アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
14日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ イスラエル議会、ベネット氏率いる新内閣を信任。米大統領は同内閣との協働を表明。ベネット氏は「イラン核合意に立ち向かい、入植活動を広く支持する」と約束
■ ルネッサンスダム問題をめぐってAU委員長がスーダンで協議する中、エチオピアは「洪水期にダム貯水を行う機会を逃せば、大きな損失を被る」と表明。エジプトは「エチオピアが交渉を意図的に遅らせている」と非難
■G7首脳ら、会議閉幕の際に「イランとの核合意のプロセス再開を支持する」「真剣な対中措置を講じる」と宣言
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―ウィーンで核合意をめぐる協議の第6ラウンドが継続。アラグチ・イラン外務次官(交渉責任者)は、協議の合間にウリヤノフ露IAEA大使と会談した。この会合で、両国代表団が懸案事項や次段階の詳細を話し合った。ウリヤノフ氏は、「核合意に関する協議では進展が実現したが、期待されたほどではなかった」と述べた。アラグチ氏は、「今回のラウンドで合意が成立するとは考えていない」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―シュクリー・エジプト外相は、「エチオピアにはルネッサンスダムに関してエジプト・スーダンとの合意に署名する真の政治的意欲がない」「エチオピアは交渉を遅らせている」と非難した。ハムドゥーク・スーダン首相はファキAU委員長との会談で、「ダムの貯水と稼働に関して法的拘束力のある合意を成立させる必要がある」との同国の姿勢を新たに表明。一方、エチオピアは、「青ナイル川の洪水期にダムを貯水する機会を逃すわけには行かない。その場合、限りない損失を被るからだ」と主張した。
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル議会は13日、賛成60、反対59、棄権1のわずか1票差で新内閣を信任した。新内閣では、極右政党「ヤミナ」のベネット党首と中道政党「イェシュアティド」のラピド党首が交代で首相を務める予定。最初に首相を務めるベネット氏は、ネタニヤフ氏の後任として就任宣誓を行った。テルアビブでは、中心部のラビン広場に数千人が集まり、12年連続で権力の座に就いていたネタニヤフ氏の退陣を祝った。
―ベネット氏は信任投票前の議会での演説で、「新政府はイスラエルにとって最大の脅威であるイランの核開発に立ち向かうことから業務を開始する」「C地区を中心として、あらゆる地域で入植活動を強化する」と表明した。
―ホワイトハウスの発表によると、バイデン米大統領は、ベネット・イスラエル新首相に電話連絡を行った。その中で両者は、地域の安全保障に関するイラン等の全ての課題について、それぞれのチームと共に密に連絡を取ることで合意した。バイデン大統領は、「米政府はイスラエルとパレスチナの和平推進と安全・繁栄実現の努力の一環として、イスラエル政府と緊密な形で取り組みを行う」「両国の関係を常に支え、イスラエルの安全保障に揺るぎなくコミットする」と述べたという。
―バルフーム・ハマース広報担当は、「イスラエル政府は抵抗すべき占領・入植の主体であり、その形態によってハマースの対応の仕方が変わることはない」「イスラエルでの選挙の繰り返しとその結果は、同国での絶え間ない軍事・治安上の危機と並んで政治危機も深刻であるという証拠だ」と声明した。また、「ハマースは『パレスチナの血と聖地はレッドライン』という状況を確立していく」「新政府の実際の行動がハマースの対応の性質と流れを決める」と強調した。
―ハマースは、15日に入植者らに「旗の行進」を行わせないため、エルサレムの旧市街、アルアクサー・モスクに一斉に出向いて守るようエルサレムの住民に呼びかけた。
―イスラエルの新連立政権に参加した「アラブ統一リスト」のイブラーヒーム・ヒジャージー事務局長:イスラエル(グリーンライン内)の「イスラム運動」とその政治部門である「アラブ統一リスト」は、選挙以前から「イスラエル国家のアラブ系市民に対する差別主義的政策を変える」と何度も宣言している。イスラエルの世論は思想・イデオロギー面でも宗教面でも深く分裂しており、このためイスラエル政府はアラブ人の票を必要とするようになった。我々が連立政権に入ったことは、この政権の存在が我々の票に縛られるということを意味する。我々の票がなければ、ベネット氏は首相になれなかったし、ラピド氏も同様だ。彼らは我々の票を必要としており、その対価を払うことになる。票を投じるのは一度ではない。差別主義的政策を続けた際は、いつでも政府を倒すことができる。我々の票は時間的な広がりを持った政治的な力となるのだ。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―アルジェリアで12日、民衆運動開始以降初の(前倒しの)議会選挙が行われ、その開票結果が待たれている。新選挙法のシステムが複雑なため、選管による開票作業にはある程度時間がかかることが見込まれている。開票作業は2段階に分かれ、第1段階では勝利した(4%の足切りを超えた)選挙リストが特定され、次にリスト内の各候補者についての票集計に移行する。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―「ガザ戦争」で国際的な同情が集まる中、イスラエルとの「正常化」を進めているUAEに対する「アラブメディア」の反発が目立つ。アルクドゥス・アルアラビー紙は社説で、「アブドラ外相が米ユダヤ人委員会のウェブサイトのインタビューに答えてハマスをテロ組織とみなさない国があることを嘲笑した、アラブ・イスラムの国のリーダーの心はどこにあるのか?」「正常化には、親愛の念、寛容の心を通わせることが必要になるが、相手が悪意ある占領者の場合、(パレスチナの)正当な防衛、文化的・宗教的なアイデンティティをもテロと捉えてしまうことになる」等と攻撃している。
中東の新型コロナ動向
―イスラエルの13日発表の新規感染者数は5人、死者は2人だった。ワクチン普及後、順調に改善した感染状況に反転の兆候を見ることはできない。1月中旬に8万3千人を超えていた患者数(アクティブ・ケース)も13日現在で213人と大幅な改善である(うち重症者数は31人)。
<特記事項・気付きの点>
―特になし