アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
4日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ イスラエルのメディア、「イスラエル人実業家の所有する貨物船がインド洋で無人機による攻撃を受けた」と報道。イスラエル治安筋はイランの攻撃だと主張
■ スーダン、「国連安保理がルネッサンス・ダムに関する会合の開催を決定」と発表。エジプトは「安保理が全当事者に交渉を促すことを待っている」「衝突の回避を望む」と述べる
■ リビアでの選挙実施に関する合意が成立しなかったことを受け、ドベイバ首相は「政府は戦争の再発を容認しない」と確認。米司法当局は「ハフタル氏は免責対象ではない」とする
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イスラエルのメディアによると、イスラエル人実業家が所有する貨物船が3日朝、サウジアラビア・ジッダからUAEに向かっている途中にインド洋北部で攻撃された。イスラエル紙ハアレツは、「攻撃には無人機が使われ、船の損傷は軽微」「貨物船はイスラエル国旗を掲揚しておらず、イスラエル人の乗組員もいなかった」と報じた。イスラエル治安筋は、「イランが攻撃の裏にいる」と主張。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―ルネッサンス・ダム問題をめぐり、シュクリー・エジプト外相は、「エジプトは安全保障の維持における努力を惜しまない。全ての手段が可能だ」「エジプトには自国の水の利益を守る決意と能力がある」「全当事者に交渉の再開を促す、国連安保理の更なる努力を期待する」「安保理内で利益をめぐる相違があり、一部のメンバーは水問題について議論することを躊躇している」と述べた。
また、エジプトが安保理にダム問題について協議する会合の開催を要請したことに対する(7月の安保理議長国である)仏の国連大使のコメント(『ダムの問題はエチオピア・エジプト・スーダンの間の問題であり、3か国間の協議を再開させるべきだ』等)について、「大使のコメントは、エジプトの仏との完全な調整を考慮していない」「エチオピアは計画通りにダムの建設を進めていない。エジプトは、ダムの貯水の第2段階を完了することは出来ないと考えている」と述べた。
―上記に先立ち、スーダンは自国のルネッサンス・ダム問題をめぐる会合の開催要請に安保理議長が応じ、8日を開催日に定めたことを歓迎した。スーダン交渉団の報道官は、「スーダンは、ダム問題をめぐるAU主催の交渉を堅持する。また、交渉の活性化に向けた国際カルテット(国連・EU・米・AU)に(仲介の)役割を任せる『客観的な提案』を改めて示す」と述べた。
―スタノ欧州委員会報道官はアルジャジーラのインタビューで、「ルネッサンス・ダム問題で合意に達することは地域の安定において重要だ」「EUは、当事者間の交渉を通じた解決を目指すAU主導の取り組みを支援する」「EUはダム交渉のオブザーバーとして、AU及び米、エジプトを含む当事国と緊密に調整している」と述べた。
また、同報道官は、アブドルアーティ・エジプト灌漑相が「水資源が不足すれば、欧州への移民の波の発生や、若者のテロ組織加入に繋がる」と警告したことについてはコメントを控えた。
―シーシー・エジプト大統領は、(対リビア国境付近の)北西部マトルーフ県ジャルジューブに「7月3日海軍基地」を開設した。国防省は、「同基地は、地中海及び紅海に展開する海軍へのロジスティックス面の支援拠点となる。また、密輸及び不法移民対策における役割も担う」と述べた。
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル軍は、「ガザ地区からイスラエルに向けて『(発火装置の付けた)焼夷風船』が放たれたことへの報復として、ハマースの武器製造拠点を空爆した」と発表。ガザ地区筋によると、イスラエル軍機が同地区のパレスチナ抵抗諸派の拠点と、農地を複数回空爆した。空爆により物的損害が生じたが、人的被害の状況は不明。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―リビア挙国一致内閣のドベイバ首相は、「政府はリビア人同士の戦争や対立の再発を容認しない」と述べ、「メディアを通じて戦争を煽る者」を名指しせずに批判した。また、「支配力の強化に向けて、リビア問題を大幅に制圧して問題や戦争を起こしている勢力が存在する」と強調。
―米バージニア州の裁判所は、「リビアでの侵害及び犯罪行為の容疑をめぐり、(米国籍を有する)ハフタル元少将に大統領の免責特権を主張する権利はない」との判決を下した。こうした中、ジュネーブで行われた「リビア政治対話フォーラム」が(12月に実施予定の)選挙について合意に至る事なく終了した。相違点の一つに、立候補の条件、とりわけ軍人や二重国籍保有者の扱いについて問題が存在する。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
ー「ムスリム同胞団」「イスラム原理主義の時代」が復活の兆しがある。それは、米国の政権が(孤立と海外からの撤退を特徴とする)「オバマ主義」に回帰したことと無縁ではない。イスラム過激主義はイスラム世界の社会的な危険であるだけでなく、各国の政権に害悪を及ぼす。(アッシャルク・アルアウサト紙)
中東の新型コロナ動向
ーサウジアラビア当局は、これまで渡航禁止としている相手国リストに、UAE、エチオピア、ベトナムの3か国を追加すると発表した。世界的に変異株による感染拡大がみられる中での措置。国民は、事前の許可なくしてこれらの国々に直接または間接に渡航してはならない。また、これら諸国からの旅客については、その国を出た後14日間、別の地域に滞在したことを証明しなければならない。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし