アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
11日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ エジプト外相、「安保理は、ルネッサンス・ダムの貯水第2段階に対する非難を無視した」「理事国間の協調が安保理での協議を複雑にしている」と指摘。エチオピアは、同ダムを「主権の象徴」と評し、「ナイル川の公正な使用」を呼びかけ
■ アフガニスタンで郡制圧に向けたタリバンと政府軍の間の戦闘が激化。米アフガン特使は地域諸国歴訪を開始。パキスタンは戦闘の影響を警告
■ リビア国家最高評議会議長、「国際社会と国連特使が、軍人の選挙立候補を認める内容の憲法上の根拠を受け入れるよう圧力を行使している」と述べる
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラクの武装諸勢力に近いメディアによると、シリア東部のデリゾール東郊のコニコ・ガス田にある米軍基地が迫撃砲による攻撃を受けた。砲弾4発が基地の所在地を直撃したとされる。一方、シリア国営TVは、地元消息筋の話として「デリゾール東郊の(対IS)有志連合軍が軍事基地を置いているコニコ・ガス・プラントの方向から爆発音が聞こえた」と報道。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―ムハンマド・カタール副首相兼外相は、同国を訪れた米下院議員団の訪問を受けたことを明らかにし、「カタールと米の間のパートナーシップは強力かつ重要なものであり、地域の平和と安定の実現に向けて両国の共同行動が続いている」と述べた。
―ホウシー派傘下のメディアによると、サウジ主導の同盟軍は、マアリブ、バイダー両県で18回の空爆を行った。また、イエメンの軍事関係筋によると、両県とジャウフ県で、同派と政府軍の間の戦闘が勃発。政府軍広報室は、「政府軍部隊は、ジャウフ県ジャダーフィルで同派の攻撃を退けた。同盟軍機が(同派の)軍用車2台を破壊し、乗っていた者たちを死亡させた」「政府軍は、マアリブ県北西部で軍の拠点に対する同派の攻撃を阻止した後に反撃に出て、同派に甚大な損害を与えた」と発表した。
○ エジプト情勢
―シュクリー外相は、ルネッサンス・ダム問題についてコメントし、「国連安保理の状況は(理事国間の)協調や政治的配慮のために複雑になっている」「同問題をめぐる安保理でのエチオピアの主張は脆弱で、エジプトとスーダンが安保理に送った書簡に応えるものではない」との見方を示した。また「安保理理事国各国に対し、同ダムの貯水第2段階に対する非難が無視されたことへの我々の不満を表明するつもりだ」「エジプトとスーダンは、米やEUといった他の諸国が参加する交渉を望んでいるが、終わりのない交渉ではない」「我々には、国家の存在にかかわる問題として水に関する国益を守る能力と可能性がある」と述べた。
―アブドルアーティ水資源・灌漑相は、「エジプトは、国内に水危機が発生することを許さない」「エジプト政府は(ルネッサンス・ダム問題に関し)あらゆるシナリオに対応する用意ができており、あらゆる選択肢が検討されている」と述べた。
―アビー・エチオピア首相は、「ルネッサンス・ダムの建設完了は最重要プロジェクトの1つであり、我々の諸問題の解決と経済の強化に貢献するものだ」とし、「同ダム・プロジェクトは、エチオピア人にとっては単なるダム(建設)ではなく、国家主権と国の結束の象徴でもある」と強調した。また「我が国は、他の国々に損害を与えようとは全く思っていないが、ナイル川の公正な使用を望んでいる」と述べた。
○ 中東和平(占領地情勢)
―独通信社によると、ブーサイーディ・オマーン外相は「オマーンは、イスラエルとの国交を正常化させる湾岸の第3の国とはならない」と確認した。同外相は「オマーンは、(パレスチナ問題の)2国家解決に基づく公正で恒久的な包括的和平の実現という原則を信じている」とし、「オマーンはパレスチナ人の正当な権利に味方すると同時に、各国の主権的決定を尊重する」と述べた。
―ヨルダン国営通信によると、アブドラ国王は、ヘルツォグ・イスラエル大統領から電話を受けた。同国王はこの際に、2国家解決に基づく公正かつ包括的な和平の実現に尽力することの重要性を確認し、「地域の安全と安定と恒久平和を実現する唯一の手段である同解決に向けた取り組みを強化する必要がある」と強調した。
―カンヌ映画祭で(パレスチナ人作家の作品をもとにしたイスラエル人エラン・コリリン監督の)映画「Let There Be Morning」が「イスラエルの作品」として上映作品に選出されたことに抗議して、パレスチナ人の俳優や同映画の制作チームの作業者らは同映画祭をボイコットした。パレスチナ人らは「同映画はイスラエルの弾圧によるパレスチナ人の苦悩を描いたものであり、これを『イスラエルの作品』に分類するのは矛盾している」と指摘。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタンのタリバンは、「新たな郡を制圧した」と発表した。タリバンは過去2か月の間に支配地域を拡大し、タジキスタン、イラン、トルクメニスタンとの国境にまで至った。中国との国境のある北東部バダフシャン州の大半も制圧している。タリバン広報担当は10日、「国内の全407郡のうち、150郡を制圧した」と発表。一方、政府軍は「バダフシャン州で複数の拠点を奪還した」とし、「支配下から外れた地域を更に奪還するための戦闘の準備をしている」と表明。
―ガニ・アフガニスタン大統領は、南東部ホースト州で「アフガン人同士の戦闘により、毎日400人の死傷者が出ている」「外国軍が撤退した後に、軍事行動を拡大する正当な理由はない」と述べた。
タリバン政治事務所のムハンマド・ナイーム広報担当(在ドーハ)の話:我々は当初から「対話を通じた解決」を望むという立場を明確にしており、そのためにドーハで政治路線を開始した。代表団は今もドーハに滞在し、2日か3日後には相手方との交渉が行われる予定になっている。一方、アフガン国内の現場では、外国軍の撤退後、多くの地域がジハード戦士(=タリバン)の方に合流してきている。これは、ジハード戦士に対する信頼と政府への不信感を示すものだ。
(ガニ大統領は「外国軍の撤退後、戦う必要はない」と言っているが、との質問に対し)戦争は20年前から続いているが、これは我々が始めたものではない。占領者(外国軍)が始めたものであり、政府は彼らの側でこれに参加したのだ。我々はこの戦争を終わらせたいと願っており、そのために外国軍との交渉を始め、この戦争の大部分を解決した。残りの部分も解決したいと願っている。しかし政府側は矛盾した行動を取っており、解決を望むと言いながら、「自発的にジハード戦士の側に合流してきた地域」を日々攻撃している。
(タリバンがアフガニスタン全土を制圧しようとしていると言われているが、との指摘に対し)アフガニスタンは我々の祖国だ。そして国民は、言及に値する戦闘なしに我々の側に合流してきた。約2か月の間に予想外に多くの地域が合流してきたが、これは武力や圧力による制圧ではない。
―ハリルザド米アフガニスタン特使は、新たに地域諸国歴訪を開始した。カタール、パキスタン、ウズベキスタンを訪問し、アフガン紛争の政治的解決に至る手段を模索する。こうした中、パキスタン軍は、アフガニスタンでの暴力がエスカレートした際にアフガン難民がパキスタン国内に流入することを警告。
―目撃者によると、ソマリアの首都モガディシオの大統領宮殿付近の複数地点に迫撃砲弾が着弾し、3人が負傷した。いずれの勢力からも実行声明は出されておらず、政府もまだ、この事件についてコメントしていない。これより先に、アルシャバブは「首都警察の司令官を狙った攻撃を実施し、政府側部隊の4人が死亡、5人が負傷した」と発表していた。一方、警察報道官は「同司令官の車列を狙った(自動車爆弾による)攻撃があり、司令官本人は無事だったが、4人が死亡し、9人が負傷した」と発表。
○ マグレブ情勢
―ミシュリー・リビア国家最高評議会議長は、「軍人の次期選挙への立候補を認める内容の(選挙実施のための)憲法上の根拠を受け入れるよう、国際社会や国連特使から圧力を受けている」と明らかにし、「議会と選挙委員会が、憲法に関する国民投票を先延ばしにしている」と指摘した。また、「現在の行程表の開始後、『傭兵と外国軍を国外に撤収させる』という同行程表の規定に反して、リビア国内にいる露ワグナー社の傭兵が倍増した」と述べた。
―リビア大統領評議会メンバーのムーサー・コーニー氏は、「リビア南部の広大な国境地域に、リビア国家の支配(権限)が全く及ばなくなった」「チャドの反政府勢力がリビア南部に再び集結している」と述べた。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―ドバイのムハンマド首長(UAE首相)は自身のツイッターで、「10日、我々はグーグル、マイクロソフト、アマゾン、シスコ、IBM等との協力により10万人のコンピューター・プログラマーを養成、任用し5年間のうちにIT企業1000社を設立する国家計画を打ち上げた」と発表した。また、「スタートアップ企業に対する投資は15億AUDから40億AUDに増額される」とのこと。
中東の新型コロナ動向
―マルタ共和国の保健相は9日、7月14日より新型コロナウイルスのワクチンを完全に接種した者に限り入国を許可すると発表した。接種証明書は、EU及び英国で発行されたもののみ有効、とのこと。マルタでは成人の79%が2回接種を完了しているが、これを85%にまで高めたい考え。先月は新規感染がほとんど記録されないまでに抑え込まれていたが、今月5日以来倍増を始めている。(RTアラビア語)
<特記事項・気付きの点>
―特になし