アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
18日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
(パレスチナ・イスラエル情勢に関する特別報道体制を続け、「ミッドナイト・ニュース」がなかったため、ヘッドラインはなし)
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―特になし
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―17日も、ガザ地区からイスラエルに向けて新たなロケット弾発射が行われ、イスラエルの「アイアンドーム」が迎撃を試みた。現地時間午後11時(18日0500JST)過ぎにも、更に多くのロケット弾が新たに発射された。
ガザ特派員のレポート(0510JST):イスラム聖戦軍事部門のエルサレム部隊は少し前に、「イスラエル軍の攻撃により組織幹部1人が死亡したことと、同軍がパレスチナの民間人を狙って攻撃・死亡させたことへの報復として、スデロットと西ネゲブを狙ってロケット弾多数を発射した」と発表。この前にも、ハマース軍事部門のカッサーム部隊がイスラエル各地に向けてロケット弾を発射した。一方、イスラエル軍による空爆は、この1時間超は止まっている。
―イスラエル軍が17日、ガザの住宅建物2棟を事前の警告なしに空爆し、パレスチナ人2人が死亡、数人が負傷した。また、ガザ地区のパレスチナ保健省報道官は「イスラエル軍が保健省の庁舎を含む21の医療機関を攻撃し、医療スタッフ多数が負傷した」と非難した。
ガザ特派員のレポート:パレスチナ保健省によると、この9日間のイスラエル軍によるガザ地区攻撃により、これまでに子供59人を含む200人以上が死亡し、1,300人以上が負傷した。ガザ市リマール地区にある集合住宅を狙った激しい空爆により保健省の本庁舎(医療センターがある)が大きな被害を受け、新型コロナウイルスの検査を行う唯一のラボが損傷し、業務が停止した。
―ガザ地区からのロケット弾発射が続く中、イスラエルの中部と南部を繋ぐ列車の運行停止が続く。南部のスデロットでは、一部の住宅にロケット弾が命中。イスラエル軍は、「軍事作戦の管理に使用されているため、ハマースの大物幹部5人の自宅を攻撃した」と発表。(上記以前のニュースの字幕報道)
―レバノン南部からイスラエル北部の上ガリラヤ地方に向けてロケット弾3発が発射された。これを受けて、イスラエルの部隊は、レバノン南部の国境沿いにあるミース・ジャバル付近に向けて照明弾を発射した(0531JST)。以下、その後の関連報道。
イスラエルのメディアは、「北部キリヤット・シュモナ入植地で何度か爆発音が聞かれた」と報道。イスラエル軍ラジオ放送によると、レバノン国境沿いのイスラエルの町村に避難所を開設するよう指示が出された。
イスラエル軍は、レバノンのクファルショーバの高原に向けて大砲で砲弾約20発を撃ち込んだ。同軍報道官は、「レバノン領内のロケット弾の発射元を砲撃した」と発表。イスラエルのレバノン国境地域上空をイスラエル軍の偵察機が旋回している。
イスラエル軍報道官は、「レバノン領内から6発のロケット弾が発射され、同国領内に着弾したことを確認した」と述べた。ただし、イスラエル北部の国境沿いのミスカーフ・アーンム入植地の付近に着弾したため、警報サイレンが鳴らされた。
UNIFILは、「レバノンのクファルショーバ北部からロケット弾複数が発射されたことを確認した。その後、イスラエルの砲撃が行われた」と発表。
レバノン・イスラエル国境からの特派員レポート:今回のレバノンからのロケット弾発射は、13日夜に起きたことの繰り返しだと思われる。ヒズボラを始めとするいずれの組織も実行を認めておらず、ロケット弾がレバノン領内に落ちたとされることからも、これはガザ地区への支援のメッセージのようなものだ。今回発射されたのはグラッド・ロケット弾で、これはレバノンでは以前の内戦・紛争時からパレスチナ諸勢力が所持していることで知られているものだ。ガザ地区に連帯するパレスチナ勢力やパレスチナ諸派筋などによると、「この地域で事態を過剰に激化させない」という一種の治安関連の決定が下されているようだ。
―米大統領府の声明によると、バイデン大統領はネタニヤフ・イスラエル首相と電話会談し、(パレスチナ・イスラエル間の)停戦への支持を表明し、米がエジプトや他のパートナー諸国と共にその実現に向けた取り組みに加わることについて協議した。また同大統領は、ロケット弾攻撃に対するイスラエルの自衛権への支持を確認しつつ、「民間人保護を保証し、エルサレムの平穏さを回復するよう」促した。一方、イスラエル公共放送協会によると、ネタニヤフ首相は同大統領に「あくまでも国民の安全を回復するための作戦の目的を達成する決意だ」と伝えた。
―CNNは、ハマース幹部の話として「事態の鎮静化に向けたエジプトとカタールの努力が2つの主な障害のため難航している。1つはイスラエルが『ハマースが先に停戦を開始すること』に固執していること。ハマースは、イスラエルより先に停戦するという提案を断固として拒否した。もう1つは、ハマースが『アルアクサー・モスクでの挑発行為の停止』と『シェイク・ジャッラーハ地区からのパレスチナ人立ち退き決定の(執行)停止』に固執していることだ」と報道。
―イスラエルTV・Ch13は、「コハビ軍参謀総長が、ガザ地区に隣接する町村の首長らと会合し、軍事行動は少なくとも48時間続くと伝えた」と報道。イディオト・アハロノト紙は、政府高官の話として「20日までは停戦はない」と伝えた。その後、ネタニヤフ首相は、治安機関幹部・国防相・軍参謀総長との会合後、「ガザ地区での軍事行動を続行し、その目的を達成する」と発表。また、イスラエル軍報道官は、同国のメディアに対し「ガザ地区での軍事行動はペースアップするだろう。軍にはまだ攻撃すべき多くの標的がある」と述べた。
―NY特派員によると、国連安保理は18日の非公開会合で、パレスチナ・イスラエル情勢について協議する。元々18日にはこの件に関する会合は予定されていないが、現議長国の中国とアラブ・グループの代表であるチュニジアとパレスチナ問題に常に関心をもっているノルウェーの3か国が、アフリカの和平と安全保障に関する非公開の安保理会合の最中に、パレスチナ・イスラエル間の問題を提起する意向だ。また20日には、OIC現議長国のニジェールとアラブ・グループ現議長国のアルジェリアの要請により国連総会の会合が開かれる予定だ。会合はリモートではなく国連本部の会場で開かれる。まだ声明案や決議案は出されていないが、パレスチナがガザ地区やパレスチナ人に対する攻撃の停止を求める決議案を提出するものと見られている。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―バイデン政権は誕生からわずかな間に、苦い教訓を味わった。「中東を放置して、中東は中東で独自に問題解決させようなどとすればひどい目に遇う」ということだ。バイデン自身が長くオバマ政権の副大統領を務めたベテランで、多くの優れた外交の専門家を抱えているにも拘らず、中東の危機に対するアプローチはあまりにも「うぶ」であった。(アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
―サウジアラビアが国民の海外旅行制限を大きく緩和した。17日より、①ワクチン2回接種完了者、②ワクチンを1回接種して14日以上経過している者、③新型コロナに感染後回復して6カ月以内の者等は「タワッカルナ」アプリでこれを証明することにより空港と航空機にアクセスできる。同国では、既に1,150万回分のワクチンが供給された。(アッシャルク・アルアウサト紙)
―当局の制限緩和により、17日、サウジとバーレーンを結ぶコーズウェイ(キング・ファハド橋)はバーレーンを短期観光するサウジ方面からの車で混雑した。バーレーンではアルコール飲料が提供されるため、観光収入は重要な産業の柱である。一方、空港の混雑は見られなかった。(アルフッラ)
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<特記事項・気付きの点>
―引き続き、パレスチナ・イスラエル情勢を重点的に連続報道。レバノンからのロケット弾発射後は、このニュースを中心に報道。