アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
15日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ イスラエル新政府、エルサレムで15日に極右勢力が「旗の行進」を実施することを発足初日に承認。イスラエル軍は、ガザ地区からのロケット弾発射を恐れて「アイアンドーム」の配備を強化。パレスチナ諸派は警告
■ エジプト外相、「ルネッサンス・ダム問題の外交的解決に向け尽力」と語る。スーダンは、条件付きで暫定合意を受け入れる用意。エチオピアは「同ダムの貯水第2段階は安全な形で行われる」と強調
■ エジプト破棄院、ムスリム同胞団幹部を含む被告12人に対する死刑判決を支持。アムネスティは「恥ずべき集団裁判の末に下された決定だ」と批判
■ 米大統領、NATO首脳会議の閉幕にあたり、「トルコ大統領と建設的な会談をした」「露大統領に対し、越えてはならない一線を設定する」と述べる
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラン核合意をめぐるウィーン協議の参加諸国代表は、イラン抜きで米代表団と会合した。イランは米との直接協議を拒否している。また、ウィーン協議の傍らで、米露両国代表団が会合し、ウリヤノフ在ウィーン国際機関露常駐代表は「実りある会合だった」と評した。欧州外交筋によると、ウィーン協議では、様々なレベルでの非公式の集中協議が続いている。
―レバノン・ポンドが対ドルで最安値を更新し、並行市場で1ドル=15,300ポンドを記録した。これにより、レバノン・ポンドは、2019年半ばに金融危機が起きて以降、90%下落したこととなる。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―シュクリー外相は、ドーハでムハンマド・カタール外相と会談し、両国間関係について協議した。またシュクリー氏は、アルジャジーラのインタビューに応じ、ドーハでルネッサンス・ダム問題を協議するアラブ外相会議が開かれることについて、「同会議は、エジプト・スーダン側の正当性を支持するアラブの政治的立場を強く表明し、エチオピアにメッセージを送るものとなる。同ダムをめぐるAU主導の交渉が行き詰まったため、アラブ外相会議を開く必要が生じた。この問題はエジプトの国家安全保障に関わるものだからだ。この問題に対処するために、あらゆる選択肢が検討されている」と語った。また同氏は、「エジプトは、同ダムをめぐる問題の外交的解決に尽力している。エジプトとスーダンには、自国の利益を守るために必要な力がある」と述べた。
―アッバース・スーダン灌漑相は、「スーダンは、ルネッサンス・ダムの貯水第2段階により第1に損害を被る国となるだろう」とした上で、「スーダンは、『これまでの合意事項への署名』と『期限を設定した上での交渉継続の保証』を条件に、同ダムの稼働前に貯水に関する部分的暫定合意を受け入れる」述べた。
―エチオピア国家情報安全保障局長は、「ルネッサンス・ダムの貯水第2段階は、円滑かつ安全に行われるだろう」と述べた。エチオピアは、予定通りに7月から貯水の第2段階を進めると強調している。
―アディスアベバで、エジプト・スーダン・エチオピアの3か国を含むナイル川東部流域諸国閣僚(水・灌漑相)会議が開かれる。スーダン国営通信は、ルネッサンス・ダム・プロジェクトに触れることなく、「会議では、技術専門家の報告や実施が提案されているプロジェクトについて話し合う」と報じた。スーダンが同会議の議長を務める。
―エジプト破棄院は、ラービア・アダウィーヤ広場での座り込み強制排除事件で、ムスリム同胞団の幹部ら被告12人に下された死刑判決を支持した。他の被告31人については死刑から終身刑に減刑した。アムネスティ・インターナショナルは、この判決を「恥ずべき集団裁判に基づく無慈悲な判決」と評し、「エジプトの評判を悪化させ、その司法制度に暗い影を落とすものだ」と批判した。
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル新政府は、エルサレムでの極右勢力による「旗の行進」を15日に実施することを承認した。同市ダマスカス門地区で参加者らがイスラエル国旗を掲げて行進することになり、更なる緊張が生じる懸念がある。イスラエル当局は、パレスチナ人に対して同門を閉鎖する。一方、イスラム聖戦などパレスチナ諸派は、「この行為に対峙し入植者らの計画を阻止するための総動員」を呼びかけた。
エルサレム特派員のレポート:就任したばかりの国内治安相が入植者らによる「旗の行進」の実施を承認したと発表したことで、緊張が高まっている。行進のルートは一部変更され、警察によると、ダマスカス門から旧市街に入ることは認められていない。しかし実際に多数の参加者らが旧市街に入ることを禁じられるのかどうかは不明だ。パレスチナ諸派がアルアクサー・モスクへの総動員を呼びかけていることから、イスラエル警察は行進の安全確保のために警官2,500人超を動員した。またイスラエル軍は、ガザ地区からのロケット弾発射に備えて「アイアンドーム」の配備を強化した。
―米国務省は、ツイッターを通じて、「旗の行進」が予定される15日に米政府職員とその家族がエルサレムの旧市街に入ることを禁じた。「旗の行進」に加え、これに対抗するデモが呼びかけられているため。また同省は、米国民に「警戒し、注意を払うよう」強く促した。
―ハック国連事務総長副報道官は、「旗の行進」の実施に関するコメントで、「国連はすべての当事者に対し、挑発行為を控えるべきであり、一方的な措置を取るべきではないと明確にしてきた」とし、「自制と現在の停戦の強化」を呼びかけた。また「現在の停戦は脆弱であり、国連はできる限りその強化に努めている」と述べた。
―ネタニヤフ前イスラエル首相は、右派野党指導者として「我々は議会に52あるいは53議席を有するかつてない非常に強力な野党勢力となっている」とし、「危険な左派政権である新政府をできる限り速やかに退陣させる」と誓った。
―シュタイエ・パレスチナ首相は、「イスラエル新政府を、以前の政府よりも悪くないものとみなすことはできない。ベネット新首相が入植、特にC地区での入植への支持を表明したことを非難する。パレスチナ人民はこれを阻み続ける」と述べた。
―パレスチナに対するイスラエルの(侵害)行為を調査する国連調査委員会は、パレスチナでの人権(侵害)状況に懸念を示した。同委は、先のイスラエル軍によるガザ地区攻撃で38の医療施設が被害を受けたことと、ガザ・西岸両地区と東エルサレムのパレスチナ人難民が同攻撃から受けた影響に懸念を表明し、西岸地区での入植拡大とパレスチナ人の住宅取り壊しの継続を批判した。また、東エルサレムのパレスチナ人地区からの住民立ち退きのリスクを警告した。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―バイデン米大統領は、ブリュッセルで開かれたNATO首脳会議の後、「(同会議の傍らで)エルドアン大統領と建設的な実りある会談ができた」「両国が様々な協力分野において進展を成し遂げるものと確信している」と述べた。
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―イスラエルの新内閣には過去最多の9人の女性閣僚が含まれているが、そのうちの5人はアラブ諸国からの移民の家庭出身だ。シャキド内相:イラクで会計士をしていた父の子。ビトン教育相:イラクで運送会社を経営していた父とモロッコ出身の母の子。バルビフィア経済相は自身、イスラエル初の女性少将。イラク出身の母とルーマニアから移民した父の子。コーヘン社会平等相とアルハラール・エネルギー相の親はともにモロッコ出身。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
中東の新型コロナ動向
―サウジアラビアは、イベントや公共・民間施設への入場をワクチン接種済の者に限るという決定を、8月1日より実施する予定。当局者が明らかにした。保健省報道官によれば、現在約1450万人が少なくとも1回のワクチン接種を受けており、この数字を拡大することが当面の最大目標である由。ワクチンは安全であり、接種者は献血をすることも可能であると強調した。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし