アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
13日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ アルジェリアで民衆運動勃発後初の議会選が行われ、開票作業が始まる。大統領は「外国勢力が民主主義の確立を不快に思っているものの、我が国は正しい道を歩んでいる」と述べる
■ イラン核合意をめぐるウィーン協議再開。イラン外務次官は「今回の協議で合意に至るとは期待していない」と発言。EUは「合意された措置の実施方法をめぐり意見が対立」と明かす
■ タリバン、アフガニスタン国内の支配地域を拡大する中で、いかなる口実でも外国軍が残留することを拒否。アフガン国家安全保障会議は「タリバンが和平交渉を妨害している」と非難
■ エジプト、国連安保理宛ての書簡の中で「ルネッサンス・ダムの貯水に固執し既成事実を強要するエチオピアの政策」を拒絶。エチオピアは「アフリカの問題はアフリカで解決」の原則を固持
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イランとの核合意をめぐる第6回ウィーン協議が始まった。EU報道官は、「協議の1日目に進展が見られた」とした上で、「合意した措置の実施方法をめぐり意見の対立がある」と明らかにした。また、「各国の外務次官らはウィーンに残り協議を続けることで一致した。様々な政治的・技術的レベルの協議を集中的に行う」と述べた。一方、露の代表は「解決の詳細を決定するには恐らく更に2週間を要するだろう」との見通しを示した。中国代表は、「米の対イラン制裁解除こそが望まれる解決への主要なカギとなる」とし、「米は制裁解除の最終決定に向けて躊躇なく動き出すべきだ」と指摘した。
―アラグチ・イラン外務次官(交渉責任者)は、イランのメディアに対し「今回の協議で合意に至るとは期待していない」「イランは合意に至ることを急いでいないが、時間を無駄にはしない」と述べた。また、「協議はイラン国内のいかなる出来事とも、大統領選とも関係ない」と強調し、「イラン交渉団は、望むところを得られるまで協議を続ける。時間は制限されていないからだ」とした。これとは別に、同次官は、「米の制裁は『経済テロ』であり、コロナ禍でのそれは『人道に対する罪』だ」とツイートした。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―イエメンのムルタダー・ホウシー派捕虜委員会委員長は、「同派は、国内あるいは国際的な包括的捕虜交換取引に入る準備ができている。全当事者の幹部・指揮官を含むものだ」と発表し、「国連が捕虜問題に弱いことから、我々が提案するに至った」「国連は、捕虜交換取引の完了を妨害する勢力にいかなる圧力も行使していない」と指摘した。また、「サウジは捕虜交換取引を禁じており、イエメン政府にはサウジの命令を破る権限はない」と非難し、「ホウシー派は、地元の部族や名士らを仲介者として派遣し、取引手配のための2者会合を開く用意がある」と表明した。
―イエメンでは、生活状況の悪化と多数の公務員への給与の支払い停止により、子供が家計を助けるために労働を強いられている。ILOによると、イエメンでは戦争勃発前も、子供の34%超が労働に従事していた。地元の団体によると、その割合は現在倍増しており、約60%の子供が農業や漁業、市場での販売業のほか、鉄工所や自動車修理工場での重労働も行っている。より危険なのは、軍事行動に直接結びつく仕事に就くケースがあるということだ。イエメンの法律は15歳未満の子供の労働を禁じているが、こうした現状となっている。
○ エジプト情勢
―エチオピアによるルネッサンス・ダムの貯水の第2段階の開始期日が迫る中、エジプトは国連安保理に苦情を申し立てた。シュクリー外相は、「エチオピアが7月から8月の洪水期に同ダムの貯水を続ける意思を示し、ナイル川下流の2か国に既成事実を強要しようとしている」として、これに反対する内容の書簡を安保理議長に送った。
―マハディ・スーダン外相は、ハルツームでファキAU委員会委員長と会談し、ルネッサンス・ダムの貯水・稼働のルールに関する法的拘束力のある合意の必要性を改めて強調した。これに対し、ファキ氏は「AU委員会は、この解決困難な問題に突破口を見いだし、関係3か国の間の合意を実現できるよう、交渉を円滑化するための支援を提供する用意がある」と述べた。
―エチオピア副首相は、エストニアの外相に対し「エチオピアは、アフリカの問題のアフリカ内での解決という原則を忠実に守り、ルネッサンス・ダムの問題についても、AU主導による交渉プロセスを通じた平和的・友好的な解決に努める」と確認した。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―米国防総省の情報担当者が下院(軍事委員会)の公聴会で「米軍はまだアフガニスタンからの撤退を完了しておらず、米がISやアルカイダからの攻撃に晒された場合には、同国へ戻ることができる」と発言したことを受け、タリバンは「アフガン領内に残るいかなる外国軍も占領軍とみなされ、各国はその結末の責任を負うことになる」と反発し、「空港や外交使節の安全確保はアフガン国民が責任を持つことであり、いかなる口実でも外国軍が国内に残留することは拒否される」と強調した。
カブール特派員のレポート:トルコやアフガニスタンのメディアによると、トルコ軍がNATO軍やアフガン政府軍と話し、「外国軍の撤退後もトルコ軍が残留し、カブール空港や外国の外交使節団の安全を確保する」という提案について話し合っていたが、タリバン政治事務所のナイーム広報担当は上記のように発言し、この提案を拒否した。一方、アフガン国内の戦闘の現場では、タリバンが北部と西部で新たに2つの郡を制圧した。タリバンはこの2週間に、18の郡を制圧したことになる。
―アフガニスタン国家安全保障会議報道官は、「タリバンが和平交渉を妨害し、アフガニスタンに関する和平会議への参加を拒否している。またタリバンは、ドーハ合意への署名後も、正当な理由なしに戦闘を続けることに固執している」と非難した。
―カービー米国防総省報道官は11日、「アフガニスタン国内の暴力のレベルはまだ高い」とした上で、「米は今も、アフガン紛争終結のための最善の方法はアフガン人主導による交渉を通じた政治的解決だと信じている」と述べた。
○ マグレブ情勢
―アルジェリアで12日、前倒し議会選挙の投票が行われた。投票は1時間延長の後、締め切られ、開票作業が始まった。(解散となった前議会の任期は2022年5月までだったが、ブーテフリカ政権下の2017年5月に選出されたものだったため)議会に正統性を与えるために前倒しで実施されたもので、民衆運動が始まって以降、初めての選挙。
―シュルフィ・アルジェリア国家独立選挙管理局長は、「選挙は良い状況で行われた。一部で過ちが生じたが、公正さに影響を与えるものではない」とし、「これまでの選挙と比べて多くのリストが参加していることから選挙プロセスが複雑になっており、開票作業には長い時間がかかる。4日かかる可能性もある」との見通しを示した。
―アルジェリアでは直近2回の選挙で棄権率がかつてない高さとなったため、今回の議会選の投票率が注目されている。まだ発表されていないが、投票率は低いものと見られている。テブン大統領は、「投票率は関係ない。国民が投票したということが新議会に正統性を与える」「棄権する人々にも棄権に関する意見を述べる権利があるが、他人にそれを強要すべきではない」と述べた。また「我が国は、外国勢力からの攻撃を受ける中で、民主主義の正しい道を歩んでいる」と強調した。
―アルジェリアの(穏健派イスラム政党)「平和のための社会運動」は、大統領と国家独立選挙管理局に対し、「介入して選挙プロセスの中で指摘された違反行為を止めるよう」要請した。同運動は声明で、「一部の県の同管理局支部が候補者の代表者らに開票記録を渡すことを拒否した。また一部の県で、有権者がいずれの(候補者の)名前も線を引いて消していない投票用紙が計算されていない。どちらも選挙法に違反するものだ」と指摘した。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―11日、IEAは世界の石油需要が2022年末までに新型コロナ禍以前の水準に復帰すると予測、同時に、産油国にはその需要をまかなうだけの生産余力があるとした。IEAは、昨年世界の石油需要は日量約860万バレル低下したが、今年は約540万BD増加し、来年は更に約310万BDが加わると見ている。(アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
―サウジアラビア巡礼省は今年の大巡礼希望者の登録は、国民及び国内在住者6万人に限る(外国からの巡礼を認めない)ことを決定したと発表した。その理由として、世界的なパンデミックが続いており、変異種が見つかっていることを挙げている。巡礼者は、18-65歳で持病がなく、ワクチン接種を済ませた者でなくてはならない。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし