アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
21日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ イラン核開発をめぐり、同国と欧州は合意成立が近いと楽観視。米は「主要な課題は未解決」と指摘。イスラエルは「核合意への復帰という選択肢」への反対を続ける
■ リビア政府、「西部と東部を繋ぐ沿岸道路を一時的に再開」と発表。ハフタル派部隊は反発、これを発表する権限を持つのは合同軍事委員会のみと主張
■ スーダン、法令を発して青ナイル州と南コルドファン州に自治権を付与。ジュバで締結した和平合意を履行
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イランとの核合意の再生を目指すウィーンでの協議の第6ラウンドが終了。イラン・欧州・露の代表らは、「合意成立は近い」と楽観的な姿勢を示した。アラグチイラン外務次官(交渉責任者)は、「当事諸国が最終決定を下す時が来た」「今回のステップで各国代表団はかつてなく共通の理解の実現に近づいた」「主要な課題の一部が解決し、残りの対立事項の輪郭が全員に明確となった」と述べた。
―ウィーンでの核合意をめぐる協議のEU代表を務める欧州対外活動庁のモラ事務局次長は、「今回のラウンドで協議は進展した」「関係諸国は合意に近づいたが、まだ到達してはいない」と述べた。
―サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)はABCニュースのインタビューで、「制裁やイランが約束すべき核関連のコミットメント等、同国の核開発計画に関連する主な課題の解決には、未だ長い道のりがある」と述べた。
―ベネット・イスラエル新首相は初の閣議で、「ライシ師がイランの大統領に選ばれたことは、『目を覚まして核合意を回避しなければならない』という世界に対する呼びかけを意味する」「イスラエル政府の姿勢は不変。イランとの核合意への復帰に反対する」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―ベネット・イスラエル首相は、2014年にイスラエルがガザを攻撃した際のイスラエル人の死者の追悼行事で、ハマースに警告メッセージを発し、「イスラエルの忍耐は尽きた。ガザ地区側は『イスラエルの街に対するあらゆる攻撃に反撃する』というイスラエルのこれまでとは異なる考え方に慣れる必要がある」「ガザでの捕虜の帰還に決然と取り組むと家族らに約束した」と述べた。
―ガンツ・イスラエル国防相は、「イスラエルが最新のガザ地区への軍事作戦で得た軍事的成果を利用することが望ましい」「イスラエルは長期的な停戦を成立させて捕虜を取り戻すことを目指す」と述べた。
―ハマースのガザ地区指導者のシヌワール氏は、「抵抗勢力の戦果により、パレスチナ人民の勝利と解放、アルアクサー・モスクでの礼拝の日は近づいた」「ガザ地区の住民こそが、過去数年にわたって忍耐を発揮することで勝利を生み出した」と述べた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―ホワイトハウスは、「バイデン大統領は25日にアフガニスタンのガニ大統領とアブドラ国家和解高等評議会議長を迎える」「米はアフガニスタンが再びテロ集団の安全な隠れ家になることのないよう同国政府との緊密な協力を続ける」「米は同国で現在進められている和平プロセスを引き続き全面的に支援し、アフガンの全勢力に紛争終結に向けた交渉への有意義な参加を促す」と声明した。
―トルコで開かれた「アンタルヤ外交フォーラム」の傍らで、同国とイラン、アフガニスタンの各外相が会合した。トルコ外交筋によると、3か国の外相はアフガン和平の流れと米軍撤退後の同国でのイランとトルコの役割をめぐって協議した。
―タリバン政治局長のバラダル師は、「アフガニスタンでは、全ての外国部隊の撤収が行われている。このため、アフガン人は国民の安全と福祉を実現する制度の設立に取り組まなければならない」「外国人の外交官や諸機関の職員らがタリバンからの脅威に晒されることは一切ないと国際社会に保証する」と声明。また、国の運命をアフガン国民自身が決めるよう呼びかけることを国際社会に求めた。同師は米とタリバンの間で結ばれたドーハ合意について 、「アフガン紛争解決の新たな機会を作り出した。これはアフガニスタンの安定のための唯一の機会だ」と評価した。
―伊紙「ラ・レプッブリカ」のマルコ・アンサルド記者は、「トルコはアフガニスタンとの歴史的な外交関係を利用して、同国で米の代わりになりたがっている」「トルコの計画は12項目からなり、ハーミド・カルザイ国際空港の警備等を目的として、米軍撤収直後にトルコ軍をカブールの広範囲に再展開することを見込んでいる。この計画はNATOと米の支持を受けている」と分析した。
○ マグレブ情勢
―リビア挙国一致内閣のドベイバ首相は、2年前から閉鎖されていた東部と西部を繋ぐ(ミスラータ・シルト間の)沿岸道路を開通させた。一方、ハフタル元少将に属するシルト西部作戦室のサーレム司令官は、「ドベイバ首相による沿岸道路開通の発表は一方的な措置だ」「沿岸道路開通を発表する権限を有しているのは、合同軍事委員会のみだ」と主張した。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―スーダン移行統治評議会のブルハーン議長は、昨年10月に南スーダンの首都ジュバで締結した(反政府勢力との)和平合意に従い、青ナイル州と南コルドファン州に自治権を付与する憲法上の法令を発した。
エリコの目
―UAEの反体制活動家の中でも有名なひとりである女性アーラー・サディークさんが亡命先の英国で「交通事故により」死亡した。事故の詳細は伝えられておらず、その真相を問う声が上がっている。サディークさんは、父親のムハンマド・サディーク氏が2012年に逮捕されて以来UAE当局から国籍をはく奪されており、人権擁護を訴えていた。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
中東の新型コロナ動向
―カタールの感染状況が落ち着きを見せている。直近1週間(13-19日)の新規死者数は0~2人で推移し、平均値は0.86人だった。現在感染中の人数を示す値である「アクティヴ・ケース」は19日、2,013人にまで下がった。(2か月前、4月20日のピーク時には、22,592人を記録していた。)
<特記事項・気付きの点>
―特になし