アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
29日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 西岸地区でイスラエルの部隊とパレスチナ人らが衝突し、緊張が続く。イスラエルは入植地拡大を決定、グリーンライン内ではパレスチナ人拘束が止まず
■ 米特使、イエメンでの停戦合意成立と確実な人道支援搬入を目指してオマーンとサウジで活動。国連特使は「イエメン紛争の当事者らには、解決に向けて前進する機会がまだある」と語る
■エチオピア、「この夏にルネッサンスダムの2度目の貯水作業を進める」と宣言。スーダンは「合意なきダム貯水は真の脅威」と評しつつ、紛争の平和的解決を目指す姿勢を確認
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―サッバーグ・シリア人民議会議長は、「26日の大統領選で現職のアサド大統領が勝利した」と発表した。95.1%の得票率での同大統領の4選の発表は、シリアと世界のSNSで論議を醸した。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―オマーンの首都マスカットで、レンダーキング米イエメン特使とグリフィス国連イエメン特使がイエメンでの停戦合意成立と人道支援物資の確実な搬入を目指して活発な動きを見せている。国連特使は、「イエメン紛争の当事者らには、この機会を捉えて解決に向けて前進することがまだ可能だ」と述べた。
―ビンムバーラク・イエメン外相は、マレー米イラン特使との会談で、「イランはイエメンで民兵集団のホウシー派を利用し、負の役割を演じた」と述べた。
○ エジプト情勢
ー特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―西岸地区とエルサレムの各地で28日、金曜の集団礼拝後に衝突が発生し、緊張が高まった。西岸地区ナブルス南東ベイターでは、入植者らが町の近くのスバイヒ山を占拠して入植スポットを作ろうと試みていることに抗議して、平和的に行進していたパレスチナ人のデモ隊をイスラエルの治安部隊が弾圧。胸を銃撃された28歳の男性が死亡した。また、パレスチナ赤新月社は、「ベイターでの衝突の際、20人以上の手当てを行った。実弾による負傷者らもいた」と発表した。また、エルサレムのシェイク・ジャッラーハ地区では、治安部隊が厳重な警戒態勢を敷く中、イスラエル人の平和活動家数十人がデモを行い、占領終結やパレスチナ人の家族らの強制退去措置停止を求めた。また、パレスチナ人ジャーナリストらも同地区の入口でデモを行い、治安部隊が地区内での彼らの取材を妨害し、攻撃していることに抗議した。
―イスラエル政府は、西岸地区ベツレヘム南東での新たな入植者用住宅560戸の建設を承認した。
―イスラエル警察は、グリーンライン内のアラブ系住民が多数を占める地域で実施している拘束作戦の期限を1週間延長し、約500人を対象者のリストに載せた。
―エジプト情報機関の代表団が28日、ガザ地区に到着した。約1週間前にイスラエルのガザ攻撃が終了してから3度目の訪問。パレスチナ諸派とイスラエルの間の停戦の安定に向けた努力の一環。
―WHO報道官は、ガザ地区の傷病者約600人を地区外に搬送して治療を受けさせるため便宜を図るよう求めた。その中の慢性疾患を持つ患者らは、イスラエルのガザ攻撃が始まってから地区外に搬送する必要があったが、境界検問所が閉鎖されたため、それが出来なかったという。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―エチオピアの与党「繁栄党」執行委員会は、ルネッサンスダムに関する声明を発した。その要旨は以下の通り:この夏に予定されているルネッサンスダムの2度目の貯水作業を進める/エチオピアはナイル川の水源の国であり、『アフリカの角』、アフリカ東部の状況を強化する力を持っている/エチオピアの国力と地域での地位によって自国の利益が限定されうると考える国々が存在する(名指しせず)/敵は、エチオピアと近隣諸国の戦いを焚きつけようとしている。エチオピア経済を弱らせて最大規模のプロジェクトを停止させるためだ/ルネッサンスダムの貯水を完了させ、紅海地域での影響力を取り戻すため真剣に取り組むことがエチオピアの主要な計画だ。
―マフディー・スーダン外相は、ルネッサンスダム及びエチオピアとの国境をめぐる紛争の平和的解決を目指すスーダンの姿勢を確認。ガーナの首都アクラを訪れて同国のアクフォアド大統領と会談し、「スーダンは、国際社会により大きな役割を与えつつ、『アフリカの問題にはアフリカの解決を』という方針を取る」「法的拘束力のある合意のない状態でのルネッサンスダムの2度目の貯水は、スーダンにとって真の脅威となる」と述べて、スーダンの「公正で穏健な」姿勢を支持するようガーナに求めた。スーダン外相は、新たにアフリカ諸国歴訪を行っており、ガーナはナイジェリアに続く2国目。今後セネガルとニジェールも訪問予定。
―米国務省のゴデック国務次官補(アフリカ担当)は、上院外交委員会の公聴会で、「ルネッサンスダムの件でなんらかの軍事的作戦が行われたら、悲惨な結果となるだろう」と警告し、「問題を技術的に解決する必要がある」「米は紛争解決に向けたAU主導の交渉を支持し、大きな支援を提供する用意がある」と述べた。
―マリの軍事クーデターを率いたゴイタ副大統領(軍事評議会議長)は、大統領府に属する参謀総長、外交担当と広報担当の大統領顧問2人、および大統領と共に拘束していた大統領府長官を解任した。
―(字幕速報、0607JST)マリの憲法裁判所、ゴイタ副大統領を大統領とみなすことを承認。
エリコの目
―28日付NYタイムズ紙は、ガザ爆撃で亡くなった子供たち67人中64人の顔写真を第一面に掲載した。戦争犯罪ではないか?と問うている。(ヘルミー元駐イタリア・エジプト大使のFBより)
中東の新型コロナ動向
―ドバイ万博(EXPO2020)を今秋に控えているUAEは、年初来数多くの催事を感染防止対策の適用によって実施した。このことは、「アフターコロナ」の生活を考える上での模範となっている。UAE政府は早期よりPCR検査の充実、ワクチン接種を始めとする総合的な対策を実施した。その適用は医療、教育、航空産業、ホテル業界を含み、世界の信頼を勝ち取った。(アルハリージュ紙)
ーUAEの28日発表の新規感染者数は2,236人と2日続けて2,000人を超えた。死者数は4人。UAEの国境は開かれており、大量の検査を実施していることが、感染者数と死者数のギャップを説明しているものとみられる。
<特記事項・気付きの点>
―特になし