アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
24日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 青ナイル川の水位が前例のない上昇。スーダンは氾濫を防ぐべくメロウェ・ダムのゲートの開放へ。エチオピアは「ルネッサンス・ダムに対するいかなる攻撃にも反撃する軍事的準備が整っている」と確認
■ イラク駐留米軍の任務終了が近いとの情報が飛び交う中、イラク外相は米との戦略対話で、同国が軍事支援を必要としていることを確認。「アサーイブ・アハル・ハック」指導者は「米軍が駐留を継続する口実を宣伝している」と非難
■ 世界の主要紙がイスラエル企業「NSOグループ」が各国の指導者や政治家に対するスパイ活動に関与した疑惑を報じ、調査が開始される。同グループ代表は「カタールと『イスラエル・ボイコット運動』には、同件を明らかにした責任がある」とする
■ 米国務長官、「アフガニスタン紛争の終結に向けた外交努力を行っている」と確認。タリバンは「米が攻撃を実施した。これはドーハ合意違反だ」と非難し、報復を誓う
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―天皇陛下や、少数の各国首脳らの出席の下、新型コロナウイルス感染拡大の影響で1年延期された東京2020オリンピックが23日に開幕した。日本を含む各国で新型コロナウイルスの感染拡大が続いているため、開幕の数日前まで中止の可能性があったが、世界中が注目する中で開会式が行われた。1964年の東京大会に昭和天皇が出席したと同様に、天皇陛下も開会式に出席した。開会式では、看護師でボクサーの津端ありささんを含むアスリートたちが、コロナ下で孤独と向き合いながらオリンピックに向けて闘ってきた日々を表現したプログラムや、64年五輪に参加した各国・地域の選手団が持ち寄った種から育てた木で作った五輪マークが披露された。205の国・地域と難民選手団は、先頭がギリシャ、次いで29名で構成され12競技に出場する難民選手団が入場行進した。男女平等の理念に基づき、IOCは今大会から男女各1人のペアが旗手を務められるよう規則を変更した。(スポーツニュース)
上記レポート後、レバノン人のIOC顧問ハッサーン・モヒイッディーン氏と中継:
Q.コロナ拡大や、相次いだ組織委員会メンバーの辞任・解任、経済損失等の様々な困難が立ちはだかる中、一年の延期を経て開催されたことで日本は比較的成功したといえるか?
A.簡潔に述べると、日本は困難に挑み、一年の延期を経て開催に成功した。全世界が直面したコロナという障壁を乗り越えて五輪を主催したことに対し、日本は金メダルを受賞しても良いだろう。敬意と称讃に値する。開催により、スポーツはいかなる困難な状況下でも維持されるべき強い世界共通言語であることが確認された。
○ イラン・イラク・シリア情勢
―ブリンケン米国務長官とフセイン・イラク外相がワシントンで会談し、戦略対話を行った。米国務省によると、ブリンケン長官は「自国民の要求に正義と公正で応じるよう」イラク政府に促した。また、同長官は会談前に、「米イラクのパートナーシップは、対イスラム国(IS)戦に限定されない、より広くて深いものだ」と述べた。
一方でフセイン外相は、「ISは依然としてイラク・地域・国際社会に対する脅威だ」と述べ、「対IS戦において、イラク政府と、米が主導する有志連合が協働し、情報交換を行う必要がある」と確認した。
―上記会談に先立ち、米紙WSJは米イラク両政府高官らの話として、「年末までにイラク駐留米軍部隊が撤退するとの声明が近々発表される見通し」「声明では、対IS戦においてイラク軍を支援するため、撤退後も米軍の存在が必要であり続けることが改めて確認される」と報じた。
フセイン・イラク外相は同紙に対し、「イラクは更なる戦闘員を必要とはしていないが、諜報・訓練の分野における協力と、空軍の援護を必要としている」と述べた。
―米ニュースサイト「ポリティコ」は米高官と消息筋の話として、「米イラク高官らは、イラク駐留米軍の任務を年末までに顧問の役割へ移行することを発表する見通しだ」「この計画には、対IS戦における兵站・顧問・諜報に関する支援提供と空軍の援護のため、米軍の限定的な人数を無期限に残留させることが含まれる」「米イラクは、カージミー・イラク首相のワシントン訪問に合わせて、26日にこの計画を発表する意向だ」と述べた。
―イラクの武装組織(「人民結集部隊」参加会派)「アサーイブ・アハル・ハック(AAH)」ハズアリー書記長(指導者)はツイッターで、「イラクが米軍の支援を必要としている」とのイラク外相の発言について、「米軍が駐留を継続する口実を宣伝している」「外相の発言を非常に残念に思う。自国の軍・治安機関を尊重する全てのイラク人が同発言を拒否する」「同外相の発言は、イラクの軍、連邦警察、人民結集部隊、テロ対策局の能力の実態を反映していない」と非難した。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―ブリンケン米国務長官はNBCのインタビューで、「米は、アフガニスタンが『テロリストの訓練所』と化さぬことを重視している」「米は、武力行使で国の支配を試みているように見えるタリバンの活動に深刻な懸念を抱いている」「タリバンが武力によってアフガニスタンを支配すれば、同国は孤立し、国際支援がなくなるだろう」と述べ、「軍事解決は存在しないため、米はアフガニスタンの紛争終結に向けた外交努力に参加している」と確認した。
―タリバンは、「米軍はカンダハル・ヘルマンド両州で我々に対する空爆を実施した。これはドーハ合意に対する明らかな違反だ」と非難した。また、ガニ大統領が今後数か月間で実行する対タリバン大規模作戦の計画を発表したことについて、「軍事的エスカレーションであり、政府はその影響の責任を担うべきだ」と評し、「支配地域を全力で守るべく、自衛ではなく攻撃の戦略を取る」とした。
一方でアフガニスタン外務省は、「国境の9割を制圧した」とのタリバンの声明を否定し、「政府軍は国境地帯を制圧している」と述べた。
―米、EU、NATOは声明で、「アフガニスタンの各空港の安全確保に向けた警備任務に参加する用意があるトルコの感謝する。また、和平協議を主催し、アフガニスタン当事者間の距離を縮める上で役割を担うカタールにも謝意を表する」と述べた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―スーダン北部州メロウェの緊急対策室は、「青ナイル川からメロウェ・ダムの貯水池に流入する水量が想定以上に増加したため、氾濫防止のため開門・放流で推移を下げる可能性が高まった」と述べた。また、メロウェ・ダムの管理局長は国営通信に対し、「雨季の開始に備えて、ゲート2か所を開放して約1億5000万立方メートルを放流する」と述べた。
―ミルダーサ・エチオピア空軍司令官は、「空軍はルネッサンス・ダムから一瞬たりとも目を離さずにいる」「空軍は、エチオピアの破壊を試みるいかなる攻撃にも反撃する準備ができている」と述べた。
―世界の主要紙がイスラエル企業「NSOグループ」が各国の指導者や政治家に対するスパイ活動に関与した疑惑を報じたことを受け、各国で波紋が広がっている。
パキスタン外務省は国連に対し、「インドが、カーン・パキスタン首相の携帯電話等に対するハッキングにイスラエルのスパイウェア『ペガサス』を使用したとの報告に関して調査を行うよう」求めたほか、「インドが『ペガサス』を用いてハッキングした対象者リストには、政治家や記者、活動家らが含まれている」と述べた。
仏大統領府に近い筋によると、ハッキングの対象となっている疑いがあるため、マクロン大統領は携帯電話と番号を変更した。
こうした中、イスラエル政府は同件の政治・治安・司法面の影響を把握すべく特別チームを設置。一方でNSOグループの代表は、「カタールと『イスラエル・ボイコット運動』が、今回の報道の背後にいる」と非難した。
エリコの目
ーイラン南部のフーゼスタン州等で水の供給が極度に不足しているため、同州や首都テヘラン等大都市で抗議行動が続いている。これに対し、政府が「実力行使」しているとヒューマン・ライツ・ウオッチが批判している。同組織は、デモ参加者3人の死亡についての透明性のある捜査と責任者の処罰を求めている。(アラビー21)
中東の新型コロナ動向
ートルコでは、7月に入り、経済・観光振興面を心配する政府により予防措置が緩和されたが、1か月も経たないうちに感染状況は拡大を始めた。新規感染者数は7月2日に4,891人まで減っていたが、徐々に上昇、23日には11,094人を記録した。同国では5月に新規感染者数が6万人を超える第3波を経験しており、早くも第4波が懸念される。野党及び医療関係者によれば、政府は真の感染者数を隠している。(アッシャルク・アルアウサト紙他)
<特記事項・気付きの点>
―特になし