2021年7月15日 (No.21106)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

15日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ ルネッサンス・ダム問題をめぐり、スーダンは「対話が唯一の解決策」と確認し、交渉への保証諸国の参加を呼びかける。米国務省はアルジャジーラに対し、「解決に向けたAUの役割を支援する」と確認

■ イラン、「核問題に関する方針で、ロウハニ政権とライシ次期政権に違いはない」と述べる。米は地域でのイランの活動に懸念を示し、「米の利益には交渉の継続が必要」と述べる

■ アフガニスタンの対パキスタン国境に向けてタリバンが支配地域を拡大する中、パキスタン政府は懸念を示し、米は「今月末までに協力者を退避させる」と確認

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―サキ米大統領報道官は、「米は地域におけるイランの活動を懸念している。しかし、米の利益には核問題をめぐる交渉の継続が必要だ」「イランの支援を受ける集団が背後にいる攻撃から米軍を守る」と述べた。

―ロウハニ・イラン大統領のワーエジー事務所長は、「核問題に関する方針で、ロウハニ政権とライシ次期政権に違いはない」と述べた。

―ガンツ・イスラエル国防相はツイッターで、「我々はイランの核の脅威に対峙する用意をすべきだ」「あらゆるシナリオに対処すべく、イスラエルは能力を拡大し、装備を調整する」と述べた。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―UAEエネルギー省は、「OPECプラスと未だ合意に達していないが、協議は継続している」と述べた。これに先立ち、OPECプラス筋は「サウジアラビアとUAEは生産水準を定める妥協案に達した」「妥協案に基づき、UAEの生産のベースラインを新たに日量365万バレルとし、OPECプラスの減産協定が2022年12月まで延長される」と明かした。

○ エジプト情勢

―ルネッサンス・ダム問題をめぐり、ブルハーン・統治評議会議長はウェーバー・EU「アフリカの角」地域担当特使との会談で、「対話こそが唯一の解決策だ」「移行政府は地域における完全なる安定の維持を重視している。また、エチオピア国内の情勢鎮静化に取り組んでいる」と述べた。また、「EUは国際的な各場面でスーダンを支持している」と賞賛し、「スーダンが国内外の諸危機を乗り越えるべく、この支持を継続するよう」呼びかけた。

―アッバース・スーダン灌漑省はウェーバー・EU「アフリカの角」地域担当特使との会談で、「これまでの交渉方法は、一年間続けたにも関わらず進展がなかったため、効果的ではない」「ダムの環境調査及び安全性に関して、スーダンは全ての情報を把握する必要がある」「エチオピアが示した情報の交換案は、同国の気まぐれで行われるのではなく、合意に基づく仕組みであるべきだ」と述べた。また、「ダムをめぐるAU主催の交渉に保証者を参加させるべきだ」として、EUの参加を示唆したほか、「スーダンは水分配を交渉に含めることを拒否する。交渉の基本は、3か国間で調印される原則の発表だ」とした。

―米国務省はアルジャジーラに対し、「米は、ダム問題の恒常的解決に向けたエチオピア、エジプト、スーダンの取り組みを支援し続けている」と述べた。また、「3か国にとってナイル川の水資源がいかに重要か理解している」とし、「AU主導で対話を再開する必要性」を確認した。

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―パキスタン軍事筋によると、アフガニスタンのタリバンは14日朝に対パキスタン国境のテシミン検問所を制圧した。制圧されたのはアフガニスタン南部カンダハル州とパキスタン西部バローチスターン州の間に位置する主要検問所で、アフガニスタンで活動する国際部隊のロジスティックス面の支援物資の大半が、同検問所を通じて過去20年間搬入されていた。こうした中、治安筋によると、タリバンとアフガニスタン政府軍は現在(0600JST台)も同検問所に隣接する地区で交戦している。

―パキスタン政府は、「治安状況が悪化しているアフガニスタンで内戦が勃発し、同国の民間人が近隣諸国への避難を余儀なくされることを懸念している」「とりわけ新型コロナウイルス感染が拡大する中で、アフガニスタン国内の情勢悪化と、42年前より続いているアフガニスタン人のパキスタンへの避難(の増加)は、危機の深刻化に繋がる」と述べた。

―米国務省はアルジャジーラに対し、「駐留米軍に(通訳等で)協力したアフガニスタン人とその家族の退避を7月の最終週に開始する」「『同胞の保護』と名付けられた作戦は、米国へのビザが発給されるまで、(米政府がチャーターした)民間機でのアフガニスタン人の協力者とその家族の第3国への移送の円滑化に集中する」と述べた。

―カービー米国防総省報道官は、「アフガニスタン軍はタリバンを超える陸空の軍事能力を有している」「(今後を左右するのは)この能力を活用する指導部の決定だ」「米国防総省は、可能な時にアフガニスタン軍への軍事支援を提供する」「アフガニスタン人の協力者に関しては、退避先として米国外の場所の候補が決まった。また、米国内の軍施設への収容が検討されている」と述べた。

―プライス米国務省報道官は記者会見で、「降伏したアフガニスタン軍兵士らをタリバンが処刑したことは極めておぞましい」「米は、タリバンが国際社会で正統性を得ることは、武力ではなく外交への参加を通じて実現すると思っている」「ドーハでの協議と外交の取り組みこそが、和平の実現に向けた唯一の道だ」と述べた。

―ムジャーヒド・タリバン広報担当はツイッターで、「降伏したアフガニスタン軍特殊部隊隊員をタリバンが殺害した」と非難するCNNのレポートを「正しくない」と否定し、「同レポートで公開された映像は、北部ファーリヤーブ州で戦闘により同特殊部隊隊員22人が死亡した際のもので、これに基づき事実無根のレポートが作成された」と述べた。

○ マグレブ情勢

―特になし

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―特になし

エリコの目

ー世界的大企業50社のうち46社までがUAEに地域本部を置いている。10年後にはどうなっているだろうか、と聞く人があるが、私見では、10年と言わず30年後であってもドバイとUAEはその地位を守るであろう。(UAEのインフルエンサーのひとり、アブドルハーレク・アブドッラ氏のツイート。最近のサウジとの関係悪化の原因は、サウジの強引な外国企業誘致手法にあると言われている。)

中東の新型コロナ動向

ーヨルダンのアルハワリ保健相は国営TVのインタビューに答え「感染再爆発の真の危機が迫っている。首都アンマンの感染事例の8割は、感染力の強いインド型変異株によるものだ」と述べた。ワクチン接種の現状については、「よい数字が出ているが、9月頭までに450万回の接種を達成するという目標は(多くの人が接種を忌避する)現状を見ると困難だ」と述べ、「子供達が学校で対面授業を開始できるよう、ワクチン接種に行ってほしい」と呼びかけた。
(注:ヨルダンは3月に1日の新規感染者数が9,000人を超える第二波の感染爆発を経験したが、最近はこの数を500人程度に抑え込むことに成功していた。しかし、ここ数日は700人台に上昇してきている。)(アルクドゥス・アルアラビー紙ほか)

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<特記事項・気付きの点>

―特になし

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