット弾による攻撃を停止しなければならず、次に平穏が回復されるべきだ。これが、我々が外交チャンネルを通じて送っているメッセージである。ブリンケン国務長官は12日、ディ・アムル国務次官補代理を中東地域に派遣した。国務次官補代理はこのメッセージを伝えるためにイスラエルとパレスチナの指導者らと会談する予定だ。我々はロケット弾攻撃による暴力も、ガザ地区で子供が死亡するなど民間に被害が出ていることも非常に懸念しており、当然、平穏の回復に向けても取り組んでいる。以前、バイデン大統領は、「イスラエルの反撃は、例え幾人かのパレスチナ人の犠牲者が出たとしても、過剰ではない」と述べた。あなた方は、エスカレートの緩和を求めているが、なぜ、イスラエル人を殺害しているのに、ハマースによるロケット弾攻撃を直ちに停止することを求めないのか。パレスチナ人が殺害されている悲劇も事実であり、イスラエルの作戦により民間人に犠牲者が出ていることを米は非常に遺憾に思っている。当然、イスラエルには自衛の権利があり、イスラエルに対するロケット弾攻撃は自衛ではなくテロ行為である。我々は両者に人的被害や流血の事態をもたらすこのような暴力が続くことを止めることを望んでいる。今日(13日)も過去数時間に、イスラエルの路上でアラブ人もイスラエル人も狙われた暴力行為があり、このような緊張が高まっている時期においてこれは止められるべきだ。
(Q.イスラエルに自衛の権利があることは理解するが、パレスチナ人は、米が自衛と見なすイスラエルの行為に対してできることは何か?)
まず、ハマースがロケット弾攻撃を停止することだ。これは我々にとって非常に重要なことであり、その次に継続する暴力行為(の停止)に注力する。我々は、今日行われた暴力の原因である紛争の2国家解決を目指し続けている。パレスチナ人には独立した自身の国家において、尊厳・平和・安全・繁栄を享受して暮らして欲しい。我々は、2国家解決がユダヤ人民主国家としてのイスラエルのアイデンティティを守る、唯一の方策だと分かっている。イスラエルもパレスチナも平等に暮らす権利があり、一方がもう一方より多く得ることは容認されない。
(Q.パレスチナ人は東エルサレムを首都としない国家を受け入れないようだが、東エルサレムの占領継続やこの地域からのパレスチナ人退去を強化しているネタニヤフ首相の責任は何か?)
両者に挑発的措置を講じないよう求める。これには入植活動、住居の破壊、テロ行為、暴力の扇動が含まれる。シェイク・ジャッラーハ地区の問題は、現在、我々が目にしている暴力行為の開始点だと見なしている。イスラエルとの専用連絡チャンネルを通じて、また公のメセージにおいても、「同地区に暮らすパレスチナ人は何世代にも亘って暮らしており、敬意・好意・尊重を以て遇されるべきであり、暴力行為を引き起こした挑発行為やエスカレートが停止されることを望む」と我々は表明してきた。
(Q.国連安保理が、イスラエル・パレスチナ情勢について協議することに米は反対したが、その正当な理由は何か?)
米は反対などしていない。むしろ来週に会合を開くことを要請している。我々がパートナー諸国と行っているこの外交活動は、平穏の回復のためであり、数日以内にこれが達成される機会が高まることを望んでいる。この分野での国連内部における協働を全面的に支持している。
―アシュケロン南部の特派員:ガザ地区内部(特に北部)に向けて、現在(0510JST)、再び激しい砲撃が行われている。これより前、同地区から、テルアビブ及びその北・東・南の郊外、アシュドッド、アシュケロンなどがロケット弾攻撃の標的となった。イスラエルの防空システム「アイアンドーム」は、これらの砲撃の多くを迎撃したが、一部は空き地に着弾し、火災が発生した。ここ数日、イスラエルがガザ地区、抵抗諸派の拠点等に対して攻撃を行っているが、抵抗諸派はイスラエル各地に対する激しいロケット弾攻撃を継続することができている。イスラエルの救急隊によると、ロケット弾攻撃により負傷したイスラエル人19人の対応をした。しかし、ここ数時間のロケット弾攻撃による被害は出ていない模様。イスラエルの放送局「チャンネル13」は、「アシュドッドの建物が直接被害を受けた」と報じている。一方、ガンツ国防相は13日、コハビ軍参謀総長、軍参謀本部諜報局局長等との協議後、南部に部隊を増派するため、予備役兵1万6千人の招集を決定した。また、ここ数時間に戦車の車列がガザ地区との境界に移動し、これらの戦車からの同地区に向けた砲撃音がしていた。恐らくハマースやイスラム聖戦運動の戦闘員もしくは武装者が境界付近に接近し、これを遠ざけるためか、攻撃するための砲撃と見られる。
―ガザ地区の特派員:ガザ地区北部に対する空爆・砲撃が同じ場所に対して繰り返し、激しく行われている。地区内の広範囲で攻撃により、停電が発生。境界付近、特にガザ市東部、正確にはザイトゥーン、シュジャーイーヤ両地区において砲撃は明らかに激しくなっている。これらの地区では30分以上、未だに火の手が上がっていることが確認できる。両地区の境界1km周辺が激しい砲撃に晒されている。海上からはイスラエルの戦闘艇の音が聞こえる。これらの戦闘艇は沿岸地域、ベイトラヒヤ近くのスーダーニーヤ地区等を集中的に砲撃していた。境界地帯にあるナスル、バダウィーヤ両村では砲撃により多くの家が倒壊し、住民多数が死傷。パレスチナ医療筋によると、少なくとも子供・女性を含む6人が死亡した。
―シェイク・ジャッラーハ地区にイスラエル軍が入り、住民に連帯する人々に対して退去するよう求めた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―「エルサレム・インティファーダ」は従来の「投石を手段とする」平和的な抵抗ではなく、高性能ロケット弾を用いた本格的な武装闘争だ。グリーンライン内(イスラエル)のアラブ人の若者も加わったことで、エルサレム、ガザを加えた「三極抵抗」が実現した。これに西岸も加わり、西岸からもロケット弾が発射されるようになれば、イスラエルは崩壊する。(ラアイ・アルヨウム紙ا編集長の論説)
中東の新型コロナ動向
―GCC諸国では、ラマダン明け休日の機会に新型コロナ対策措置の一部を緩和する動きがある。(昨日半分をお伝えしましたが、その2)
〇 カタールは、3月以来実施している国民生活に対する制限を4段階に分けて順次緩和する。第一段階は5月28日からで、第二:6月18日、第三:7月9日、第四:7月30日にそれぞれ開始の予定だ。この移行に際しては、その時の諸指標が考慮される。第一段階の緩和は、ワクチン接種済者であれば5人を限度とする会合が許される。また、制限付きで毎日の集団礼拝ができる。
〇 アラブ首長国連邦の緊急事態・災害管理局は、ラマダン明け休日期間中の国民の生活上の指針を発表した。家族親族の会合を避ける(核家族のみで祝う)、マスクの着用、高齢者、既往症のある者と距離をとること等。
〇 オマーンは、感染状況が改善しておらず、午後7時から翌朝4時までの外出禁止令を決定した。8日から15日まで実施される。また、食料品関係の店、ガソリンスタンド、薬局等を除く商業活動を全面的に閉鎖。代わりにデリバリーによる商品の配達を認める。
<特記事項・気付きの点>
―特になし