アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
22日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ ライシ・イラン新大統領、「イランの将来は核合意と結びついているわけではない」「最優先事項は近隣諸国との関係改善だ」と述べる。米は「核合意をめぐるウィーンでの協議を進めている」と表明
■ ハマースのガザ地区指導者、国連代表団との会談を「悪いものだった」と評し、「ハマースはガザ地区で危機が続くことを容認できない」と述べる。パレスチナ大統領は抵抗諸派に対話への復帰と分裂状態の終結を求める
■ エチオピアで議会選挙の投票が終了。治安状況を理由にティグレ・ソマリ両州での投票は実施されず
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―ライシ・イラン大統領は大統領選挙後、初の記者会見を開き、「世界は、我々の外交政策が核合意に限定されるものではないと認識すべきだ。我々はあらゆる国々と全般的にバランスよく接してゆく」「イランの国益を支援するあらゆる交渉を支持し、弱体化させるものは受け入れない」「米は核合意に違反し、欧州諸国は(米の)圧力に屈して核合意を履行しなかった。米は核合意に復帰してこれを履行し、すべての対イラン制裁を解除すべきだ」と述べた。また、「世界の全ての国々、特に近隣諸国との関係強化に取り組む。近隣諸国は我々の優先事項の1つだ。サウジとの外交関係の再開、サウジを含む地域諸国との関係強化に関して我々に異存はない」と述べ、「サウジにイラン大使館を開設することに問題はない」とした。
―サキ米大統領府報道官は、「イラン核合意をめぐるウィーンでの協議の第7ラウンドの日程はまだ決定されていない」「(イランの)決定者は変わらず、最高指導者であると米は見なしている。従って、外交交渉(ウィーンでの協議)は米の利益と安全保障に資するため、これを前進させるべく取り組み続ける」と述べた。
―ボレルEU上級代表はEU外相会合の終わりに、「イランの新大統領が核合意をめぐるウィーンでの協議に関して、異なる立場を取ると見なすいかなる理由もない」「(会合では)イランの新大統領の選出とウィーでの協議について話し合った」と述べた。また、これより前に「ウィーンで合意に至ることは依然として難しい」「イランでの新大統領の選出が、ウィーンでの協議の進行に影響しないことを望む」と述べていた。
―サウジ外務省はツイッターで、「ファイサル・サウジ外相はウィーンでグロッシIAEA事務局長と、イランの核施設の迅速且つ包括的な査察に必要な仕組みについて協議した」「両者はまた、地域及び世界の安定を揺るがすイランによる法・国際規範に反する行為やその政策を阻止することについても協議した」と明らかにした。
―イラクの「抵抗諸派」と名乗る武装勢力諸派に近いメディアによると、爆発物を搭載した無人機によって米軍が駐留するビクトリア基地として知られるバグダッド国際空港の軍事区域が攻撃された。無人機の数や被害状況は伝えられていない。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―イエメンの「南部移行評議会」(UAEが支援)のカシーリー広報担当は、「同評議会代表団はリヤドで、正統政府がアデンに戻ること、また、その保護に必要な仕組みを作ることで同政府と合意した」と述べ、「リヤド合意の当事者の一方がこれを拒否した」との情報を否定し、「合意履行を完遂する仕組みで合意すべく、取り組んでいる」と述べた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―ハマースのシヌワール・ガザ地区指導者は、「(ベネスランド国連中東和平担当特別調整官と)国連代表団との会談は悪いもので、全く前向きではなかった」「国連代表者らに『ハマースはガザ地区で人道危機が続くことを容認できない』と伝えた」「占領者(イスラエル)は抵抗勢力やパレスチナ人民を威嚇しようとしている。これは拒否されるべきことだ」と述べた。また、「国連代表団に、ガザ地区のパレスチナ諸派の指導者らと会談し、我々の次の措置を決めると伝えた。イスラエルは我々人民のメッセージを理解していないようで、改めて圧力をかけ、我々人民の権利を認めさせるために、明確な形で抵抗する必要がある」と述べた。
―アッバース・パレスチナ大統領はファタハ革命評議会の会合の冒頭、ファタハ、ハマース、PLO、イスラム聖戦運動に、「パレスチナ人民とパレスチナ問題が直面している課題や危険に立ち向かうために分裂状態を終わらせ、あらゆるレベルで国民パートナーシップを構築すべく、いつでも直ちに真剣な対話に立ち戻るよう」呼びかけた。また、「パレスチナ指導部は、ガザ地区再建のためにエジプト、ヨルダン、カタール、またその他の国際社会とも連絡を取っている」と述べ、「再建のために、パレスチナ領内のあらゆる場所における(イスラエルによる)敵対行為の完全且つ全面的な停止」を求めた。
―ガンツ・イスラエル国防相は自身が主導する政党連合「青と白」の議会議員との会合において、「ガザ地区(の再建)に関して、穏健派でパレスチナの代表であるパレスチナ政府(PA)との協力を進めるためにあらゆることを行うつもりだ。これはエジプトの大きな支援よって行われるだろう」「『息子たち(イスラエル人の捕虜)』が戻ることなく、また、治安の安定無くして同地区において経済の立て直しをする余地はない」と述べた。
―イスラエル軍は東エルサレムのシェイク・ジャッラーハ地区で、立ち退きに脅かされている家々の家主とその支援者を弾圧し、赤新月社によるとパレスチナ人20人が負傷した。家主らは「ある家族の家を占拠して住んでいる入植者らが敵対行為を働き、石を投げつけて挑発し、小競り合いとなった」と述べた。また、入植者らは別の家族の家に火炎瓶を投げつけ、屋根の一部で火災が発生。パレスチナ人の若者たちや消防車によって消火された。軍はパレスチナ人の家族らを弾圧し、支援者の若者らを解散させるために音響弾を使用して、同地区から強制退去させた。
―ハニーヤ・ハマース政治局長はモーリタニアを訪問中、「ガズワニ大統領を始めとする同国の政府高官らと、『エルサレムの剣』の戦い後のパレスチナ問題をめぐる情勢やパレスチナの内部和解に向けた取り組み等について協議した」と述べた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―リビア政府とハフタル派の代表から成る「5+5合同軍事委員会」の会合が国連リビア支援団の立ち合いの下、シルトで開かれ、東部と西部を結ぶ沿岸道路の開放の仕組みと治安措置について協議した。ハフタル派のメンバーであるスーサーア氏は、「同委員会は沿岸道路の開放を、(道路の)補修が必要であるとして延期すると決定した」と述べた。21日にハフタル派は「沿岸道路の開放は一方的な措置だ」として拒否し、「決定を下せるのは、同委員会のみだ」と述べていた。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―エチオピアで議会選挙の投票が3時間延長された後に終了。治安上の理由でティグレ・ソマリ両州では投票は実施されなかった。46の政党から8千人以上が立候補している。
エリコの目
―トルコ軍事産業の成功が世界を驚かせている。ウオールストリート・ジャーナル紙は「トルコ製の安価なドローンが世界戦略を変える」と報じたように、今後10年の間に、世界の半分の国は「Made in Turkey」の兵器に頼るようになるのではないか。トルコが兵器開発に成功している背景には、(巨額の軍事予算で兵器を買うだけのアラブ諸国とは異なり)欧米の政策に左右されることのないよう、兵器自給を強化する政策をとってきたことが挙げられる。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
中東の新型コロナ動向
―イスラエルの20日の現在感染者数は378人と、「ほぼ制圧」と呼べるほどに数値が改善し、マスク着用義務も廃止された。しかし、学生・生徒を中心にインド型等の変異ウイルス流行の兆しがあり、主に帰国者から感染したとされている。そこで政府は①空港における検査拠点の増加、②帰国者の自宅待機強化、③ロシア、インド等ブラックリスト国への渡航禁止(許可制)を決定した。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし