2021年7月6日 (No.21097)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

6日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ OPECプラス諸国、UAEがサウジの提案を拒否したことで生産計画をめぐる合意に失敗。これを受け、原油価格が6年ぶりの高値に。同諸国は「価格戦争」を警告

■ ルネッサンス・ダムに関する安保理会合を前に、スーダンは「同ダムの貯水第2段階に対抗する政治的・経済的選択肢がある」と表明。エチオピア首相は「下流2か国に損害を与えることなく、全諸国の成長を望む」と述べる

■ アフガニスタン政府軍、「国内のすべての米軍基地の引き渡しを受けた」と発表し、「米軍が行っていたようにこれらの基地を管理できる」と強調。アフガン議会議長は、タリバンが多くの郡を制圧したことを「危険な先例」と評す

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―バグダッド特派員は、「バグダッドの米大使館内で警報サイレンが鳴り、防空システムが発砲した」と伝えた。(0621JST、字幕速報)/イラクの治安関係筋によると、バグダッドの米大使館の防空システムが、同大使館に近づこうとした無人機1機を撃墜した。(0625JST、字幕速報)

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―OPECプラスは、5日に予定されていた会合を中止した。サウジが提案した来年末までの減産延長をUAEが拒否したため。OPECプラス参加諸国は、次回会合の期日が決定するまで協議を続け、現在の生産レベルを維持することで一致した。同諸国は「価格戦争」を警告。こうした事態を受け、原油価格が1バレル77ドルを超え、2015年(ママ)以降の最高値を記録。

○ エジプト情勢

―エジプト水資源・灌漑相は、「エチオピア水・灌漑・エネルギー相から、同国がルネッサンス・ダムの貯水の第2段階を実際に開始したことを伝えられた」と明らかにした。これに対し、エジプト側はエチオピア側に「エチオピアによるこの一方的な措置を拒否する。これは『原則宣言』合意に明らかに違反するものだ」と伝えた。エジプト水資源・灌漑相は、「この措置は地域・国際レベルでの安全・平和を脅かす事態を生じさせる」と指摘した。エジプト外務省は、国連安保理にエチオピアが貯水の第2段階を開始したことを通知した。

アフマド・ムハンマド・アーダム元スーダン灌漑・水資源省次官の話:(エチオピアは安保理会合の数日前にルネッサンス・ダムの貯水の第2段階を開始したが)これは驚くことではない。エチオピアはずっと前からこのような形で貯水を行うと決めていたからだ。スーダンとエジプトはこの措置を拒否する。スーダンとエジプトは問題解決に向けて、あらゆる外交・政治的努力をしているが、エチオピア側が頑固な姿勢を変えようとしない。

フセイン・ハリーディ元エジプト外務次官の話:今回のエチオピアの措置は、ルネッサンス・ダムに関するあらゆる問題を克服しようと3か国が過去数年間にわたって続けてきた行動に合致しないものだ。エチオピアは国際河川の利用に関するあらゆる国際規範から逸脱した。我々は非常に危険な分岐点を前にしている。それはエチオピアとエジプト・スーダン間の関係だけでなく、アフリカ・アラブ間の関係の将来にも関わるものだ。エチオピアは今回の措置により、エジプト・スーダンと対峙するだけでなく、アラブ世界全体、更には国際法と対峙することになる。

ロンドンのコモンウェルス研究所アフリカ問題専門家のマーティン・プラウト氏の話:安保理は8日に会合してルネッサンス・ダム問題についてこれまで通りの形で協議し、関係諸国に「理にかなった措置をとり、交渉を進めるよう」求めるだろう。問題は、こうしたことが何度も試みられたにもかかわらず、3か国のうちのどの国も全く譲歩せず、自国の立場を変えようとしなかったことにある。この問題は3か国にとって重大な問題であり、単なる協議では解決に至らないのではないかと思われる。現在ボールはエジプト・スーダン側にあり、両国は国際社会に働きかけて圧力をかけるか、あるいは「あり得る(軍事的)措置」に出るほかないだろう。両国間には軍事協定があり、合同軍事演習も行われている。私はこうしたシナリオを見たくはないが、何らかの別の方向に向かわない限り、安保理でこれまでと異なる返答が得られることはないだろう。

アシューク・スウェイン・ウプサラ大学平和・紛争研究(学部)教授(水問題専門)の話:エチオピアの措置は挑発的なものであり、同国の国際社会・安保理における立場を利用しようとしたものだと言える。エチオピアがこうした行動に出ることは予想されていた。同国はこのところ国際社会の声を聞かなくなっていたためだ。この非常に危険な挑発に対し、エジプトとスーダンがどのように反応するかが重要だ。エチオピアは、昨年の貯水第1段階後と同様の反応を予測しているのではないか。安保理は分裂しており、これまでもこの種の問題でいかなる措置も講じていないため、今回も期待はできない。エチオピアは露・中の大きな支援を受けているため、安保理が何らかの決定を下す見込みは乏しい。一方、EU・AU・米は、ナイル川の水の配分方法とダムの運用をめぐる拘束力を有する合意に至ることの重要性について意見が一致している。安保理が重要な決議を採択できるとは思わないが、主要諸国は希望をもって全関係諸国が納得できる解決を目指して取り組んでいる。

―上記エチオピアの貯水開始報道に先立ち、アッバース・スーダン灌漑・水資源相は「国連安保理がスーダンの要請を受けて、国連憲章第6章の下でルネッサンス・ダム問題を協議する会合の開催に同意したことは、同ダム問題が地域の安全保障に与える脅威に照らして重要なことだ」と述べていた。また同相は、「エチオピアによる同ダムの貯水第2段階の開始に対抗するための政治的・経済的・外交的選択肢がある」としていた。安保理は、スーダンとエジプトからの要請を受けて、8日に会合する予定。エチオピアはこれを拒否し、AUの仲介による解決に固執している。

―アビー・エチオピア首相は、「エチオピアは自国に対する明らかな脅威がない限り、だれとの紛争も望んでいない」「エチオピアは、下流のエジプトとスーダンに損害を与えることは望んでいない」と述べた。

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―(報道内容の変更により、ヘッドラインにあるアフガニスタン関連のニュースはなし。)

○ マグレブ情勢

―特になし

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―特になし

エリコの目

―(アラブ世界のインフルエンサーのひとりである)ダヒ・ハルファン元ドバイ警視総監が自身のツイッターで「今の世には友情も兄弟愛もない。物質的利益の時代だ」と呟いたことが物議を醸している。背景に、サウジアラビアがUAE発着の全航空便を停止する決定をしたことがあるようだ。UAEも相互主義で同じ措置に踏み切っており、関係が悪化している。(アルクドゥス・アルアラビー紙)

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中東の新型コロナ動向

―イスラエル紙によると、保健省の示したデータによるとデルタ型変異株がイスラエル全土に広がった結果、新型コロナ・ワクチンの感染予防面での有効性は94%から64%にまで低下した。これは同国が一連の予防措置を解除してから5日後の6月5日以降に記録されたもの。また、過去2週間における新規感染のうちデルタ型が占める割合は90%であった。2回接種を済ませた人の予防効果は減退したが、新規感染者のうちの55%はワクチン接種を完了していない人だった。(アルクドゥス・アルアラビー紙)

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<特記事項・気付きの点>

―0500JST台の初めに「エチオピアがルネッサンス・ダムの貯水の第2段階を開始」の速報が入った後、その後の報道予定を変更し、同ダム問題のみを重点的に報道、各地の関係者や識者の意見を聞いた。

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