アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
12日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ エルサレムの旧市街でイスラエル議会の極右議員に抵抗しようとしたパレスチナ人らが拘束される。パレスチナ抵抗諸派はアルアクサー・モスクの侵害を警告
■ 核合意をめぐるウィーンでの協議の新ラウンドを前に、米は「(イランの)振る舞いに変化があった結果」として、同国元高官らに対する制裁を解除
■ バーレーンの刑務所で収監者が死亡したことを受け、政府の措置に対する抗議デモ
■ G7サミットでコロナワクチンが議題に。全世界でのワクチン確保に向けた共同計画へ
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―プライス米国務省報道官はワシントンでの記者会見で、「バイデン政権がイラン元高官らの制裁解除を決定したのは、(今回解除された制裁の)対象者の振る舞いや状況に変化があったためだ」「イランが代理勢力やテロ集団を支援することを阻止すべく、米は今後も可能な全てを手段を講じる」と述べた。また、「パートナー・同盟諸国との調整の下の外交が、イランの核開発計画を制限する上で最も有効且つ持続可能な手段であると考えているため、米は核合意をめぐるウィーン協議に参加している」と強調し、「イランの核兵器保有を阻止するため、パートナー・同盟諸国と協働する重要性」を確認した。
―ウリヤノフ露IAEA大使はツイッターで、「核合意当事国による今週末の会合を皮切りに、ウィーン協議の第6ラウンドが開始する」「これが最終ラウンドになるか否かは誰も分からないが、協議参加者の全員がそうなることを望んでいる」と述べた。
―米紙WPは、「露はイランに最新型の人工衛星を供与する準備を進めている。米および中東の高官の話によると、供与は数か月内に完了する可能性がある」「この衛星システムを使用することで、イランは中東全域と、更に遠い場所の軍事目標を追跡する上で前例のない能力を有することになる。また、湾岸地域の石油施設や、米軍が駐留するイラクの基地、イスラエルの軍事基地を継続的に監視することが可能となる」「供与が想定される衛星システムには高性能カメラが搭載されており、これによりイランの諜報能力が大幅に強化される可能性がある」「露の専門家らは、イラン北部アルボルズ州の州都キャラジャに新設された衛星運用施設の地上クルーの訓練を行うため同国を訪問した」と報じた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―トランプ米政権で国務長官を務めたポンペイオ氏は、イスラエルのイディオト・アハロノト紙の独占インタビューで、「UAEへの最新鋭ステルス戦闘機『F35』の売却取引は、UAE・イスラエルの国交正常化を含む『アブラハム合意』の成立に向け取られた最も重要な措置だ」「この取引は、UAEが安全保障上の展望においてパートナーになり得ると、米とイスラエルが信じていることを意味する」「イラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官の暗殺は、米の対イラン戦に関するコミットメントを確認したため、アブラハム合意と確実に結びついている」「サウジへの防衛システム供与、米大使館のエルサレム移転、イスラエルがヨルダン川西岸地区で行ってきた入植活動を国際法違反とはみなさない、トランプ政権によるこれらの決定により、各国の指導者は同政権の主張とその真剣さを理解することとなった」と述べた。また、「最近の対ガザ戦におけるバイデン政権のイスラエルへの支援は、トランプ氏が率いる政権が行っていたであろうそれとは勢いが違う」「バイデン氏はイスラエルを支援し、(イスラエルの自衛権を支持するなどして)『正しい言葉』を用いたが、同時に(UNRWAへの支援を再開して)パレスチナへの資金拠出を表明した」として、バイデン政権を辛辣に批判した。
―米ブルームバーグは、「バイデン政権はUAEに対し、通信システムから中国のファーウェイを遠ざけ、中東での影響力拡大を模索する中国から離れるために他の手段を講じるよう促した」「(米の要請に応じない場合には)UAEがF35や無人機を含む米との取引を失う危険性が高まる」「バイデン政権は、F35が引き渡される予定の4年後までにファーウェイ社の機器を撤去するよう求めた。これを受け、UAE側は『代替措置を講じるため、更に長期間が必要となる』と返答した」と伝えた。
―バーレーンの刑務所で収監者のフセイン・バラカート氏が医療的怠慢により死亡したとされることを受け、政府の措置に対する抗議デモが行われた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―パレスチナの政治諸組織がカイロで会合し、パレスチナとしての優先事項や、(諸派間の)協力の開始、和解の実現に向けた取り組み等について協議した。10日にはハマースとファタハ、ハマースとイスラム聖戦運動がそれぞれ会合を行った。イスラム聖戦運動は、「ナッハーラ書記長はハニーヤ・ハマース政治局長と会談し、団結と、真の協力に基づく体制の実現等について協議した」と述べた。また、ジャーゴーブ・ファタハ報道官は、「ファタハとハマースの両代表団がカイロで確認した」と確認。
―イスラエル警察が訪問を禁止する決定を下しているにもかかわらず、同国議会の極右議員イタマル・ベン・グヴィル氏がダマスカス門に到着し、アルアクサー・モスク周辺で緊張が高まった。イスラエル警察は、同議員に抵抗を試みたパレスチナ人10人を拘束。
訪問を強行したことについて、同議員は報道陣に、「議員であるが故に旧市街を歩くことが出来ないような事態は、ハマースへの降伏であり、テロの勝利だ。我々に帰属するエルサレム及び旧市街を諦めることはない」と述べた。
―グリーン・ライン内の「アラブ市民のための高等フォローアップ委員会」は、「シェイク・ジャッラーハ地区での入植・住民の強制退去を拒否する姿勢と、住民への連帯を示すため、12日午後に抗議集会を行う」と発表。
―ハマース軍事部門「カッサーム部隊」は声明で、「ハマース指導部は、エルサレムとアルアクサー・モスクにおける簒奪者とそのリーダーらによる挑発的・敵対的な試みを注視している」と述べ、同モスク侵害の帰結を警告したほか、「エルサレムを侵害・冒涜する行為に抵抗している人々」を賞賛した。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
ー国際航空運送協会(IATA)は10日、新型コロナウイルスのワクチン接種及び検査結果を証明するデジタル証明書(IATA電子パスポート)が、中東系の大手航空会社によって数週間以内に導入されると発表した。世界は新型コロナ流行の中でも国際旅客移動の活性化を図る必要があるが、これまでのところ、ワクチン接種の証明方法は国際的に統一されていない。そのような中、中東系巨大航空産業の間では、「IATA電子パスポート」への人気が高まっている。(アッシャルク・アルアウサト紙)
中東の新型コロナ動向
ーUAEの感染は拡大傾向?11日のUAEの新規感染者数は2,281人、死者数は3人であった。UAEはイスラエルに次ぐ「ワクチン接種先進国」として知られているが、新規感染者数の推移を示すグラフを見ると、1月末に約4000人を記録していたピークから5月18日には1270人となるまで、一貫して低下した。しかし、その後は漸増しここ1週間は2000人台を超えている。
<特記事項・気付きの点>
―特になし