アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
31日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ ネタニヤフ首相、野党の連立組閣交渉を「世紀の詐欺であり、イスラエルの安全保障に対する脅威だ」と非難
■ ガザ地区での停戦定着と復興に向けた外交的な動き。イスラエル外相がカイロを訪問する中、エジプト総合情報局長官はエルサレムとラーマッラーで協議を行う
■ 国連イエメン特使、リヤドとマスカットで協議を行った後にサヌアでホウシー派指導者と会談。同派は人道問題を軍事・政治面と結びつけることを拒否し、食料品と燃料の搬入を求める
■ ECOWASがアクラで緊急会議、クーデターを受けてマリのメンバーシップを凍結し、同国の軍事評議会に「18か月間の移行期間を順守するよう」求める
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―特になし
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―ホウシー派報道官は、「グリフィス国連イエメン特使はサヌアを1年ぶりに訪問し、ホウシー派指導者アブドルマリク・ホウシー氏と会談した」「ホウシー指導者は会談で、イエメンの人道問題を軍事・政治面と結び付けることを拒否した。また、イエメンの人道問題への国連の対応を非難し、『国連ははっきりとした姿勢を示し、イエメン国民を支えるべきだ』と述べた」と発表。
―上記訪問は、イエメンでの停戦と政治プロセスの再開に向けた、国連イエメン特使と米イエメン特使による政治的な動き強化の一環。これに先立ち、サウジ首都リヤドやオマーン首都マスカットでも協議等が行われた。レンダーキング米イエメン特使は27日にオマーン外相とマスカットで会談した。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエルの右派野党「イエミナ」のベネット党首は30日、中道野党「イェシュアティド」のラピド党首(元財務相)が樹立を目指す連立政権に加わる方針を表明。これについてネタニヤフ首相は、「ベネット氏は世紀の詐欺を働いた」「同氏の参加する政権は、日和見主義で弛んでいるものだ」「同氏の関心は首相になることだけであり、危険な左派政権を目指している」と非難し、「首相ポストを輪番制とする右派連立政権の樹立を提案したが、同氏は拒否した」と明かした。
―ガザ地区の停戦定着と復興に向けた地域的な外交活動が行われている。カーメル・エジプト総合情報局長官は30日にエルサレムでガンツ・イスラエル国防相と会談した。31日にはガザ地区でパレスチナ抵抗諸派の指導者らと会談予定。これに先立ち、カーメル長官はエルサレムでネタニヤフ首相と、ラーマッラーでアッバース・パレスチナ大統領と会談した。
ネタニヤフ首相は、「カーメル長官との会談で、ガザ地区で拘束されているイスラエルの兵士及び民間人の帰還を早急に実現することを求めた。また、ハマースが軍事能力を強化し、今後提供される支援物資を悪用することを阻止する方策について協議した」と述べた。
―アシュケナジー・イスラエル外相は30日にカイロを訪問し、シュクリ・エジプト外相や政府高官らと会談した。ハーフェズ・エジプト外務省報道官は、「(イスラエル外相の)訪問は、イスラエル・ガザ地区間の停戦の定着に向けたエジプトの取り組みの一環だ」「シュクリ外相は会談で、緊張を高める全ての行為を止め、政治路線の再開に向けた環境を整える重要性を確認した」と述べた。一方でアシュケナジー外相は、「協議では、ハマースに拘束されているイスラエル軍兵士らの帰還に関するイスラエルのコミットメントが中心議題となる」と述べた。
―ハマースと同軍事部門「カッサーム部隊」は、イスラエルとの11日間におよんだ軍事衝突の犠牲者を弔うイベントを開催し、「我々にはパレスチナの国民と聖地を守る覚悟がある」と強調した。カッサーム部隊はガザ地区北部でパレードを行い、戦闘で実際に使用されたミサイルや無人機を公開した。イベントにはガザ地区トップのヤヒヤ・シンワール氏を筆頭とするハマースの幹部複数が出席した。
―駐イスラエル・UAE大使は、ユダヤ教超正統派の宗教政党「シャス」の指導者とエルサレムで会談した際に、イスラエル・ガザ地区間の軍事衝突の報道について、「アルジャジーラのようなテレビ局や、ムスリム同胞団が地域で狂気を煽ろうとしている」と非難した。また、「イスラエルに来て、テルアビブにモスク(イスラム教の礼拝堂)があることに衝撃を受けた。これはアルジャジーラ等の報道内容とは異なる事実だ」と述べ、「アブラハムの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3宗教の礼拝所を1ヶ所に集めた)施設をアブダビに開設するよう」呼びかけた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―リビア大統領評議会の報道官は記者会見で、「評議会は、国内和解と、和解高等委員会の設立期限を来月に定めた」「今後は、全当事者が参加する和解に向けた前例のない動きがみられるだろう」と述べた。
―アルジェリア大統領府は、「ドベイバ・リビア挙国一致内閣首相のアルジェリア訪問は、リビアの国内和解と、リビアの主権と領土の一体性を確保する唯一の方法である政治解決の歩みにおけるアルジェリアの役割を確認する機会となった」と述べた。テブン・アルジェリア大統領はドベイバ首相と首都アルジェで会談した際に、「移行期間の確保に向け、リビア内務省に対する技術支援を提供する用意がある」と伝えた。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―マリでのクーデターとみられる動きを受け、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)はガーナ首都アクラで緊急会議を開き、マリのメンバーシップの凍結を決定した。マリのクーデター首謀者とされ、暫定大統領に就任したゴイタ氏も出席した会合で、ECOWASは同国の軍事評議会に対し「18か月間の移行期間を順守し、2022年2月に大統領選挙を実施するよう」求めた。
―アクフォアド・ガーナ大統領は上記会議の開幕会合での演説で、「ECOWAS諸国は、マリでの平和的移行の実現に向け尽力すると約束する」と述べた。
―マクロン仏大統領は、「マリがイスラム過激派の方向に進むのなら、同国から仏軍を撤収させる」と警告し、「西アフリカ諸国の指導者には、『民主的正統性から遠ざかった国は支援しない』と再三伝えてきた」と述べた。
エリコの目
ー「ムスリム同胞団国際組織」は、「雌伏の時代の戦略」として、同組織に対して強い逆風が吹いている現在を可能な限り耐え忍び、決定的な崩壊に至らないための戦略を画策している。イラン革命防衛隊とも連絡を取っており、エジプトを追われた幹部らの当面の避難所になる可能性がある。(アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
ーアブダビ首長国は、シノファーム社製ワクチンの接種を完了している者に対して、第3回目となる「ブースター接種」を実施する用意が整ったと発表した。2回目の接種をしてから6カ月以上経過している人は、誰でも無料で首長国内に100カ所以上ある接種センターで3回目の接種を受けることができる。今月中旬、当局者は、社会の安全を十分に守っていくため、ブースター接種を実施すると発表していた。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし