アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
26日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米国務長官、エルサレムとラーマッラーを訪問してガザ情勢激化後のバイデン政権の方針を説明。在エルサレム米総領事館再開の意図をイスラエル首相に告げ、ガザ再建への支援集めをパレスチナ大統領に約束
■ ウィーンでの核合意をめぐる協議、第5ラウンドの1日目が終了。イランと米は「それなりの具体的進展があった」と評価。米イラン特使は「やるべき事はまだ多い」と指摘
■イエメン議会で、ペリム島でのUAEの基地建設の経緯を明らかにするよう政府に求める動き。米は中国とUAEの軍事協力が次第に強まっていることを懸念
■マリで軍が大統領と首相を拘束して権限剥奪、調停のためECOWAS代表団がバマコ入り。軍は「移行期間の統治と選挙の準備を行う」と声明
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―ウィーンで25日、EUの主導の下でのイランとの核合意をめぐる協議の第5ラウンドの1日目が「前向きなムード」の中で終了。24日にはイランとIAEAが同国内の核関連施設の査察期間延長で合意している。イラン代表団を率いるアラグチ外務次官は、「ウィーンでの過去の4ラウンドの協議では、それなりの進展が見られた」と述べた。マトンEU報道官は、「EUは共通の地盤を見いだすため、核合意の全参加諸国との協議を続ける」「現在行われている協議の目的は、米の核合意への復帰、そして合意の完全順守を確実にすることだ」と述べた。
―イラン内務省は、6月18日実施予定の大統領選への立候補が認められた候補者らの氏名を公表した。ライシ司法府代表、レザーイ公益判別会議書記、ヘンマティ中銀総裁等の7人。護憲評議会は、ラリジャニ前国会議長、アフマディネジャド前大統領、ジャハンギリ第1副大統領を失格とした。
―バグダッドのタハリール広場で、過去数か月に起こった活動家らの暗殺の背後にいる勢力を明らかにするよう当局に求めるデモが発生し、治安部隊とデモ隊が衝突。デモ隊の少なくとも1人が死亡、治安要員らを含む複数が負傷した。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―カタール外務省の声明によると、ムハンマド・カタール外相は、カイロを訪問してタミーム首長からの書簡をシーシー・エジプト大統領に手渡した。両国関係に関する内容。カタール外相とエジプト大統領は、両国の協力関係やパレスチナ等の地域情勢をめぐって協議した。カタール外相はシュクリー外相とも会談し、両国関係の発展やルネッサンスダム問題等の地域の重要課題を協議した。
―AP通信は、「イエメンのバーブルマンデブ海峡に面した戦略的に重要な位置にあるペリム島で、謎めいた空軍基地の建設が進められている」「イエメン高官らによると、基地建設の背後にはUAEがいる」と報じた。AP通信はこの情報に関して、在米UAE大使館とアブダビの高官らにコメントを求めたが、返答がなかったという。
―ジャッバーリー・イエメン副議長は、「UAEがペリム島で行っていることに対する沈黙は、イエメンの主権の軽視を意味する。自国の主権を軽んじる者は、正当性を失う」と述べた。また、ムアンマリー議員は、アブドルマリク首相に対し、UAEがペリム島で基地を建設しているとの情報に対する政府の姿勢を明らかにするよう求めた。諮問評議会メンバーのバーティース氏は、アルジャジーラのインタビューで「イエメン大統領府はペリム島の現場に高官を派遣して何が起こっているのか調査すべきだ」と述べた上で、サウジにイエメンでのUAEの行動を正すよう呼びかけた。
―ウォール・ストリート・ジャーナルは、米当局者らの話として、「米は中国の軍用機2機が軍装備品をUAEに搬入する様子を観察した。これは米高官らの間に中国とUAEの協力への懸念を引き起こし、米からUAEへの(最新鋭ステルス戦闘機「F35」を含む)武器売却取引の将来をめぐる疑問が強まった」「米は、UAEの国内に中国の軍事基地が設置されたら、上記の取引は終わりだとUAEにはっきり伝えた」と報じた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―ブリンケン米国務長官は、ラーマッラーでアッバース・パレスチナ大統領と会談した後に、「米はパレスチナの人々への支援提供を続ける」と述べ、「ガザ地区の再建のために提供された支援はハマースに利用させない」と強調。また、「米はパレスチナ問題の解決を脅かすような、あらゆる一方的な措置に反対だ」と述べた。アッバース大統領は、「パレスチナ政府は、国際的に正当な基準に沿うという条件で、挙国一致内閣樹立に同意しうる」と述べた。
―米国務長官は、ネタニヤフ・イスラエル首相とアッバース・パレスチナ大統領に「(トランプ前政権時代にテルアビブからエルサレムに移転された米大使館に吸収されていた、パレスチナ人のための)在エルサレム米総領事館再開に向けた措置を進める」と伝えたことを明らかにした。
―ラーブ英外相がイスラエルに到着。26日にまずイスラエル高官ら、続いてパレスチナ高官らと会合する。同外相は、「最近成立した停戦を維持する方策を協議する」「暴力の循環を終わらせ、恒久平和に向けた進展を実現しなければならない」とツイートした。
―イスラエル当局は、ガザ地区との境界南部のカルム・アブー・サーレム検問所と北部のベイト・ハヌーン(エレツ)検問所を部分的に再開し、同地区への一部の物資の搬入を許可した。また、国際団体職員・外国人ジャーナリスト、重篤な傷病者にベイト・ハヌーン検問所を開放した。
―ドゥジャリク国連事務総長報道官は、エルサレムとアルアクサー・モスクをめぐる情勢が再び緊張することへの懸念を示し、平穏を回復させて信教の自由を尊重するよう呼びかけた。
―イスラエル公共放送協会(KAN)の報道で、東エルサレムのシェイク・ジャッラーハ地区で数日前にイスラエルの警官が自宅の中にいるパレスチナ人の少女にゴム弾を発射する様子を示す動画が流された。家の内部に設置された監視カメラに記録されたもの。少女が玄関のドアの前に出た途端に警官が銃を向けて即座に発砲し、家の中に逃げようとしたところを負傷させた。少女が負傷した瞬間が捉えた別の動画もあった。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―マリのゴイタ軍事評議会議長(副大統領)は、「暫定政府のヌダウ大統領とウアンヌ首相は、移行期間について定めた規定を実行しなかったため解任された」と声明した。軍が移行期間の統治と選挙の準備を担当するという。
―マリの軍事評議会の決定に対して地域内外で非難が起こる中、米はマリの大統領・首相・国防相の無条件での解放を呼びかけ、国連は情勢の鎮静化を促した。マクロン仏大統領は、「マリの軍人らが起こしたことはクーデターの中のクーデターだ」「仏には、これに関与した者らに制裁を科す用意がある」と述べた。
―マリの首都バマコに、ジョナサン前ナイジェリア大統領率いる西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の代表団が到着。代表団はマリの軍事評議会幹部らと会合する。ECOWASはこれに先立ち、マリの軍幹部らに大統領・首相の無条件での即時解放と両者を拘束した責任者らの処罰を求めている。
エリコの目
―6月18日に投票日を迎えるイラン大統領選挙ではロウハニ大統領(保守穏健派)に代わり強硬派の大統領が勝利するとの予測だ。最高指導者ハメネイ師としては、ウィーンで行われている核合意を復活させる交渉が急速にまとまるよりは、それが少し遅れて、強硬派の新大統領の下でまとまり、制裁解除、そして経済回復、というプロセスを辿る方が、自身の権力基盤を強めると考えているようだ。(アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
―トルコは、4月29日から17日まで「完全封鎖」と呼ばれる厳しい感染予防措置を実施していたが、先週、内務省は全国の自治体に対し6月1日まで段階的に生活を通常に戻す措置をとると通達した。その中で、24日の数値は、新規感染者数は7,523人、死者数は178人であった。(注:4月中旬のピークに新規感染者数は6万人を超えていたので、1か月でかなり低下したことは認められるものの、毎日の死者数は依然高い水準にある。)(アナドール通信)
<特記事項・気付きの点>
―特になし