アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
8日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ カッサーム部隊、捕虜のイスラエル兵が解放を求めて政府に懇願する声の録音をアルジャジーラの番組で公開。兵士の父親は「録音音声は息子のものだと感じる」とアルジャジーラに語り、兄弟はイスラエル政府に解放に向けて動くよう呼びかけ
■ シオニスト団体、エルサレムでの「旗の行進」が中止されたことに反発し、10日にアルアクサー・モスクに突入するよう呼びかけ。パレスチナ諸派は「エルサレムを5月11日より前の状況に戻すことは許さない」と警告
■IAEA事務局長、「イランは核兵器製造に近づいている」と警告。米国務長官は「イランの政策に対する統一戦線」に言及。イラン外相は「バイデン政権は経済テロを止めない」と指摘
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―グロッシIAEA事務局長は、「イランの核開発計画で、高い濃縮度でウランが製造されるようになり、核兵器 製造の段階に近づいた」と警告し、「イランの核開発に関して現在行われている協議で、近々成果が出ることを期待する」と述べた。
―ブリンケン米国務長官は、下院外交委員会の公聴会で、「イランの核開発は急速に進んでいる。これが長く続けば続くほど、核兵器を製造するのに必要な時間は短くなって数週間レベルになるだろう」「米がパートナー・同盟諸国と統一戦線を張れば、イランに責任を持たせることにおいて、より良い立場に立つことになるだろう」と述べた。
―ザリーフ・イラン外相は、「バイデン米大統領とブリンケン国務長官にトランプ前大統領がイランに対して取った『最大の圧力をかける政策』を葬り去る用意があるかどうかは不明だ」「バイデン政権に経済テロを交渉の切り札として利用することを止めるつもりがあるか否かも不明だ」「イランは核合意を順守している。第36項に、『他の署名国が合意を順守しなければ、イランには対抗措置を取ることが出来る』と規定されている」とツイートした。
―イランのガリブアバディIAEA大使は、「グロッシIAEA事務局長の発言は、彼がイランに対して偏向したアプローチを取り、イランのIAEAへの参加と協力の度合いを無視していることを示している」「IAEAの報告書は信頼できる情報源に基づいておらず、信憑性を欠く」とツイートした。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―マッケンジー米中央軍司令官は、「ホウシー派にイエメン紛争の政治的解決のため交渉する意欲があるかどうかは疑わしい。サウジは紛争終結を目指しているが、同派にこの機会を捉える用意があるとは思えない」「米はホウシー派の攻撃に対するサウジの防衛力向上のため、支援を続ける」と述べた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―アルジャジーラの検証番組「The Hidden is More Immense」の最新回で、ガザ地区でカッサーム部隊(ハマースの軍事部門)の捕虜となっているイスラエル兵が自身の解放に向けて動くよう政府に懇願している声の録音が流されたことに対し、反響が続いている。ハマースに拘束されているイスラエルのアヴェラ・メンギストゥ兵士の父親は、アルジャジーラのインタビューで「番組で流された録音音声は息子のものだと強く感じる」と述べた。兵士の兄弟は、「イスラエル政府が彼の解放のために捕虜交換取引を行う義務を遂行することを期待する」と述べた。
―上記の番組は、イスラエルの刑務所で収監されているパレスチナ人らの家族に「身内の釈放が近づいている」という新たな希望を与えた。パレスチナ抵抗勢力とイスラエルの捕虜交換取引は、身内の収監者が釈放される唯一の機会だと家族らは考えている。
―ハマース幹部のムシール・ミスリー氏は、上記の番組についてのコメントで、「ハマースとカッサーム部隊の優先事項は、収監されているパレスチナ人の解放のための『名誉ある』取引に達するための交渉という戦いだ」「イスラエルは、粘り強い抵抗勢力を相手にしていることを理解し、ギラド・シャリートの解放取引から教訓を学ぶべきだ」と述べた。
―「神殿の丘」として知られるユダヤ人の過激派集団は、イスラエル警察が「治安上のリスク」を理由として10日に予定されていたエルサレムでの「旗の行進」の中止を決定したことに対抗し、同日にアルアクサー・モスクに突入するよう呼びかけた。極右政党「宗教シオニズム」のスモトリッチ党首は、警察の決定を「ハマースのテロと脅迫に屈する行為だ」「警察長官にはエルサレムでのイスラエル国旗を掲げた行進の安全を保障する力がない」と批判した。これに先立ち、ハマースの政治局員ハリール・ハイヤ氏はガザ地区での記者会見で、イスラエルと仲介者らに「旗の行進」をエルサレムやアルアクサー・モスクに近づけないよう警告していた。
―「旗の行進」は、イスラエルが1967年の第3次中東戦争での勝利の結果、東エルサレムを西エルサレムに併合したことを記念する「エルサレム・デー」の行事として始まり、毎年イスラエルの極右団体が主催している。参加者らはイスラエル国旗を掲げ、エルサレム旧市街を行進する。
―パレスチナ抵抗勢力諸派の合同司令室は、「イスラエルが国内の危機をパレスチナに持ち込むのは許さない」と声明し、「イスラエルがエルサレムを5月11日より前の状況に戻すと決定したら、我々は黙ってはいない」と強調した。(イスラエルの治安部隊がアルアクサー・モスクの一帯に突入する等のエルサレム情勢の激化を受け、5月10日にガザ地区から同市に向けてロケット弾が発射された経緯がある)また、エルサレム・西岸地区・グリーンライン内のパレスチナ人らに対し、引き続きイスラエルに立ち向かうよう呼びかけ、「抵抗勢力には適切な時に支援する用意が出来ている」と請け合った。
ードゥジャリク国連事務総長報道官は、アルジャジーラのブデイリー特派員がエルサレムで暴行・拘束を受けた事件に言及し、「ジャーナリストはあらゆる場所で保護される必要がある」と述べた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―オースティン米国防長官は、国防総省でのストルテンベルグNATO事務総長との会談後、「米はアフガニスタンからの撤収期間中、同盟諸国の支援にコミットする」「バイデン政権は、米軍撤収後にアフガニスタンと良い関係に移行することを確信している」と述べた。NATO事務総長は、「部隊撤収後もアフガン支援を続ける」と確認した。
―マッケンジー米中央軍司令官は、カタールがアフガン和平協議を主催したことを称賛し、「カタールでの協議は、アフガニスタンで起こっていることに関して進むべき道を見いだすのに大きく貢献した」と述べた。また、交渉を行って紛争の平和的解決を目指すようタリバンに呼びかけた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―12日に投票が予定されているアルジェリアの総選挙では、「ムスリム同胞団系」のイスラム主義政党2党が躍進しそうだ。第一党になることが予測される「平和な社会」幹部は、過半数をとる政党はなく、我が党が中心となって連立が組まれる、と予測。「国民建設運動」は、主役になれないまでも、国民の幅広い声を政治に実現して行く、と政権参加に意欲を示している。(アッシャルク・アルアウサト紙)
中東の新型コロナ動向
―中東北アフリカの国別PCR検査実施状況(百万人当たりの累積検査数)
Top5:①UAE 519.2万人、②イスラエル 158万人、③カタール 73万人、④ヨルダン71.9万人、⑤レバノン66.1万人。
主な国の数値:⑧サウジアラビア 55.9万人、⑬イラン 24.5万人、⑭モロッコ 17.6万人、(参考)日本 11.8万人、⑰エジプト 2.8万人、⑳アルジェリア 0.5万人。
<特記事項・気付きの点>
―特になし