アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
17日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
(引き続きパレスチナ・イスラエル情勢を特別体制で報道したため、ヘッドラインはなし)
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―特になし
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―ガザ地区の保健省は、「イスラエルのガザ地区に対する攻撃開始以降、197人が死亡した。うち58人が子供、34人が女性。負傷者は1235人」と発表した。また、「16日朝の虐殺により、医療従事者2人を含む42人が死亡、50人以上負傷」「医療従事者への攻撃は、イスラエルの醜悪な顔を晒すものだ」と激しく非難した。
―イスラエルのガザ地区に対する軍事作戦が続き、過去2時間で住民が中にいる住宅5棟が破壊された。16日に破壊された住宅は、ガザ市、ジャバリア、ベイト・ラヒヤ、ベイト・ハヌーン、ラファハの少なくとも10棟。ラファハでは、住民に対する退避警告のわずか後に空爆が行われ、家屋が全壊した。
―イスラエル軍は、ガザ地区への攻撃開始以降、約1週間で住宅90棟を空爆した。そのうち高層住宅は6棟で、うち3棟が全壊した。
―米ニュースサイト「アクシオス」がイスラエル高官らの発言を引用して報じたところによると、数日内に停戦協議が開始する可能性が高いとみられている。
―イスラエル軍検閲局は、「ハマースが地中海の天然ガス掘削用のプラットフォームを攻撃した」との情報の報道を許可した。
―イスラエル問題専門家アスマト・マンスール氏(ラーマッラー):ネタニヤフ首相には国際的な後ろ盾も国内での支持もなく、ガザで地上作戦を行ったらその対価は莫大なものになる。それゆえ、「事態から脱出するための戦略」を探すしかない。それは、「自分は軍事的成果を上げ、ハマースを弱体化した」と少なくとも自身の支持者らを説得し、合意やお膳立てが一切ない状態で一方的に作戦を停止することだ。これには前例がある。あるいは米が示唆したように、米の主導の下での政治的課題と結び付いた、より広範な和平プロセスだ。これは、パレスチナ政府と地域諸国を介し、ハマースと了解するやり方だ。
―エルサレム特派員(シェイク・ジャッラーハ地区):イスラエルの治安部隊は、シェイク・ジャッラーハ地区にセメントブロックを運び込み、要員を保護するために四角く囲む形で設置した。16日午後、車に乗ったパレスチナ人の若者が同地区の入口に設置された鉄製の障壁を突破し、イスラエルの治安部隊の要員らを轢いて、6人を負傷させる事件が起こっていた。そのうち少なくとも2人が重体だという。セメントブロックが設置されたのはその後のことだ。入植者等が自由に出入りできるようにするため、同地区を完全閉鎖してはいない。目撃者やジャーナリストらの証言によると、イスラエルの治安部隊は事件後、車の中にいた若者を至近距離から少なくとも5回銃撃したという。イスラエルは、この若者の素性等を明らかにしていない。
―米国務省は、「ブリンケン国務長官は、シュクリー・エジプト外相と電話会談を行い、イスラエル、西岸地区、ガザ地区での暴力について協議した」「国務長官は、イスラエルとパレスチナの民間人の命を奪った暴力の停止と緊張緩和を全勢力に新たに呼びかけた」と発表した。
―16日、安保理がパレスチナ・イスラエル情勢をめぐる3回目の公開会合をオンライン形式で開き、理事国の15か国が参加した。現在までのところ、共同声明を出すに至っていない。
―16日、ナブルス南方のハウワーラ軍事検問所付近で、過激派の入植者の一団がパレスチナ赤新月社の救急隊を襲撃し、刃物を振りかざして脅した。また、一部の者は、救急車に投石した。
―エルサレム特派員:16日午後以降、東エルサレムのシャアファートとベイト・ハニーナ両地区の情勢が緊張している。(シャアファート地区で)武装した入植者らがパレスチナ人の若者らを銃撃し、2人が負傷して病院に搬送された後のことだ。これを受けて、イスラエルの治安部隊が(隣接する)両地区に入り、パレスチナ人の若者らと衝突した。若者らは、治安部隊を遠ざけるため花火や爆竹を使用。従来からイスラエルの治安部隊は東エルサレムの全域に存在し、あらゆる地区に入植者が住んでいるものの、武装した入植者がパレスチナ人を銃撃する光景はここ数年見られなかった。パレスチナ赤新月社によると、16日はシェイク・ジャッラーハ地区で4人、シャアファート地区で8人が負傷した。
―イスラエル軍は、ガザ地区のハーン・ユーニス東部、ブレージュとマガージー両難民キャンプを砲撃した。また、ガザ市南部サブラ地区の住宅を空爆した。上空を戦闘機や偵察用無人機が旋回しているため、さらなる住宅の破壊が行われるとみられる。
―サンフランシスコ大学政治学部のスティーブン・ズネス教授:バイデン米政権は、イスラエルのガザ地区に対する軍事作戦を不快に感じているが、これを止めるために十分な努力を払っていない。米の非難は全てハマースに向けられており、安保理が停戦を求める声明を出すことさえも妨げた。その理由は、米が地域での戦略的同盟国として長期的にイスラエルを支援していることと、「ダブルスタンダード」が存在することにある。これは、パレスチナ人の命を他の国民の命ほどは重視しないというものだ。そして、米は「ハマースが『人間の盾』を利用した」として、パレスチナ人の犠牲をハマースの責任にしようとしている。しかし、国連やヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナルの調査で、ハマースが人間の盾を使用していないことは明らかになっている。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―米国は、エジプト、エチオピア、スーダンの3か国に対し、中断しているエチオピアの「ナハダ・ダム」に関する協定交渉の再開を急ぐよう、異例の長文の声明でこれを促した。これまで静観していた米国が立場を変更したとも受け取られており、背景には、この危機が深まり、軍事衝突に至る可能性が懸念されていることが挙げられる。(アッシャルク・アルアウサト紙)
中東の新型コロナ動向
―トルコでは、感染拡大の傾向に歯止めがかかっていない中、エルドアン大統領はこれまでの厳しい予防措置を17日より段階的に緩和する意向を示し、「5月中は慎重を期すが、6月1日からは日常生活をより快適なものとするため、大きく軽減していく」と述べた。17日からトルコへの入国については日本を含む指定国からの旅客に対し、PCR検査陰性証明の提出が免除される。その一方で、政府のこの方針を世論と野党は批判している。観光省が発表したマスクをつけた職員が「私はワクチン接種を受けました」と出演する観光誘致動画が、物議を醸している。
(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―引き続き、総力を挙げてパレスチナ・イスラエル情勢を連続報道。