アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
15日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
パレスチナ・イスラエル情勢を特別体制で報道したため、ヘッドラインはなし
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―特になし
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―パレスチナの保健省は14日夜、「イスラエル軍のガザ地区への空爆による死者が計126人(うち女性20人、子供31人)、負傷者は950人に上った」と発表した。ヨルダン川西岸地区では抗議デモ参加者と治安部隊が衝突し、14日に11人死亡、多数が負傷した。一方でイスラエル当局は、「これまでにイスラエル人7人(兵士1人と、子供2人を含む民間人6人)が死亡した」と発表。
15日は1948年のイスラエル建国に伴いパレスチナ人70万人以上が難民となった「ナクバ(大災厄、大惨事)」の日であるため、各地での衝突激化が懸念される。
―米国務省は、「アムル国務副次官補が率いる代表団が14日にテルアビブに到着した」「国務副次官補はイスラエル高官らと会談した」と発表した。在イスラエル米大使館筋によると、国務次官補と代表団は、イスラエル・パレスチナ間の恒常的停戦の(実現と)定着に取り組んでいる。
―サキ米大統領府報道官は記者会見で、「パレスチナとイスラエルどちら側であっても、死者が出ている事態は悲劇的で恐ろしいことだ」「米政権はエスカレーションの緩和に注力している。政権が地域の各指導者及びハマースに影響力を持ち得る相手と行っている協議はこれを軸としている」と述べた。また、「東エルサレムの件は、パレスチナ・イスラエル間の協議及び前進に向けた交渉の議題であり続ける」「恒常的停戦に向けて、パレスチナとイスラエル、地域のパートナーたちの(プロセスへの)参加を継続させる」と述べた。
―米大統領府は、「パレスチナ人とイスラエル人のどちらにも、安全で尊厳のある暮らしを送る権利がある」「現在の状況の中でも、パレスチナ市民に対する人道支援は変わることなく行われている」と述べた。
―米CNNは、「バイデン政権の高官らは、舞台裏では公表されているものよりも更に厳しい態度をイスラエル側に示した」「バイデン政権はイスラエルに対し、東エルサレムのシェイク・ジャッラーハ地区でのパレスチナ住民に対する強制退去措置の停止を強く促した」「バイデン大統領は、事態収束は近いと楽観視している。その楽観は、エジプトとカタールを含む地域の同盟諸国との協議に基づいている」と伝えた一方で、「米はハマースとやり取りしていないため、情勢の鎮静化における米の役割には限界がある」と指摘した。
―独通信社は消息筋の話として、「エジプト代表団は12日にイスラエル高官らと協議を行ったが、ガザ地区からのロケット弾発射の停止の見返りにイスラエルがエスカレーションを停止し、一時的であっても停戦することに向けた前向きな結果には達しなかった」「イスラエルは全ての取り組みや仲介を拒否した。また、ハマースの軍事能力消滅に向けたガザ地区での広範な軍事作戦の実施後に、交渉(を実行すること)に合意することに固執している」と伝えた。
―プーチン露大統領は連邦安全保障会議で、「パレスチナ・イスラエル間の紛争激化は、我が国の安全保障上の利益に対する直接的な脅威だ」と警告した。露メディアによると、地域の情勢鎮静化に向け、露政府は過去数日間に複数の連絡を取った。
―仏大統領府は声明で、「マクロン大統領はネタニヤフ・イスラエル首相との電話会談で、ガザ地区のパレスチナ武装勢力によるロケット弾攻撃を激しく非難し、イスラエルの安全及び自衛権への自身の確固たるコミットメントを確認した。また、和平の回復を加速させる重要性を強調し、ガザ地区の市民の状況に懸念を示した」「エスカレーションに終止符を打つべく、マクロン大統領は全当事者との連絡を取り続ける」と発表した。
―フォンデアライエン欧州委員長はツイッターで、「イスラエルとガザ地区での暴力行為を即時停止するよう」呼びかけ、「ハマスのイスラエルに対する無差別攻撃」を非難した。また、イスラエルとガザ地区の状況に懸念を示し、双方の市民を保護を求めた。
―チュニジア大統領府は声明で、「ガザ地区での更なる情勢激化を防ぎ、犠牲者が増える事態を回避すべく、安保理非常任理事国として(各方面と)協議を行っている」「パレスチナ国民に対する攻撃を止めるべく、チュニジアは安保理での広範な動きを継続する」と述べた。
―モロッコ外務省は、「国王は、ガザ地区及び西岸地区のパレスチナ人に緊急の人道支援を送るよう指示した」と述べた。
―アブドラ・ヨルダン国王は、「エルサレム及びアルアクサー・モスクに対するイスラエルの深刻な侵害行為のもたらす結果は、安定に対する脅威となる」「パレスチナ・イスラエル間の対立を、占領を終え、パレスチナ人の権利を満たす包括的な解決なしに放置することを警告する」と述べた。
―エルドアン・トルコ大統領は、「テロ国家(イスラエル)が女性や子供、宗教施設を守ろうとした人々に取った行動に対して悲しみ、そして憤っている」「イスラエルの不義から目を逸らさない」「国際社会に対し、パレスチナ人が受けている攻撃を止めるよう呼びかける」と述べた。
―クレーシ・パキスタン外相はサウジアラビア、アフガニスタン両国外相とパレスチナ情勢をめぐり協議し、「パキスタンは、アルアクサー・モスクで起きたことと、ガザ地区に対する攻撃が続いている事態を強く非難する」「パキスタンとサウジは、パレスチナ情勢に関して同じ価値観を有している」と述べた。また、イスラム協力機構(OIC)加盟諸国の外務省の執行委員会委員長による緊急会合を16日に開催するよう呼びかけたサウジの取り組みを歓迎した。
―南アフリカ政府は声明で、「イスラエルによる攻撃は国際法違反であり、強く非難する」「野蛮な攻撃を終えるようイスラエルに促す」と述べた。
―イスラム教スンニ派最高権威機関アズハルの総長は声明で、「世界各国の指導者及び国民に対し、パレスチナ国民を支援し、二重基準を止めるよう呼びかける」と述べた。
―パレスチナを支援し、イスラエルの攻撃を非難する抗議集会が英、独、仏、豪、オーストリア、ベルギー、デンマーク、ボスニア・ヘルツェゴビナ等の各国で行われた。一部の参加者がイスラエル国旗を燃やす等した事態を受け、欧州委員会副委員長はツイッターで、「EU内での反ユダヤ主義的な抗議集会や活動に深刻な懸念を抱いている」と述べた。また、独首相府報道官は、「独は、自国における反ユダヤ主義的な抗議活動を容認しない」と警告。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
ー湾岸協力会議(GCC)がイランイスラム革命(1979年)の悪影響に対抗する目的で結成(1981年)されてから40年が経過した。加盟国間では「カタール断交」後の和解の動きがみられるものの、まだ完全な関係修復には至っていない。しかし、今年に入って関係修復に向けて大きな動きが起きたのは、バイデン政権が発足して米国が湾岸アラブ諸国の利益を顧みずイランに対する開放政策を実施することが決定的になったからである。(アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
ーイラクでは、13日(ラマダン明け休日初日)から10日間の予定で包括的な外出禁止令が実施されているが、国民生活に与えるマイナスの影響が大きいため、各産業部門の怒りを買っている。「政府には、そもそも外出禁止令を市民に守らせる能力がないにも拘らずこれを強行した」「政府は貧困者救済を行っておらず、この外出禁止は保健上の理由ではなく、治安目的である」などの批判がある。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―パレスチナとイスラエル各地の状況を現場からの中継映像、特派員らの話を交えて重点的に報道。