アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
1日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ スーダン首都や他都市で、「政府打倒、革命の目的実現」を求めるデモ。当局は実力で対処
■ EU、イラン核合意をめぐる交渉が「失敗する恐れ」と警告。国連、米に制裁解除を呼びかけ。イランは「保証」を求める
■ アフガンの国家和解評議会トップ、「首都に戦争が迫った」と警告し、カタールと国連に「政治プロセス推進のための新たな仲介」を呼びかけ
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラン核合意に関する安保理決議2231号について協議する安保理会合で、EUのスクーグ国連大使は「核合意再建を目指すウィーン協議は、最近の楽観にも拘わらず、失敗するとの懸念がある」と指摘。一方、ディカルロ国連政治・平和構築担当事務次長は、米に「対イラン制裁解除、イランとの原油取引に関する(制裁)免除の延長」を改めて呼びかけた。
―イランのラバンチ国連大使は(上記)安保理会合で、「核合意に署名した米と他の国々は、合意を完全履行することで、合意の維持に真剣だと証明する時だ」と述べた。また「イランがこの間とってきた手続き(核合意の履行停止)は、米のとった行動への対抗措置だ。核合意が完全履行され、米が制裁を解除すれば、撤回が可能だ」と改めて語った。
―バエジ・イラン大統領首席補佐官は、「米が核合意から再離脱しないことをどう保証するかや、制裁の実質的な解除を確認することが、ウィーンの交渉での最大の懸案だ」「イランには(米の合意再離脱を防ぐ)保証を他の当事者に求める権利がある」と述べた。
―米ブルームバーグは、「ウィーンで交渉する核合意当事国の担当者たちは、協議再開の更なる遅れ、交渉頓挫に直面している」と報道。外交官4人の話として、「各国の交渉担当者は、今週予定していた会合を行わない。交渉の第7ラウンドの予定も立っていない」とした。また、情報源2人の話をもとに「IAEA査察官の間に緊張が広がっている。イランとIAEAの間で暫定的な核査察受け入れ合意を延長する取り組みは、失敗する可能性の方が高くなっている。それは核合意の協議を困難にするだろう」と指摘。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―イエメンのビン・ムバーラク外相は、独外相との共同会見で、「正統政府はホウシー派をイエメンの均衡における主要な当事者と認めている。これは戦争が始まって以来の立場だ」と述べた。また「イエメン危機は、新たな国際的アプローチ、説得から圧力の段階への移行が必要だ」「政府がマアリブ県を失えば、多数の避難民が悲惨な影響を被る」とし、ホウシー派に停戦を受け入れさせるための圧力行使の継続を呼びかけた。
―ホウシー派「情報省」のアーミル次官は、アルジャジーラに、「イエメン封鎖に伴う人道状況への対処を、危機の他の部分への対応より先に行うべきだ」と語った。
―ホウシー派による6月29日のマアリブ県に対するミサイル攻撃で、子供を含む民間人3人が死亡し、10人が負傷した。これにより6月のホウシー派のマアリブ砲撃による犠牲者は、死者34人、負傷者40人となった。
―米国務省は、「ホウシー派の対マアリブ攻撃は、人道状況を深刻化させている」「子供たちを殺害したホウシー派の(上記)攻撃は、民間人が直面する脅威を表している」「ホウシー派は直ちにイエメン全土の停戦と政治協議を受け入れるべだ」と声明。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル軍がエルサレムのシルワーン(アルアクサー・モスクの南に位置)で6月29日にパレスチナ人の商店や家屋を取り壊したのを受け、米国務省は「緊張を高め『2国家解決』を損なう一方的な措置を避けるよう、パレスチナ人とイスラエル人の双方に求める。それには、建物の取り壊しや無許可の入植地建設も含まれる」と声明。
―ラピド・イスラエル外相は、「エルサレムの緊張が地域全体を危険に晒すことは否定できない」と認めた。その上で、「誰もエルサレムでのデモを望んでいない。エルサレムができる限り穏やかな町であることを保証するのが、皆の利益だ」と述べた。
―イスラエル外相は、UAEの在アブダビ大使館開設式に続き、在ドバイ領事館の開設式に出席。「これと同じ事がスーダンでも実現するのを見たい。それにより正常化が完了し、前に進むことができる」と述べた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタンのタリバンは、北部バラフ州カルダール郡中心部を制圧したと発表。駐留独軍がバラフ州内の基地から撤収を完了し、アフガン政府軍に引き渡した直後だった。一方、伊軍は西部ヘラート州から撤退し、基地とヘラート空港の警備をアフガン政府軍に引き継いだ。一方、アブドラ国家和解高等評議会議長は「首都(カブール)に戦争が迫っている」と警告。「国連とカタールは、政治プロセスで仲介者として重要な役割を果たすことができる」と呼びかけた。
―ラムズフェルド元米国防長官が死去した。2度目の長官在任時(2001-06年)に9.11攻撃(01年の米同時多発テロ)が発生。アフガン戦争と、続く03年のイラク侵攻を指揮した。
○ マグレブ情勢
―テブン・アルジェリア大統領は、アイマン・ベン・アブドルラフマン財務相(60歳)を新首相に指名し、組閣を委任した。先月12日実施の議会選挙(与党・民族解放戦線=FLNが第1党を維持)の結果発表を受けて、ジャラード前首相は1週間前に辞任していた。新首相は中銀総裁などを歴任したテクノクラート。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―スーダンのハルツームや他都市で、「ハムドゥーク内閣を打倒し、革命の道筋を正し、その目的を実現する」よう求めるデモが行われた。参加者は政府の政策を非難しつつ、「平和的に運動を行う」「(旧バシール政権を打倒した)抗議行動に参加して犠牲となった人々のための公正、同害報復を要求する」と訴えた。警察は、大統領府に向かったデモ隊を催涙ガスで排除した。
―スーダン警察は、オムドゥルマンでも、経済・暮らしの悪化に抗議するデモの参加者に対して催涙弾を使用。旧政権期を思わせる強硬な対処をした。また当局は、ハルツームで取材中のアルジャジーラ記者を理由を示さずに拘束・連行したが、その後解放。
エリコの目
―イランが所有し、近隣諸国の親イラン武装勢力に供給している通常兵器の問題に関する将来的な交渉の可能性をも無視して核合意が再開されることにイスラエルは絶対反対。米国はバイデン政権になってから2回目の空爆を実施し、イランは依然、米国による制裁解除が核合意交渉の前提条件との立場を崩さず。このような状況下、ウィーンの核合意交渉をまとめる秘策が米国にあるだろうか?(アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
―アブダビ首長国では、8月20日より事実上ワクチン未接種者は「公共の場 所」への出入りができなくなる。学校、モール、飲食店、モール外の一般商店等がその対象で、新型コロナワクチン接種済であることをスマホで証明して入場する。当面、スーパーや薬局等の生活必需品調達先はこの規制から除外される。アブダビでは、要接種者の93%が既に接種を済ませている。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし