2021年7月17日 (No.211108)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

17日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ スーダン、「ロセイレス・ダムの水量が5割減少した」と明かす。エチオピアは「危険な洪水に備えている」と述べる

■ ドーハでアフガン和平協議が開催へ。国家和解高等評議会議長が「和平の機会を活用するよう」タリバンに呼びかけ、タリバンは「協議に向けた本気度を証明するよう」政府に求める

■ 独とベルギーで記録的な豪雨による洪水で約130人死亡。当局は市民数千人を避難させる

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―仏外務省は声明を発表し、「レバノン国民の支援を目的とする国際会議を、国連の支援の下で8月4日に開催する」「最近のレバノン情勢は、政治家らが同国を故意に陥らせた政治危機を確認する」と述べたほか、「早急な組閣に向けて議会協議を行う重要性」を強調した。

―レバノンで組閣を委任されていたハリーリー元首相が組閣の断念を発表したことを受け、EUは同国で政治的膠着状態が継続し、改革が行き詰っていることに遺憾の意を表した。EUは声明で、「レバノンは1年前から無政府状態にあり、これにより前例のない規模の経済危機が生じた。同国民は危機の悲劇的な結果に直面している」と述べ、レバノンの全政治勢力に対し、「議会協議を遅滞なく開始し、早急な組閣に向けた取り組みを支援するよう」呼びかけた。

―ハリーリー氏の組閣断念の発表について、ブリンケン米国務長官は「レバノン国民を失望させる更なる動き」と評し、「改革を実施する能力を有する内閣を緊急に組閣する重要性」を強調した。

―アウン・レバノン大統領は、「現在の厳しい経済状況にもかかわらず、我が国は困難な状況を乗り越えるだろう」「レバノン人が直面している諸危機の打開に向けて最善を尽くす」と述べた。一方でレバノン軍のジョセフ・アウン参謀総長は北部の部隊を視察した際に、「レバノンの状況は悪化している」「レバノンの政治的・社会的な運命が危機的であるため、情勢が激化する可能性がある」「国際社会は、国軍がレバノンとその安定の要であると信じている」と述べ、「この段階における軍の責任は重大だ。レバノンの安全と安定を守り、混乱の発生を阻止することが求められる」と確認した。

―ハリーリー氏の組閣断念の発表を受け、レバノン・ポンドが対ドルで最安値を更新し、実勢レートは1ドル=2万3000ポンドにまで下がった。これにより、約2年前に起きた金融危機以降、レバノン・ポンドは95%以上の下落を記録したことになる。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―特になし

○ エジプト情勢

―スーダンのロセイレス・ダムの管理局は、「青ナイル川からの水が減り続けており、(ダムの水量が)約5割減少した」と述べ、「ルネッサンス・ダム問題をめぐる協議の再開の遅延は、ロセイレス・ダムを危険に晒す」警告した。これに先立ち、エジプトは「起こり得る水不足に備え、措置を講じた」と発表。

―エチオピアの災害対策高等委員会は、「青ナイル川源流のタナ湖が位置するアムハラ州を含む複数の州の約50万人が、洪水の危機に晒されている」と発表した。

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―アフガニスタン国家和解高等評議会の報道官は、「タリバン政治局との協議を行うべく、政府代表団はカタール首都ドーハに到着した」「代表団は、数か月間停止したままで一切進展していない交渉プロセスの前進に努めている」と述べた。
同評議会のアブドラ議長はカブールから出発する際に、「代表団は、政府や各政党党首から必要な支援を得ており、完全な権限を有している」と述べた。

―上記協議に参加するタリバン代表団のメンバーであるナイーム政治局広報担当はアルジャジーラのインタビューで、「タリバンは対話を行う用意があると再三確認してきた。外国部隊との交渉を通じてこのことを証明した」「もう一方(アフガニスタン政府側)は協議に向けた本気度を証明すべきだ。また、政府軍はカンダハル州の刑務所で発砲して複数の収監者を殺害し、他の収監者らを行き先を明かさずに連行したが、(協議内容と矛盾するこのような行動を改めて)言動を一致すべきだ」と述べた。

―ラブロフ露外相は中央・南アジアに関するウズベキスタンでの会見で、「アフガニスタンでの戦争の終結と、平和と安定と公平性の実現に向けた、当事者間の和平協議の促進における露の関心を改めて確認したい」「アフガニスタンにおける米のミッションは失敗した。駐留米軍の急速な撤退は情勢悪化の一因だ」「アフガニスタンでの不安定な状況は、近隣諸国にも移る可能性がある」「アフガニスタン情勢の解決において、新たに合意を結ぶ必要はない」「解決に向けて実施すべきは、アフガニスタン政府とタリバンの間で合意されたことだけだ」と述べた。

―ハリルザド米アフガニスタン特使は、「タリバンは、『隣国を一切攻撃しない』『アフガニスタンが対米・同盟諸国の攻撃の場と化すことを容認しない』と確認した」と述べた。

○ マグレブ情勢

―特になし

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―独西部で発生した記録的な豪雨による洪水で、独でこれまでに107人が死亡し、3千人以上が避難を余儀なくされた。また、隣国のベルギーでは23人が死亡した。

エリコの目

ー雨の全く降らないエジプトにとってナイル川の水は死活問題。ダム建設を始めたとき、エジプトは武力行使してでもこれを止めさせるつもりだったが、アラブの春が起こり、シーシー政権は交渉による解決策に転じた。しかし、エチオピアがエジプトの水利権無視を続けたため紛争は安保理に付託された。しかし、安保理でも無視された以上は、戦争になる、ついては、イスラエルは出来るだけこの問題から距離を置く必要があるーイスラエルのイツハク・リファノン前エジプト大使の話。(アラビー21)

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中東の新型コロナ動向

ーパレスチナの西岸地区では、近隣諸国、特に労働者が日々出入りしているイスラエルにおけるデルタ型変異株の流行の影響を受け、同型の感染事例が増えている。当局者は、「第4波の感染拡大の入り口に差し掛かっている」と発言。西岸各地でサンプル調査を実施したところ、50件のデルタ型変異株感染が確認された(母数の言及なし)。

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<特記事項・気付きの点>

―特になし

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