アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
3日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ イスラエル野党党首、新連立内閣の樹立を発表。「ネタニヤフ時代」を終わらせる、アラブ系を含む7党との合意が成立
■ EU高官、イラン核合意をめぐる交渉について「来週にも合意成立の可能性がある」と語る。イラン大統領は「主な課題は解決した」、米は「対イラン合意は国益にかなう」と述べる
■ レバノン首相、「友人たち」に対し、「手遅れになる前に介入してレバノンを救う」よう呼びかけ、各政治勢力に譲歩を求める
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラン核合意の再生を目指すウィーンでの当事国交渉の消息筋は、「協議参加国の間で合意案ができた」と述べた。この筋は、「懸案の細部に対立が残っており、相互の譲歩が必要だ」「譲歩は政治決定によって可能となるため、ウィーンで交渉している各国代表団は、一旦帰国して更なる協議を行う必要がある」と説明した。核合意をめぐる交渉は来週、IAEA理事会(7日~11日)と並行して再開される由。
―EUのモラ欧州対外活動庁事務次長は、イラン核合意当事国の合同委員会を終えて、「来週のウィーンでの協議で、核合意順守への復帰についてイランと米の合意が成立する可能性がある」と述べた。「残る課題は、細部の技術的な点であり、政治決定によって解決できる」としている。
―ロウハニ・イラン大統領は閣議で、核合意をめぐるウィーンでの交渉について、「交渉は進展している。米との間で、懸案だった主要な課題は解決した」「バイデン米大統領は、対話こそがイランに対応する最良の方法だと理解した」と述べた。
―サキ米大統領府報道官は、「イランの核兵器保有を防ぐ同国とのいかなる合意も、米の利益に資する」と述べた。一方、米国務省は「協議は良いペースで続いている。いくらか進展があった」としている。
―テヘラン南方にある国営「トンドグーヤーン石油化学」社の製油所で大規模な火災が発生。イランのメディアによれば、死傷者は出ていない。「ガス管からの漏洩」が原因とされ、同社幹部は「技術的な不具合のため出火した。破壊行為はなかった」と話した。製油所のタンクに延焼したとの情報もある。
―ディヤーブ・レバノン職務執行内閣首相は、「外部からのレバノン封鎖は、国を完全に崩壊させる危険がある」とし、「レバノンの兄弟・友人たち」に、「手遅れになる前に介入してレバノンを救う」よう呼びかけた。また、各政治勢力に譲歩を求めた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―サウジ、オマーン両国で、米と国連のイエメン担当特使がイエメン政府、ホウシー派の代表とそれぞれ会合するなど、外交が活発化。サーレハ・イエメン副大統領は「停戦こそが、人道や他の側面で根本的解決を見出すための基本的な出発点だ」と述べた。一方、ホウシー派のアブドッサラーム報道官は「イエメン封鎖を解き、停戦に道筋をつけるための取組みは歓迎する」と語った。
―オースティン米国防長官とムハンマド・サウジ皇太子が電話会談し、イエメン戦争を終わらせるための取組みについて話し合った。米国防総省によれば長官は、「米はサウジが領土と国民を守るための支援にコミットする」と述べた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエルの中道「イェシュ・アティド(未来がある)」のラピド党首は、8党の合意によって連立政権を樹立するに至ったと発表し、これを大統領に伝えた。またツイッターで「イスラエル国民のために働く内閣をつくる」と約束。大統領府によれば、新内閣ではまずベネット「ヤミナ」党首が2年間、次いでラピド氏が首相を務める見通し。
―「アラブ統一リスト」のマンスール・アッバース代表も、連立合意に署名した。アラブ系として初めてイスラエル政権に参加する。アッバース代表は、「アラブ人コミュニティの利益のため、アラブ人の人間的地位と政治的影響力を向上させるために、従来からの多くの疑念を理解しつつ、現状を打破した」と説明した。
エルサレム支局長の話:連立政権に加わるアラブ系以外の右派・中道・左派の7党の党首は、ほぼ全員が、過去5次のネタニヤフ内閣の重要閣僚経験者だ。それぞれに首相の政策によって悪影響を被っており、首相を退陣させることを「変革」と位置づけてその一点で結集した。彼らの政治的立場は、「西岸地区の併合」「2国家解決の拒否」を呼びかける政党から、「占領の終結」「入植地の撤収」を掲げる左派「メレツ」まで、著しい開きがある。
一方、「アラブ統一リスト」は、イスラエル国内のアラブ系市民に関わる政策の「変革」を望んでいる。アラブ系の住宅取壊しを(違法建築だとして)促進する「計画・建設法」の改正など、人種差別的な政策に歯止めをかけられるかが問われる。具体的成果を出せるかで、有権者の審判を受けることになる。
今後のネタニヤフ首相の動きが注目される。ベネット氏ら右派指導者の「裏切り」を引き続き非難して支持者のデモを煽るなど、緊張を高める可能性がある。首相が右派議員に圧力をかけて連立を失敗させる余地を奪うべく、ラピド氏は、組閣案を信任採決する国会会議の早急な開催を大統領に求めている。
―ボグダノフ露外務次官は、「ガザ地区での最近の情勢激化を沈静化させる上でより重要な決定は、カタール政府の後押しで成立した」「カタールは、ハマース指導部とやり取りできるために、建設的な役割を果たせる」と述べた。「情勢が激化していた間、露はカタールや、在ドーハのハマース政治事務所と常に連絡をとっていた」とも語った。
―ベンソーダICC主任検察官は、「最近のガザ地区での出来事に関し、犯罪行為についての調査を始めた」「イスラエルとパレスチナの双方が調査対象になる」と述べた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―エジプトによる「ガザ停戦の恒久化」に向けた仲介努力が続いているが、その目的は米国の代理でハマスを抑え込むこと、との見方が支配的。一方のハマスは、エジプトに国境制限を緩めてもらい、ガザ地区の壊滅的な経済にテコ入れを実現しなければ「戦勝」の意味がない。イスラエルとの「捕虜交換」も重要要求。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
中東の新型コロナ動向
―オマーンは2日、閉鎖していた隣接国との国境を開き、陸路による人の出入国を再開すると発表した。その他の感染防止措置の緩和としては、百人以上を収容する大規模モスクにおける1日5回の礼拝の許容、50%を超えない収容率での商業施設営業の再開、30%を超えない収容率での結婚式等の社会的行事の許可等。同国では、夜間外出禁止令を発令していたが、先月、この措置も撤廃。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし