アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
28日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 国連人権理事会、パレスチナの地でのイスラエルの人権侵害を調査する委員会設置を決議。国連人権高等弁務官は、同国による人権侵害が戦争犯罪に該当する可能性を指摘。米は遺憾の意を表し、イスラエルは協力を拒否
■ 米・露・欧州諸国がウィーンで会合。イランとの将来的な核合意が進んだ段階に達したことを受け、その履行をめぐって協議。イラン大統領は、主要な制裁解除での相互理解に言及
■アルジャジーラの情報源、「マリの軍事評議会は、ECOWASと国際社会の要請に応じて大統領と首相を解放した」と確認
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―ウリヤノフ露IAEA大使は、「核合意参加諸国の代表団がウィーンで米代表団と会合した。イランは出席しなかった」「会合では、イランとの核合意をめぐる協議の第5ラウンドの現状について意見交換が行われ、準備が進んだ段階に達した将来的な合意の実施面に特に重点を置いて話し合われた」とツイートした。
―ロウハニ・イラン大統領は、「ウィーンでの協議で、主要な対イラン制裁の解除について相互理解に達した」「核合意の(完全)履行までに、他にも解除されるべき制裁がある」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―国連人権理事会は27日、パレスチナの地でのイスラエルの人権侵害について調査する委員会の設置を決議した。各国の立場が分かれた末の決議。イスラエルはこの決定を拒否し、調査に協力しないと表明。米は遺憾の意を表した。バチェレ国連人権高等弁務官は、「イスラエルの人権侵害は、戦争犯罪の域に達する可能性がある」と指摘。これに先立ち国連は、今後3か月のパレスチナ支援のため、9500万ドルの拠出を各国に呼びかけていた。国連はまた、「戦闘集団が使用する建物を空爆したとのイスラエルの主張に証拠はない」とした。
―ウェネスランド国連特別調整官(中東和平担当)は、安保理会合で「パレスチナの統一と正当なパレスチナ政府のガザ地区への復帰は、持続可能な紛争解決に向けて前進するため必須だ」と述べ、「暴力行為を働いた全員を処罰しなければならない」と強調した。また、イスラエルの部隊に対し、最大限に自制して必要な場合のみ殺傷力の高い武器を使用するよう求めた。マンスール・パレスチナ国連大使は、「エルサレムやガザ地区で起こった出来事の責任はイスラエルにある」と述べ、国際法に従うようイスラエルに求めた。一方、イスラエルの国連代理大使は安保理に対し、自国の自衛権を支持してハマースを非難し、同組織の武装解除を呼びかけるよう求めた。
―米ニュースサイト「アクシオス」によると、ブリンケン米国務長官は中東からの帰国便の中で、「イスラエルが東エルサレムのシェイク・ジャッラーハ地区でのパレスチナ人の家屋強制退去措置を続けたら、衝突が再発する可能性がある」「停戦を維持する意図をイスラエル側から直接、ハマースからは(エジプト経由で)間接的に聞いた」「意図する、しないにかかわらず、新たな一連の暴力を引き起こす様々な行為を避けることも重要だ」と述べた。
―イスラエルの部隊は、エルサレムのシェイク・ジャッラーハ地区でパレスチナ人のジャーナリスト2人を拘束した。また、同地区のパレスチナ人住民のため連帯行動を取る2人も拘束。同地区で暮らすパレスチナ人約750人が自宅から強制的に退去させられる危険に晒されている。
―アブドラ・ヨルダン国王と同国を訪れたムハンマド・アブダビ皇太子は、ガザ地区での停戦合意とその維持の重要性を確認し、和平プロセスを動かして推し進めるため今後地域・国際レベルで取り組む必要があると強調した。ヨルダン国王は、アンマンでアブダビ皇太子を出迎えた際、「エルサレムやアルアクサー・モスクでのイスラエルの違法で挑発的な侵害行為を止めるため、アラブ諸国・国際社会が努力を続ける必要がある」として、「1967年6月4日(第3次中東戦争以前)の境界線を国境とし、東エルサレムを首都とするパレスチナの独立国家建設を含む2国家解決」の必要性を強調した。
―ムハンマド・カタール外相は、米MSNBCのインタビューで、「ガザの停戦は一時的なもので、問題の根本的な解決とはならない」「イスラエルの挑発行為を制止し、パレスチナ人のイスラム教徒・キリスト教徒が宗教儀式を実践できるようにすることを通じて停戦を守ることが切実に必要とされている」と述べた。また、「カタールは年季の入った信頼のある仲介者であり、地域でいくつもの仲介作業に成功した」「カタールの役割は、敵対する様々な勢力に紛争を平和的に解決するための土台を提供することだ」と説明した。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
― アルジャジーラの情報源によると、マリのヌダウ大統領とウアンヌ首相が解放されてバマコの自宅に戻った。西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)と国際社会の強い要請に同国の軍事評議会が応じた形。軍事評議会は、「新政府の樹立に向けて調整を続ける」と表明。アルジャジーラが得た情報によると、ゴイタ副大統領(軍事評議会議長)は、反政府勢力連合「6月5日運動」に対し、首相と閣僚5人を選ぶよう提案した。同評議会は新政府への政治勢力・労働組合の参加を望んでいるという
エリコの目
―S&Pグローバル・レーティングの発表によれば、今年のGCC6か国の財政赤字は油価の上昇、金融情勢の好転、及び新型コロナ対策緩和による経済への好影響によって大幅に改善する見通し。6か国全体の政府財政赤字は、2020年に1430億ドルであったが、21年は約800億ドルに圧縮される見通しとのこと。(アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
―「バーレーンの感染拡大中」バーレーン政府は、27日から2週間の予定で全ての商業施設、飲食店、美容・理容店、スポーツジム等の閉鎖を命じた。飲食はデリバリー、持ち帰りのみで営業できる。イベント・会議や個人宅での祝祭事も禁止。1日あたり感染者数が3000人を超える異常事態となっていることを受けた措置。23日の新規感染者数は3,177人、24日の死者は28人で過去最高を更新した。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし